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とんでもスキルで異世界放浪メシ 作者:江口 連(旧 妖精壱号)
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第二百十八話 商人ギルドVS冒険者ギルド

 今日は朝から朝市で魚介の仕入れに(いそ)しんだ。
 クラーケンがいなくなって徐々に漁獲量も元に戻ったのか、この前来たときよりも賑わっていたぞ。
 売っている魚介の種類も増えてたしな。
 そのおかげで魚介の仕入れも有意義なものになったぜ。
 前にも買ったサケにそっくりなサーケンとベルレアン名物のタイラントフィッシュも追加で仕入れた。
 それから車エビに似たバーミリオンシュリンプとタラバガニに似たブロンズキングクラブ、デカいハマグリみたいなビッグハードクラムにホタテに似たイエロースカラップも追加で仕入れたぞ。
 何と言ってもめちゃくちゃ美味かったからな。
 あと今回はカキにそっくりなカーキという貝があったから、何店舗か回ってけっこうな量購入した。
 普通のカキの倍くらいの大きさで身もプックリして美味そうだったからついな。
 生でレモン汁をちょろっとかけて食いたくなったけど、そこはさすがに思いとどまった。
 まだ死にたくないからな。
 しかも死因が寄生虫とか、絶対嫌だぜ。
 生はダメだけど、カキは熱をとおしても美味いしね。
 カキフライもいいしグラタンなんかもいいしななんて考えてたらついつい多めにな。
 しかし、後悔はない(キリッ)
 それと、タイにそっくりなタタイっていう魚も買った。
 このタタイって魚はタイよりはだいぶデカくて1メートル超えしてたけどな。
 さすがにこの大きさになると自分でおろすのは無理っぽいから、お店のおっちゃんに頼んで3枚におろしてもらった。
 身も白身でタイに似た感じで、焼いても煮ても蒸しても美味そうだった。
 これについては頭と骨もしっかり回収させてもらったぞ。
 店のおっちゃんはなんでそんなの欲しがるんだって顔してたけどな。
 これであら汁もできる。
 朝市で魚介の仕入れが終わったら、当然今回も屋台めぐりをした。
 前回は回りきれなかった屋台もあったみたいでフェルたちも喜んでたよ。
 冒険者ギルドに行くまでの時間、俺たちは屋台めぐりを楽しんだ。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



 冒険者ギルドに入ると、すぐにマルクスさんとカルロッテさんがやって来た。
「おう、よく来たな」
「お待ちしてました。いよいよ商人ギルドですね。楽しみだわぁ~」
 カルロッテさんニッコニコだね。
「お手数をおかけしますが、お2人とも今日はよろしくお願いします」
「まぁ、俺はただの見学人だがな。それじゃ、早速商人ギルドに行くか」
「はい」
 俺たちは商人ギルドへ向かった。
 商人ギルドに入り、窓口でゲルトさんを呼んでもらうようお願いすると、ゲルトさんがすぐにやって来た。
「おお、ムコーダ様、お待ちしておりました。おや? 冒険者ギルドのギルドマスターもご一緒なんですね」
「お久しぶりです、ゲルトさん。俺は後学のために見学させてもらおうと思いましてな」
「そうですか。ささ、みなさんこちらへ」
 俺たちはゲルトさんの後に付いて商談室に入って行った。
 俺たちが商談室に入ると、後からすぐに40前後の髭を蓄えた恰幅のいい男性がやって来た。
「うちで宝石類の査定を担当しているハインツです」
 ゲルトさんがそう紹介した。
「うちの職員で宝石類の査定を一括して担当しているカルロッテです。お手柔らかに」
 マルクスさんもカルロッテさんを紹介した。
 …………な、なんかいたたまれない雰囲気なんですが。
 ゲルトさんもハインツさんも、マルクスさんもカルロッテさんも笑顔ではあるけど、目が笑ってないよ。
 なんだか商人ギルドVS冒険者ギルドの構図になっちゃってるね。
 みんな怖いよ。
 こういうのはさっさと終わらすに限る。
「あ、あの、ゲルトさん、ダンジョン産の宝石類を買取したいということだったので、まずはとりあえず出していいですかね?」
「あ、ちょっとお待ちください」
 そう言うと、ゲルトさんが用意していた柔らかい布をテーブルの上に広げた。
「こちらにどうぞ」
