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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第84話 日本人はお湯に浸からないと駄目な気がします(異論は認める)

 後番のロットに手を振り、起きたのをアピールする。


 朝ご飯は、昨日の鳥の残りを串焼きにする。

 胡椒と塩を振り、ざっと外側を焼く。表面の色が満遍なく変わったら、後は焚火の外側でじっくりと中まで火を通して行く。


 並行して、鍋にお湯を入れ、油かすを戻す。ある程度戻った所で、野草と保存食を入れて粥状にしていく。

 味見をし、塩で調整をした辺りで、匂いに釣られたのか皆が起きてきた。


 カップに粥を注ぎ、串焼きを乗せて行く。


「では、今日も一日怪我の無い様に。食べましょう」


 串焼きを一口齧る。生な部分は残っておらず、柔らかな肉から肉汁と旨味が出て来る。

 周りのカリッとした食感と刺激的な味とのコントラストも良い。 

 粥も、油かすのコクが出て満足感の高い物となっている。


「朝から肉とか超贅沢。しかもくにゅくにゅがまた入ってる!!うまぁ」


 フィアは朝から元気だ。


 ちなみに油かすだが、ティーシアが徐々に生産をしている。現在は乾燥させながら、奥様ネットワークに分けている最中だ。

 レシピも一緒に伝えているので、村の名物になる日もそう遠くは無いだろう。

 副産物のイノシシ油に関しても、元々植物を芯に使っていたようで過去の在庫以外は南の森から採取した物を乾燥させ獣脂蝋燭を量産中だ。10等級の依頼なのでコストもかからない。

 現在は薪代で完全な赤字だが、獣脂蝋燭の販売を開始すれば、それだけでかなり黒になる。油かすが認知され販売されるようになれば、トータルでかなりの利益が見込める。

 ティーシアは機織り職人なのだが、最近色々忙しそうで、常にバタバタしている。ただ、ずいぶんと若返った様に見えるので、良い事かなとも思う。


 朝食と片づけが済み、皆が馬車に乗り込む。

 ここからは特に特別な事は無かった。私はロットと領地の件で相談しつつ水魔術を上げ、残り2人は訓練と称して走る。


 で、本当ならもう一泊して次の朝に到着の予定だったのだが、その日の夕方遅くに到着してしまった。

 原因は、馬車の乗員が少なめの上に2人が走っていた為、通常以上の速度で進み続けた事だ。


 ロットにおすすめの宿を聞き、そこにチェックインしに行く。荷物を置いて、3人には当初目的のマントとテントの偵察をお願いし、その後は自由行動で良いと告げた。


 私は先触れとして領主館に赴く。手紙を差し出し、町への到着と宿の情報を出てきた執事に告げた。面会に関しては子爵の都合に任せると告げると、そのまま待たされた。

 宿に連絡が来て、再度赴くものと考えていたが、どういう事だろう。色々考えながら、領主館の入り口で暫し待つ。

 そう間を空けず、執事が戻って来て明日の昼前に面会可能の旨を告げて来る。予想以上にフットワークが軽い。まぁ、考えてもしょうがないと了承を告げ、宿に戻る。


 他の3人はまだ戻って来ていなかった。まぁ、自由行動と言ったので、色々見て回っているのかもしれない。


 丁度良いので出来るかなと、宿の店員に一番大きな盥を見せて貰う事にした。日本で行水に使っていた盥より大きい物が有った。洗濯用の物のようだ。

 行水に使って良いかと聞くと、問題無いらしい。裏庭が生垣に囲まれており視界が遮られるとの事。実際に行ってみると高い木が覆っており、上の階からも見えないポイントだった。

 まぁ、寒いのは寒いが、露天風呂気分だーと、43度程度の熱めのお湯で盥を満たす。手には大きめの端切れ。

 服を脱ぎ、畳んでおく。新しい下着も用意してある。洗濯は宿のサービスでお願い出来るので気にしない。

 そのまま、ゆっくりと盥に浸かる。大きいと言っても腰辺りまでの深さだが、お湯に浸かる事自体が久々だ。


「あぁぁぁぁぁ。やばい……。気持ち良い」


 勝手に声が出る。日本人は風呂に入らないと駄目だ。熱めのお湯に端切れを浸けて体全体が温まるようにかけ湯をする。

 くはぁ……。流石にひと月も風呂に入らないと感覚を忘れてしまっていた。腰の下から徐々に上がって来る熱を感じながら、久々のお風呂気分を味わった。


 体を拭き、服を着る。メタボ体形の所為か汗が引くまで時間がかかる。

 取り敢えず涼むのは後にして、盥の衛生を考えて、熱湯で中を濯ぎ、別の端切れで擦る。その上で熱湯で濯ぐ。

 このサイズ分だ。若干過剰帰還で気持ち悪くなったが、風呂の快楽には代えられない。それに、借りた盥を汚いまま返すのは嫌だった。

 しかし、このサイズの盥が有れば、欲しいな。村の木工屋に在庫無いかな。そんな事を考えながら洗浄済みの盥を宿に返し、部屋に戻る。


 流石に風呂気分を味わっている間に、皆帰って来ていた。


「あら?先に体清めていたの?」


 リズが不思議そうに聞いてくる。


「皆の帰りが何時頃になるか読めなかったから。どうせ1人でやる事無かったから先に済ませたよ」


「あら?そうなの。丁度良かった。ロットが浴場を知っていたから、皆で行ってきたの」


 それを聞いた瞬間、愕然とした。行水でお風呂気分より、お風呂の方が良かった……。

 ただ聞いてみると、この町の浴場は、サウナと水風呂形式らしい。なら湯船に浸かれた今回の方が良いか。


 そんな事を考えながら、宿の夕食を済ませ、部屋に戻る。男女別々の2人部屋だ。

 食事の質は悪くなく美味しかったし、肉も出た。部屋もそこそこの広さだ。

 値段も青空亭の同じ部屋より千ワール高いだけだ。町中の宿と考えればかなり優良だ。

 良い宿認定しておく。町に来たら、今後もここに泊まろう。

 落ち着いた雰囲気の中、ロットと雑談をする。


「この町はサウナしかないの?」


「湯船の有る浴場は無いです。他の町ならば探せば有るかもしれないですが、釜の用意と薪代で採算が取れないでしょう」


 やはり湯船は難しいか。


「サウナであれば、ある程度密閉した空間で炭を焚いて皿の水を蒸発させるだけです。湯船の運用コストとは全く違います」


 炭の開発は当然されている。炭の価格もそこまで高くは無い。そう考えると公衆浴場はサウナになるか。

 領主館が作られるなら、浴場は欲しいな。要望は出しておこう。場所が良いなら、露天風呂も視野に入れよう。


 そんな四方山話で夜が更けていき、そのまま就寝となった。

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