表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
82/810

第79話 ファンタジーの世界の人って雨の時どうしているんでしょうか?

 結論としては惨敗だった。まだ、日本の感覚が抜けていなかったと実感した。

 雨、怖い。特に寒くなる季節の雨は、厄介すぎる。


 森に着き、狩りを始めてからしばらくしてパラパラと雨が降り始めた。

 振り始めの頃はまだ良かったのだが、徐々に雨足が強くなり地面がぬかるみ始めるともう、別世界だ。


 歩くのは注意していれば問題無いのだが、戦闘が始まるとそんな事を気にする余裕は無い。

 落ち葉等で滑って足を取られ、バランスを崩し攻撃を受けるパターンが増えた。

 他の3人は比較的慣れていたが、私はもう諦めて途中から戦闘の気配を感じたら、ホバーに移行して魔術での援護に徹した。

 ただ、それでも、注意だけではどうしようもない。

 ロットに聞いてみると、雪中の際にはスパイクの様な金具を靴に結びつけて行動するらしいが、荷物になるので雨程度では使わないらしい。

 足が滑る環境で牽制を出来るだけの技術を磨かないと駄目だ。


 また染み込んでくる雨が厄介だ。動いている間はまだ良いのだが、止まると一気に体温が下がる。

 野営に際しても、雨が降らない場所なんて、早々見つからない。

 森の中での睡眠は避けたかったが、大きめの木の下が比較的雨を防げた為そこを野営地に変更した。


 薪に関しても、表面が湿気っている為火が付かない。急いで雨の影響を受けていない大きな木々の下から乾いた小枝を延々拾い集めた。

 種火に関しては、ライターを隠して使った。火口箱は皆持っているが、濡れた状態の小枝側に火を移すのが難しい。

 そこから火を移しても表面が濡れた薪なので、大きくするのにも一苦労だ。ガタガタ震えながら必死に小枝をくべて火を大きくするしかなかった。


 食事は火が付いたのでどうにかなった。並行して、毛布は火に近づけ出来るだけ乾燥させた。


 寝る時は前番だったのだが、濡れた体が冷えて、動けない。火から離れられない。『警戒』で必死に周辺を確認しながら、次を待った。

 雨は番をしている間に徐々に収まり、止んだ。

 時間となり、フィアを起こして毛布を借りたのだが、やはり雨の影響で濡れていた。フィアが出た瞬間は温かかったが、風を受けると一気に熱を持って行かれた。

 震えながら、覚醒と睡眠を繰り返しながら、朦朧と朝を迎えた。


 火は残っていたので、朝食の支度をしながらロットに雨の野営に関して聞いてみた。


「雨の際には行動はしません。危急な用件が無い限り、テントに籠ります」


「危急の際にはどうするの?」


「寒い時期であれば、マントを羽織ります。戦闘が発生するならば脱いで、戦闘後にまた羽織る流れです。風除けだけでも体温の低下は全然違います」


「あまり、マントを付けている人を見なかったけど?」


「皆、荷物に入れていますよ。もう少し寒い時期になれば普通に羽織ります。夏場は日除けになりますし。斥候職の一部は暗器を仕込んだりするので常に羽織っている人もいます」


 どうも、撥水加工のマントが存在するらしい。村には無いが、町には普通に売っているとの事だ。

 そりゃ村で生活している限り、多少濡れても建物の中で乾燥させれば良い。町で外回りをしなければならない職業にはマントは必須だ。

 ゲームや漫画でもマントを羽織っている姿を見て演出なのか?と思ったが、違う。あれは実用品だ。


 後、テントに関しても町に行けば普通に売っているらしい。

 撥水加工済みの皮の覆いが付いたテントなどはとんでもない金額だが、普通の撥水加工のテントなら、パーティー資金で十分買える。

 準備と情報が足りなかったと痛感した。


 フィアにも寒い雨の時にどうしていたのか聞いてみた。


「んー?大きな木の下で雨宿りかなぁ?1人で濡れたまま戦闘とか、マジで死ぬし。危な過ぎ。防具の手入れも面倒」


 この世界の人は雨の中では行動しないのかと改めて納得した。

 ただ、テントとマントは早めに購入を考えよう。

 どうせ男爵の返答が来れば町に行かなければならない。返答が来たら、男爵の件と合わせて相談してみよう。


 そう考えながら、食事を終えて、狩りを続けていた。だが、時間が経つにつれて、体が徐々に怠くなってきた。

 私はインフルエンザ等で無い限り、ほとんど風邪の症状が出ないのだが、久々に風邪かと思う症状が出てきた。


 無視出来る程度の症状なので、後4日と思いそのまま狩りを続けた。

 ただ、やはり判断能力が低下しているのか、ミス未満のひやっとした瞬間が増えた。

 その日の夕方前に3人と話し合い、一旦村に戻り休養を取る事にした。

 体調不良で欠勤は久々だったので、精神的に辛かった。リズには何時も無理するからと叱られた。理不尽だ。


 家に戻り一晩寝たら、体調の不良は治っていた。

 この世界に来た当初は食べ物か水に慣れていない所為か下痢になった時期も有る。それ以来久々の体調不良だった。


 この後の3日に関しては、晴れが続き、問題は起きなかった。

 ただ、森の入り口側の混乱も落ち着いてきたようで、ゴブリンの数はかなり減っていた。

 その分、奥に入って行ったが、熊の出現は無かった。


 最終日に今回の遠征に関して体調不良で休養を取り、当初目標を達成出来なかった件を相談してみた。


「体調不良はしょうがありません。大事が無くて良かったです」


 や


「リーダー無理しすぎ?と言うか、考えすぎ」


 と言う答えが返って来た。リズには聞いていない。絶対に叱られるから。


 そんなこんなで一週間の遠征が終わった。色々と教訓は得た。雨対策はしっかり。無意味な無理はしない。固く誓った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブックマーク、感想、評価を頂きまして、ありがとうございます。孤独な作品作成の中で皆様の思いが指針となり、モチベーション維持となっております。これからも末永いお付き合いのほど宜しくお願い申し上げます。 twitterでつぶやいて下さる方もいらっしゃるのでアカウント(@n0885dc)を作りました。もしよろしければそちらでもコンタクトして下さい。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