表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
206/655

第百九十四話 Dランクとダンジョン

「ふ~食った食った」

「美味かったなー」

「うん、美味しかったわね」

「ああ、美味しかった」

「お腹いっぱーい」

 飯も食い終わり、5人はオレンジジュース、俺はアイスコーヒーを飲みながらリビングでくつろいでいる。

 5人とも満足してくれたみたいだ。

 フェルたちも腹いっぱい食って満足したようだ。

 フェルがゴロンと横になって、ドラちゃんはフェルにもたれかかるように寝てるし、スイもフェルにくっついて寝てるみたいだ。

 俺も飯は食ったけど、みんなのおかわり分作りながらの飯になったぜ。

 まぁ、誘ったのは俺だし「美味い」って言ってもらえるのは嬉しいからいいんだけど。

「みんな明日は依頼を受けるのか?」

「ええ、その予定です。みんなとも話してたんだけど、今度は“依頼では予想外のことが起きることもある”っていうのを肝に銘じて、何があっても焦らないようにいきます」

 そう答えたのはアントンだ。

 昨日あんなことがあったのに、もう明日には依頼を受けるつもりなのか。

 Fランク冒険者がんばるねぇ。

「俺たちみたいなのは、コツコツ依頼を受けていかないと、ランク上がんないしなー」

 そうボヤいたのはフィリップだ。

「ええ。小さなことからコツコツやっていかないとね。早くDランクになりたいし」

 早くDランクになりたいと言ったのはブリジッタ。

 Dランクって何かあったっけ?

「そうだね。早くDランクになってダンジョンに行きたいもんね」

 ん?Dランクになってダンジョン?

 パウル、Dランクとダンジョンって何か関係あんのか?

「そうだよねぇ~。早くダンジョン行きたい」

 リヴィアまでそんなことを言う。

 Dランクとダンジョンって何か関係あるんですかい?

「あ、あのさ、Dランクになってダンジョンって何か関係あるのか?」

 そう聞くと5人とも何言ってるの?って顔で俺を見た。

「え、知らないんですか? 冒険者ギルドではダンジョンに入るのはDランク以上を推奨してるんですよ」

 アントンがそう言う。

 へ?そうだったの?

 全然知らんかったよ。

 そう言えば、俺がドランのダンジョン入ったときは一応Cランクだったからな。

 そういう基本的なことは言われなかったし、こっちも聞かなかったもんな。

 アントンが言うには、それでもあくまで推奨だから、Dランク以下でも入れないことはないとのこと。

「でも、ランクが低いまま入っても結局無駄死にすることになるでしょうけど。俺たちはそんな馬鹿じゃないんで、ちゃんとギルド推奨のDランクになってから入るつもりです。それに、入るときも講習をしっかり受けて入ろうと思ってます」

 アントンに聞くと、何でも、初めてダンジョンに入る冒険者向けに冒険者ギルドでは講習会も行っているそうだ。

 俺、そんなん初めて聞いたんだけどね。

 というか、もしかしてドランでもやってた?

 そんなのやってたんなら講習受けたのに。

 エルランドさん、そんなこと一言も言ってなかったんだけどー。

 チクショウ、あのドラゴン狂いのポンコツ壮年エルフめ。

「ダンジョンと言えば、最近何か噂を聞いたんですよね……。あー、思い出しましたッ! 今度ネイホフに来るAランク冒険者がドランのダンジョンを踏破したって話!」

 パウルが俺の顔を見ながらそう言った。

 パウルの話を聞いてみんながバッと俺に視線を向けた。

「ほ、本当ですか?」

 アントンが恐る恐る聞いてきた。

「えー、まー、そのう、一応ね」

 そう言うと5人が興奮しきりで騒ぎ出した。

 そして「スゲェ!」とか「カッケェ!」とか称賛を浴びる。

 5人にキラキラした目で見られてるよ。

 ちょっと罪悪感もあり、本当のことを伝える。

「いやぁ、フェルとドラちゃんとスイのおかげで踏破できたんだけどな。俺の場合は従魔がものすごい強いもんで、従魔頼りなのよ」

「テイマーなんだから当然じゃないですか。そういう強い従魔がいるということはテイマーとして一流ということですよ。それは冒険者としても一流ってことじゃないですか、尊敬します!」

 アントンがそう言うと、他のみんなもうんうん頷いている。

 あ、あれ?そ、そうなの?

 続いてみんなから質問攻めにあう。

「ダンジョンの中はどうでしたっ?」

「どんな敵がいたんですかっ?」

「ドロップ品はっ?」

「どんな罠がっ?」

「宝箱の中身はっ?」

 みんなの質問に答えながら、ダンジョンでの経験を話していった。



「あれ、もうこんな時間だ」

 時が経つのは早いもので、辺りは薄暗くなっていた。

「みんな、今日はうちに泊まっていったらどう?」

「いや、明日も早いし戻ります。な、みんな」

「アントンの言うとおりだ。ムコーダさんの話を聞いたら俄然やる気が出てきた」

「私もよ、フィリップ。ダンジョン早く行きたいものね」

「ブリジッタに同意だよ。僕もダンジョンに早く行きたいね」

「パウル、そのためにはDランクにならないとだよ。みんながんばろうね」

 最後はリヴィアがそう締めてみんなもうんうん頷いている。

 俺のドランのダンジョンの話を聞いて、やる気満々になっているようだ。

「そうか。それじゃ、気を付けて帰れよ」

「はい。ムコーダさん今日はどうもありがとうございました」

「いや、こっちこそ、いろいろ案内してくれてありがとうな」

 こうして5人は帰って行った。

 5人ともダンジョンを目指してるみたいで、いろいろ聞いてきたよ。

 それにダンジョンと言えば一獲千金そして冒険者の夢だって熱く語ってたし。

 聞いてないのに、ドラン以外のダンジョンの話もしてくれたしな。

 俺としてはいらない情報だったんだけど。

 というのも、リビングで寝てたフェルが薄目を開けて聞いてたの見ちゃったんだよねぇ。

 またダンジョンダンジョン騒ぎそうだよ。

 はぁ~。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 〉ドラゴン狂いのポンコツ壮年エルフめ ムコーダさん言いたい放題(๑´∀`๑) 〉強い従魔がいるということはテイマーとして一流ということですよ。それは冒険者としても一流ってことじゃないで…
[一言] 「ポケットモンスター」だって、モンスターが強いのであって、テイマーは強い訳ではありません。 ですから、強いモンスターを使役している=テイマーの強さで間違いないと思います。
[良い点] 本人に戦闘力が無くても、テイマーとして一流なのは間違いないな 強力なスキルや魔法や道具なんかで無理矢理服従させてるわけでもなく、 皆自分から好んで集まってきてるわけで、のびのびしてるしな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