 俺は広げられた布の上に宝石類を置いていく。
 サファイア(中粒)にアレキサンドライト(中粒)、それからイエローダイヤモンド(大粒)にタンザナイトのネックレス。
「すばらしいですな」
「ドランで多くは買取してもらってしまったのでたくさんはないですが……」
 宝石類はドランの商人ギルドでけっこう売れちゃったからね。
 出した宝石を「失礼」と言ってハインツさんが検分していく。
「これは……さすがダンジョン産ですな。どれもこれもすばらしい品質です。濁りもなく傷も少ない。特にこのイエローダイヤモンド……。これは私が今まで見てきた宝石の中でも1番価値のあるものです」
 涙型にカットされたイエローダイヤモンドを熱のこもった目で見つめながらハインツさんがそう言った。
「やはりそうか。色付きのダイヤモンドは珍しいからな。しかも、黄金色となるとな……」
 ハインツさんの隣の席でそれを見ていたゲルトさんもイエローダイヤを見つめながらそう言う。
 確か黄金色は縁起がいいとされて珍重されているんだよな。
 ゲルトさんとハインツさんはコソコソと小声で協議をしている。
 イエローダイヤモンドを買取するかどうかで協議してるんだろうな。
 だけど、これはドランの商人ギルドも手が出なかった一品だからね。
 あそこのベテラン鑑定士のルスランさんが世界最高峰とまで言った品だし。
 さすがにこれは俺もちょっとやそっとの値段では納得できないよ。
 あ、そういや宝石類っていうならあれもいけるか?
「すみません、あとは宝石類というなら、こういうものもあります」
 俺はミミックの宝箱(大)2つも取り出して見せた。
「おおっ! これだけ大きな宝箱は珍しい。私もこれだけ大きな宝箱は初めて見ました」
 ハインツさんが興奮気味にそう言うと、じっくりと宝箱を検分していく。
「使われているのは……こっちの宝箱はエメラルドとダイヤモンドですな。エメラルドはなかなかの大きさですし、ダイヤモンドは小さいですが数が多い。こっちの宝箱はサファイアを中心にダイヤモンドやアクアマリンが使われておりますな。うむ、どちらも意匠の凝ったすばらしい一品です」
 興味は持ってもらえたみたいだな。
「それでは少しお待ちいただけますかな」
 ゲルトさんがそう言い、ハインツさんと商談室を出て行った。
 一度出した宝石類を回収させてもらう。
 そして、俺とマルクスさんとカルロッテさんは出されたお茶を飲みながら待っていた。
「それにしても、さすがはダンジョン産だわ。見事な品質だったわねぇ」
 カルロッテさんがしみじみとそう言った。
「俺は宝石類のことなどさっぱりわからんが、それほどか?」
 マルクスさんがそう言う。
 男の冒険者なんてみんなそんなもんだよね。
「ええ。さっきハインツさんも言ってましたけど、特にイエローダイヤモンドはすごかった。おそらくだけど安く見積もっても金貨2500枚は下らないと思うわ」
「あ、あれ1つで金貨2500枚か……」
「もちろん他の宝石類も良い物だけど、その中ではタンザナイトのネックレスがいいわね。タンザナイト自体珍しいのに、あの大きさの粒ですもの。デザインはちょっと古い感じだけど、それは何とでもなるし。タンザナイトだけ外して別のデザインの指輪なりネックレスに付け替えればいいだけだもの」
 ああ、そうか。
 ドランでもデザインが古いと言われたけど、確かに宝石だけ外して別のものに付け替えれば今の流行りに合った宝飾品ができるわけか。
 なるほどなぁ、宝飾品に興味もなかったからそんなこと思いつきもしなかった。
 カルロッテさんの意見に関心していると、ゲルトさんとハインツさんが戻ってきた。
「お待たせいたしました。それではこちらで買取させていただきたいものは……」
 ゲルトさんが買取したいと言ってきたのは、サファイア(中粒)とタンザナイトのネックレス、それからミミックの宝箱(大)のエメラルドの方だった。
「買取価格なのですが、サファイア(中粒)が金貨310枚、タンザナイトのネックレスが金貨230枚、宝箱(大)エメラルドの方が金貨380枚でいかがでしょうか?」
 そう言われても適正価格なのか俺じゃわからんな。
 このときのために……。
「カルロッテさん、どうでしょう?」
「私の意見を言わせてもらいますとタンザナイトのネックレスが少し安過ぎる気がしますわ」
