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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第76話 パーティーの生活環境を整えるのは重要と考えます

 食事が終わり、小さめの桶に熱めのお湯を出し、女性陣に岩陰で体を清めてもらうよう促した。

 前に、野営の時便利かなと思ったが、予想以上に女性陣の評判は高かった。

 凄い勢いで、岩陰に回り込んで行った。まぁ、返り血とか有るし、さっさとさっぱりしたいよなぁ、女の子だし。


 そう思いながら、食べ終わった鍋と皆のカップと匙を熱いお湯で濯ぎ、タワシもどきで磨き、再度お湯で濯ぐ。

 タワシもどきに関しては、椰子っぽい繊維質な木から作られている。実物はまだ見た事が無い。取り敢えず、タワシっぽいのでタワシもどきと呼んでいる。

 何時の間にか、『認識』先生もタワシもどきで処理するようになった。意訳の方もだ。まぁ、通じるから良いけど。


「本当に、多才ですね」


 一緒に女性陣を待っているロットから話しかけられる。


「そう?一般的な後衛ってこんなイメージだったけど」


「いえいえいえいえ。違います。大体は過剰帰還ぎりぎりまで魔法を撃って、後は休んでいるパターンです。野営の際にも、材料集めに出されるか、過剰帰還を恐れて休むかです」


 それだけ聞いていると、何だか楽そうなイメージだな。


「今まで中衛を意識していたから、そんな感じでは無かったかな?魔術も極力使わないし」


 ロットが指を1本立てる。


「前の際も色々拝見していましたが、まず大規模戦闘の作戦立案、組織調整が出来るリーダーが稀有です」


 ロットが指を2本立てる。


「それに魔術士が槍で牽制をやる事が皆無です」


 ロットが指を3本立てる。


「また、その分で過剰帰還までの余裕を生んで、生活に回す発想は無いです。私も色々なパーティーを渡り歩いて来ました。ここまで生活環境に特化したパーティーなんて初めてです」


 日本的な最低限のサービスを想定していたが、どうも大絶賛だ。ピンとこない。


「でも、水魔術で飲み水作るとか聞いたよ?生活にも利用するんじゃないの?」


「それは余程水が無く、差し迫った場合です。後衛の基本は殲滅力です。それを運用でカバーしている事が信じられません」


 一般常識はこうなのか。でも、私がいないと案外そうなのかな。発想の元が違うし。


「んー。私も殲滅に回った方が良いかな?」


「前に拝見しましたが、あの殲滅力は現状で過剰です。熊でも問題無いです。練度を上げる意味でもこのまま進めた方が望ましいでしょう。ただただ、多才だなと実感はしました」


 ふーむ。まぁ、問題が無いなら良いか。8等級のパーティーを渡り歩いて来た先輩の意見だし。取り敢えずは素直に認識しておこう。


「分かった。その辺は臨機応変で行こう。後、リズとも相談したけど、投擲用のナイフをパーティー資産として扱おうと考えている。管理は任せるけど、購入と保守はパーティー資金で持ちたい」


「それは……非常にありがたいですが。良いんですか?そんな事に、パーティー資金を使っても」


「パーティー戦の消耗品だから、個人で負担するのはおかしいかなと」


 そんな感じで、現在の状況や戦闘時の問題の洗い出し、日常の過ごし方などを話して行った。


「結婚とかはどう考えているの?」


 そう聞くと、若干戸惑った顔を見せた。


「商家の3男です。無理と思っていましたが、貯蓄と最近の稼ぎを合わせると、結婚資金としては見えてきました。後は結婚後の生活を安定出来る程度の稼ぎを確保出来れば、探します」


 真面目だ。冒険者生活は向いていない気もする。定職に就いた方が、絶対に良い。


「ちなみに、フィアさんと仲が良いようだけど、彼女はどうなの?結婚相手の対象に出来そう?」


 ロットの顔がほのかに赤面した。


「あ、あの、そうですね。フィアさんは素敵な方だと思います。一緒になっても家を守ってくれそうですし。ただ、今は収入源をはっきりさせない限りは考えられません」


 まぁ、脈は有りそうか。フィアのアプローチも間違っていないと。流石肉食系。リズの婚約にも悔しそうだったしな。

 私の考えとしては、仕事をきちんとしてくれるなら、社内恋愛にも寛容だ。ただ、仕事に差し支えるなら、ちょっと考える。

 仲間を見捨てる事は極力しないが、どこかでその選択が出るかもしれない。ただ、その際の最優先はリズだ。これはもう、全員に伝えている。

 愛する人を大事に出来ないと仲間も大事に出来ない。まぁ、バツイチの言う台詞じゃないけど。


「ヒロ、終わったよ」


 さっぱりした顔で、リズ達が戻って来る。

 入れ替わりで、ロットと共に、岩陰に向かう。


 ざっと上着を脱ぎ、熱めのお湯を桶に出す。

 冷えた体に心地良いなと、体を拭いながら空を見上げると、満天の星空だった。

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