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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第92話 男性の責任は重要です

 朝、目が覚め朝食を楽しむ。ただティーシアの熱い視線が怖い。帰ってきたら、説明しないといけないなとは思う。

 リズの入浴効果はまだ続いており、朝からピッカピカだ。本人もすこぶる機嫌が良い。


 用意を終わらせ、冒険者ギルド前に荷車を引きながら、到着する。テント類を乗せてもそこまで重さを感じない。

 少なくとも、現時点では作って良かったと感じる。


 フィアとロットは先に待っていたので、朝の挨拶をする。


「えぇぇぇぇ!!リズ、どうしたの!?超綺麗になってるじゃん!!それに髪の毛、さらさらだし。何!?何が起きたの!?」


 フィアの叫び声が聞こえる。リズも調子に乗ってふふんといった感じで髪を靡かせてフィアを煽っている。

 微笑ましいなと思いながら、2人の様子を見ていたが、ふと違和感を感じた。

 何かと思えば、フィアの様子がおかしい。何となく歩き方がおかしいし、下半身が安定していない。と言うか、股間から腰をかばう歩き方、挙動だった。


 少し考えて、こう言う状況に思い至った。あぁ、食ったか。


 2人を一旦待たせて、ロットを物陰に引き込む。


「しましたか?」


 努めて真顔でロットに聞く。

 本人は、顔を真っ赤にして、俯く。


「しましたか?」


「……はい。雰囲気に負けました……」


 ロットが白状する。流石肉食系。捕獲したら、即食べちゃうかー。


「別にパーティー内の恋愛を否定するつもりは無いです。私もリズと婚約していますし」


 冷静な口調を心掛け、続ける。


「ただ、パーティー活動に支障が出るのは問題です。言い方は悪いですが、仲間の命がかかっている活動ですので」


「……はい。重々承知しています」


「今日はフィアは使い物になりません。本人は何も言わないでしょうが、無理をして怪我をされるのが怖いです」


 まぁ、大丈夫だとは思うけど、何かの拍子にと言うのも有るので、大事を取るか。


「後の問題は人間関係です。恋愛のもつれでパーティー崩壊とか目も当てられません。責任を取る気は有りますか?」


「それは!!有ります……」


「避妊に関しても自己申告です。何時の間にか避妊を解除されていても男性は分かりません」


 そう、加護が有ると言っても、女性側が任意で解除出来るので、怖いのは怖いのだ。


「子供が出来てパーティー崩壊の可能性も有ります。そこは男性の責任でも有ります。君はきちんと確認して行動を起こしましたか?」


「いえ……。すみません、軽率でした」


「怒っている訳ではありません。ただ、はい。軽率かなとは考えます。それにしたと言う事は、今後結婚も視野に入れて考えますか?」


「はい。そこはもう決めました。添い遂げます」


 この辺、びしっとしているのは格好良いよな。ただ、10歳歳下の嫁に食われる25歳と考えると、男は女に勝てないなとは思うけど。


「では、行動しなさい。具体的には今日は休養日にします。フィアを労わってあげて下さい。後、婚約の腕輪は雑貨屋さんに取り扱いが有ります。明日着けていない場合は、人の話を聞かない人間だと認識します」


「はい!!急ぎ行動します」


「まぁ、仲が良いのは良い事だし。ロットも良い歳なんだから、きちんと守ってあげてね?親御さんの方にも報告はする事。何よりも、おめでとう。お幸せに」


 最後は微笑み、ロットの将来を祝福する。

 一瞬呆然とした顔をした後、幸せそうな、照れくさそうな顔で頭を掻く。


「本日は申し訳ありません。遠征に関しては明日からに日延べさせて下さい。本日はフィアの対応をします」


「はいはい。あんまり気にしないようにね。無理はしないで。フィアさんを大事にしてあげて」


 そう言うと、物陰から出て本日休養日にする旨と明日から遠征での予定を告げる。

 理由は敢えて告げなかったので、リズはきょとんとした顔だった。ロットは真っ赤。フィアも事態が分かって来たのか、徐々に赤くなっていた。


 まぁ、食べ物も日持ちするから問題無いか。

 休養日と言う事で、リズと過ごそうかと思ったが、どうもお風呂効果をご近所に自慢したくてうずうずしている模様なので、許可した。

 たーっと走って行くリズの後姿を見ながら、宣伝になるか、恐慌状態になるかは賭けだなとも考えた。


 折角ぽっかり空いた休養日なので、一度家に戻りティーシアに報告をする。超喜んでいて、ちょっと引いた。


 後は木工屋に行って、すのこの在庫が有るか聞いてみたが、無いようだ。後は石鹸の型抜き用に、大小2つの底の抜けた木枠と蓋と底の設計図を持参している。

 ただ、両方すぐに作れる物なので、しばし待つ。今後の開発を考えると職人さんは引っ張ってきたいなぁと新領地の運営を考えていた。集中していたのか待ったと思うまでも無く、出来たと言う。

 一般的な洗い場マット程度の大きさのすのこと、大小の木箱を持ってきた。すのこは申し分無い。木箱も抜けがしっかりしており隙間も無い。これならば、石鹸の形成にも使える

 代金はびっくりするくらい安かったが、片手間だと言われたので納得して支払う。時間は小一時間も経ってはいない。


 荷物と家に運び、ティーシアに今後の入浴に関して相談した。キッチンの土間での運用に関しては許可が出た。元々土間に傾斜がついており、水分はそのまま外に流れ出る設計になっている。

 樽とすのこを設置して、風呂場もどきの完成だ。今晩の事を考えてか、ティーシアが夢見る乙女みたいになっていたが、気にしない。


 折角の休養日なので、何をするかと考えたが、特に何も思い浮かばない。服も考えたが、今の2着で取り敢えずはまかなえている。急ぎでは無い。


 まぁ、男爵と言う安定職に就けた事を感謝する為にお祈りでもするかと、教会に向かう。


 いつもの女性に出迎えられ、壇上に登り、膝を曲げる。

 男爵就任と言う人生に感謝する旨の祈りを心の中で呟く。


 その瞬間だった。


 <告。深刻なエラーが発生しました。不明なシステムが接続されました。カウンターシス>


 『識者』先生が前と同じく慌てた口調で告げたと思った瞬間、ブツッと言う音と共に沈黙する。


 あれぇ?神様出て来る程の話だったのかな?

 呑気にそう思った。

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