 カルロッテさんがそう言うと、すかさずハインツさんとゲルトさんが反論してきた。
「見ていただければお分かりのとおり、このタンザナイトのネックレスはデザインが古いですからね」
「私どももそれを考慮した価格になっておりますので、妥当かと思いますが」
 でも、さっきそれカルロッテさんが……。
「それはおかしいですね~。デザインが古いのは承知しておりますが、タンザナイトだけ外して別のデザインの指輪なりネックレスに付け替えればいいだけだけではないですか? そちらのネックレスのタンザナイトの価格だけでも金貨230枚というのはちょっと安過ぎると思いますわ」
 カルロッテさんがそう言うと、ゲルトさんとハインツさんが小声で話し始めた。
「安過ぎるということはないと思うのですが、そう言われるのであれば……金貨250枚でどうでしょうか?」
 そう言われて、俺はカルロッテさんに「どうです?」と振った。
「普通でしたらそれでいいんでしょうが、これはダンジョン産ですからねぇ。濁りも傷もない高品質なことを考えるともう少し高値になるはずだと思いますわ」
「それでは金貨260枚で。これ以上はちょっと……」
 カルロッテさんの意見に対してけん制するようにゲルトさんがそう言った。
「ムコーダさんは今どうしてもお金が必要というわけではないということでよろしいのかしら?」
「はい。特には……」
 金は貯まっていく一方だから別に困ってはないぞ。
「それならば、ここで買い取ってもらわずに別な街で買取してもらうという方法もありますわね。王都に行けば、もう少し高値が期待できますわよ」
 特に今どうしても買取してもらわなきゃってわけでもないし、カルロッテさんの言うとおりそういう方法もありか。
 すぐ王都とやらに行くわけじゃないけど、俺にはアイテムボックスもあるし、いずれ行ったときに買取してもらうってことでも別に困りはしないんだよな。
「ちょ、ちょっとお待ちください。そういうお話なら、何とか金貨280枚まで出します。是非とも当ギルドで買取させてください」
 カルロッテさんが王都の話を出すと、ゲルトさんが焦ったようにそう言った。
 当のカルロッテさんを見ると笑顔で頷いた。
「はい、それでお願いします」
 俺がそう言うと、ゲルトさんも安心したのか笑顔を見せた。
 それではと、アイテムボックスに回収した中からサファイア(中粒)とタンザナイトのネックレス、それからミミックの宝箱(大)のエメラルドの方をテーブルに再び出した。
「それでは全部で金貨970枚のお取引ということで。今用意しますので少々お待ちを」
 ハインツさんが席を立つと、少しして別な職員がやって来て麻袋をゲルトさんに渡した。
「それではこちらが買取代金です。この額なので、大金貨で用意させていただきました。ご確認ください」
 1、2、3……大金貨97枚で金貨970枚分あるな。
「はい、間違いなく」
「本日はダンジョン産のものを買取させていただきましてありがとうございました」
 取引も終わりゲルトさんが笑顔でそう言った。
「いえこちらこそありがとうございました」
 終わりよければすべて良しだね。
 でも、やっぱりカルロッテさんに付いてきてもらって正解だった。
 こういう宝石類のことは俺にはよくわからんし、タンザナイトのくだりを見た限りやっぱり見る人によっても多少違うみたいだしな。
 取引が終わって俺たちは商人ギルドを後にした。
「あ、そうだ今回の費用の方はいかほどですか?」
 マルクスさんにそう聞くと「今回のは無料だ」と言った。
「もちろん今日一番いい仕事をしてくれたカルロッテにはギルドから特別報酬がでるぞ」
「ホントですか? いい物見せてもらったうえに報酬がもらえるなんて、いい仕事だったわぁ」
 そう言ってカルロッテさんはニコニコだ。
「マルクスさん、いいんですか?」
「ああ、お前のおかげでうちのギルドも大分儲かったからな。これくらいの恩返しはしないと罰が当たるぜ」
 え、そうなの?
 ま、まぁそう言ってくれるならありがたくそうさせてもらうけど。
 そうなると冒険者ギルドに行かなくてもよくなり、冒険者ギルドに戻るマルクスさんとカルロッテさんと道の途中で別れて、俺たちは家へと帰って行った。




ただ今のムコーダ所持金額
 推定金貨43,160枚
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