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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第一章 異世界に来たみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第47話 パーティー活動始動

 10等級と9等級を上げるなら、この前に行った沢が丁度良い。

 ヴァズ草を集めながら、ゴブリンも探す事が可能だ。

 時間は遅めだが、目的地を伝え皆の了承を得る。


 ちなみに、達成数だが依頼1つに付き、1だ。例外は無いし、何人で受けても1は1だ。

 だから、兎に角ミドルから下位層が厚い。個人で受けられる依頼は1人で受け取れる。

 パーティーだと、都度調整が必要だ。大概リーダーを優先に低い者に割り振っていく。

 ちなみに、パワーレベリングは推奨されている。と言うか、先達が説明しながら、後進を育てて行くのを後押しする為だ。

 要は、等級の高い人間が依頼を達成し、等級の低い人間に達成数を稼がせる。

 ただ、これも、9等級中の話だ。ゴブリン程度殺せないと、この先やって行けない。


 沢に着き、役割分担を決める。

 リズは、目標を指示し、装備の訓練をする。盾は帰ってから木刀か何かで仮想敵を私がこなすので、まずはハンマーをどう使うか、体に覚え込ませる。

 フィアは、『警戒』を上げさせたいので、周辺を巡回させ、ゴブリンを見つけてもらう。2と矢印を刻み、周回してもらう。

 私は、ヴァズ草を採取する。お金稼いでポイント稼がないと。


「リズ、ゴブリンがこういう感じで来た時に、頭、胸、足を殴れる様に振ってごらん」


「こう言う感じ?」


「そうそう。それを繰り返して、体で覚え込むんだ。後は色んな方向から来た場合を想定して行こう」


 仮想敵役をこなし、ヴァズ草を採取していく。

 それから数度、リズに指示を出していると、フィアが足早に戻ってきた。


「ゴブリン2体が移動中だよ」


「場所は?」


「こっちに向かってる」


「よし、移動して、隠れて先手を打とう」


 フィアを先頭に小走りに、なるべく音を響かせ無いように進む。

 藪に隠れ、しゃがみ込み、指さす。

 ゴブリンが2匹ゆっくりと歩いている。


「フィアさんは他が来ないか周りを警戒して。リズは左側を頼む。左の方を走り抜けつつ、ハンマーを胸元に当てて。右は私が叩く。私の実行の発生を合図に、行動を開始しよう」


 指示を出し、頭に仮想ウィンドウを浮かべる。気持ち悪さを噛み殺しながら、前にゴブリンの胸元に当てたイメージをシミュレーションする。

 間違い無く胸元が爆散している。圧縮と速度を調整する。前のイメージはかなり過剰だった様だ。速度は一緒で圧縮規模を下げる。OKが出た。

 右手人差し指を、ゴブリンの胸元に向ける。準備は整った。首を縦に振り合図を送る。


「実行」


 声を上げた瞬間、右のゴブリンの胸元が爆散し、背中から倒れ込む。

 その瞬間、リズが藪を飛び出し、そのままの勢いで、左のゴブリンの胸元に若干振り下ろし気味にハンマーを叩き込む。面の部分が綺麗に胸元に入る。

 引っ掛け気味に振りぬくと、ゴブリンが左側に鈍い音を立てながら、滑り、止まる。全身がピクピク痙攣しているが、胸元は陥没している。肋骨は折れているだろう。

 リズが腰の鉈を抜き、首の血管を切る。しばし痙攣を繰り返し、動かなくなった。


 リズと私で鼻を削ぎ、急ぎ元の場所に戻る。


「何あれ!?初めてでしょ!?何であんなに手際良いの!!」


 驚きの顔で、フィアが言う。


「狩りでお父さんの動きは見ていたから」


 リズがにこりと微笑む。

 忌避感は無い。達成感だけだ。流石、生き死にを見ていた人間は違う。


「見てたよリズ。凄い。誇らしいよ」


 褒め言葉は忘れない。囁くと、リズが誇らしげな顔をした。


 この後もヴァズ草を採取しながら、ゴブリンが見つかり次第、急襲する。

 3匹の場合は、フィアも前に立つ。だが、魔術の先制攻撃で混乱しているゴブリンは相手にならない。

 本当に危なげ無く、30束が出来上がる頃には鼻の数は20個になっていた。思ったより獲物が濃い。今まで見つからなかったのは僥倖だったのだろう。

 そろそろ日も落ち始める頃だろう。


「そろそろ戻ろうか?」


「分かったー。でも、超楽だった。何これ?今までの苦労って何だったの?」


 フィアが嬉しそうにはしゃいでいる。


「ヒロの役に立てて、嬉しい」


 リズも上機嫌だ。


 帰りも私が殿で、警戒しながら道を進む。『認識』先生で見てみると、フィアの『片手剣』が微かに上がり、リズに『槌術』が生えていた。


 ギルドに到着し、鑑定してもらう。いつもの職員だった。


「達成料は、ゴブリン20匹で40,000。ヴァズ草が30束で24,000ワール。合計で64,000ワールです。よろしいですか?」


「はい。達成数はこちらにお願いします」


 これでリズの達成数が50だ。

 達成料は4等分し、1人分はパーティー資金としてプールする。一旦私が預かる事にする。暫定リーダーらしい。絶対に暫定消えないだろう、これ。


「うわ、4等分しても16,000とか、一日で稼げるとか。やばい。ありえない」


 フィアが狂喜乱舞している。


「1人だと、1日回って良くてもゴブリン3匹。駄目な時は収入0だし。偶に薬草見つけて集めておくけど定数になるまでに傷んじゃう」


「計画性が無いのよ」


「リズにーいーわーれーたーくーないですー」


 漫才が始まる。


「でも、パーティーって良いね。1人だといつも孤独で怖かった」


 フィアがそっと静かに囁いた。

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