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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第一章 異世界に来たみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第46話 魔法と魔術

 まずは、魔術の対抗策を考えなければならない。思った以上に、これは凶悪だ。


 <告。魔術の際の描写が他者と著しく違います。通常の中等教育の基礎はスケッチの描写です。他者は絵として魔術の世界を捉えています。>

 <彰浩は過去、立体的に描写された世界を閲覧した為、それを参照して描写しています。>


 つまりは、3DヌルヌルなRPGやFPSのゲームをやっていたイメージが反映されているのか。

 他の人は、2DのRPGをやっているイメージなのか。2Dとして捉えて、こう言う影響を与えたいと言うイメージを表現する。その結果も2Dで表現される。

 確かに3Dの概念なんて、存在しないだろうな。


 <告。また、他者は具体的な事象をイメージする能力が彰浩に比べ貧弱です。自らが得た感覚と想像を魔法の定義に則り、影響を及ぼすのが魔術です。>


 あー。所謂、想像もつかないって言うやつか。確かに私は知識として色々知っている。普通に生活している限り、風なんて台風の暴風を体験し、イメージするのがやっとだろう。

 でも、私は密閉された容器に限界以上の空気を送り込んだらどうなるかをイメージ出来る。だから、おかしな事になるんだ。

 それに定規を見ていれば、1mmの十分の一程度は容易にイメージ出来る。それが立体になった物もだ。

 それに前から気になっていたが、空気は圧縮されれば熱をもつ筈だ。何故、術式の影響に反映されない?


 <解。該当現象は魔法で定義されておりません。>

 

 あぁ、アレクトアが地球のゲームのソースを参考にしたって言ってたな。風の魔術だとエアボールとか、旋風とか、そう言うのを想定しているのか。

 きっと、風魔術を表現する時に大分困ったのだろう事が想像できる。


 火や水、土も危険な事には変わり無い。だけど、この風は私が持つと、本当に危険だ。

 どんなに重装甲の相手でも呼吸しているなら、空気を通す部分が有る。そこに通るだけの圧縮した風魔術を送り込めれば、装甲内に影響を及ぼす。


 何故風魔術なのか、裏が分かった。アレクトアも無力化と言っていたが、殺すべき時は殺せとも言っていた。

 色々と知識を元に出来る事も有るだろうが、他者を対象とした場合風は応用範囲が広い。


 じゃあ、どこまでが過剰帰還の対象にならない?


 <解。禁則事項を参照中……。禁則事項を参照中……。該当の明確な情報は有りません。一般的にアプリケーションに付随されたパラメータの乗算により影響が発生します。>

 <利用者の曖昧なイメージはシミュレーション上で魔法に則り、表現されます。その際に過剰帰還の発生の有無も表示されます。>

 

 あー。水魔術の定義だとパラメータは量と温度だった筈だ。

 仮に、100の力で、100度の水を1リットル出せるとする。100度の水を2リットル出すには200の力が必要だって事か。そんな単純な話じゃ無いだろうに……。

 アレクトアがご都合主義と言っていた意味が分かってきた。考えても意味が分からない。取り敢えず、確実に分かった事は魔術の行使には2パターンある事だ。

 後は、本当に初心者だって事か……。魔法を勉強したい。仕様も分からず、アプリケーション触るのなんて怖くて仕方無い。

 学生の頃はあまり意識しなかったが、社会に出てから痛感した。知識って、増えれば増える程出来る事が爆発的に増える。あぁ、気分がささくれ立つ。


「あれ?使えるじゃん」


 フィアが呑気な声をかけてくる。


「うん。ありがとう。聞いてみて、使えた。フィアさんのお蔭だ」


「えへへ。役に立った?」


「立った。立った」


 にこにことフィアが笑いかけて来る。

 色々と翻弄されてささくれ立った心が癒される。

 表情に出ていたのか、リズの顔が険しくなる。


「ヒロ?」


「いやぁ、教えてくれた先生が初等までしか知らなかったみたいだ。ありがとう。今後も色々教えて欲しい」


「私が分かる事だったらいーよ」


 素直な良い子だ。リズの幼馴染だし、パーティーの件はこれで進めてみるか。ただ、嫁の座はリズ一択だ。死守する。


「じゃあ、村に戻って、武器を揃えに行こうか」


 3人揃って、鍛冶屋に向かう。あそこは、盾も販売していた。

 鍛冶屋に着くといつもの顔が出迎えてくれる。挨拶をして、商品を見せてもらう。


 武器は鈍器か。


「リズ、鈍器って決めちゃったけど、どれが良い?」


 大きな槌、鈍い刃が付いた物や球状の鉄の塊に柄が付いた物も有る。

 試しに持ち上げてみると、どれも重い。持ち上がるが、自由に振るう事は難しい。体が持って行かれる。


「ハンマーが良いかな?分かりやすいし」


 子供の頭位の大きさの鉄の槌を軽々と持ち上げる。

 ブンブンと振り回しているが、危なげは無い。


 盾は50cm程の円形の物を選ぶ。鉄板、木、綿の層になっており、革を張っている。

 ベルトが、中心近くと端の方に付いており腕を入れ握って固定するようだ。

 ベルトの長さも調整可能で、しっかりと保持出来る。


 値段を聞くと、4万との事。


「かなり安くないですか?」


「前の事も有る。サービスだ」


 懐から巾着を取り出し、硬貨を差し出す。


「え?自分の物だもの。私が出すわよ」


「私の為に冒険者になってくれるんだろ?折角だから、贈りたい」


 リズが頬を赤らめて、俯く。

 女性への贈り物は大事だ。常に気を付け、機会を見ては贈る。


「えー。ずるい。私にはー?」


「理由が有るから、駄目」


 フィアが言ってくるが、にべもなく断る。同じパーティーとは言え、現在は赤の他人だ。嫁と扱いは違う。

 後、脛までの前面を覆える物が作れるか聞く。上体は盾で何とかなるが、下半身は危ない。コストがかからないのなら、最低限防御したい。


「鉄製のブーツは有るが、結構する。その要望ならうちで加工も出来る」


 出来上がりまでは、2日程との事。靴のタイミングと一緒か。

 値段は見積もりで5千との事。ベルトの取り付けも考えると、かなり割引されている印象だ。即金で支払う。

 フィアの目が痛い。


「ありがとう。何から何まで。嬉しい……」


 リズの好感度が上がれば、それで良い。


 買い物を終え、今後の事を話し合う。取り敢えずリズの等級を上げる方針で決まった。

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