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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第451話 罠はかかる方が悪いと言う話です

 ディルスは夕ご飯まで眠るようなので、その間に服の状況を確認したい。ちなみに、先に目が覚めても基本的に自由にして良いように使用人達には伝えている。執務室と石鹸他諸々用の実験倉庫だけは見られたらまずかったり、劇薬が有るので近付かないように調整してもらった。いくら上司の部下だからと言ってそんな強権は無いし、開発が完了した物は基本的にノーウェに投げている。その辺りは信用されているし、投げない物は驚かす為の隠し玉と言うのは理解されている。今回持ち込んだ遊具関係もそうだろう。

 後、クロスボウに関しては、まだ報告に上げていない。安全装置が出来上がったら、報告だけはしておこう。鹵獲防止策が上手くいったとしても、何か有った時に隠していたのがばれると面倒になりそうだ。ざっとした説明は報告にまとめておこう。詳細の設計に関しては添付する必要は無いかな。何か言われるようなら、鹵獲防止策次第という話にしよう。まずはチャットに預けているサンプルの魔道具が上手く稼働するなら、範囲を大きめにして、温度を高めて、焼却処分かな。距離が十分離れるのをトリガーにしても良いが、森林火災とかが発生したら嫌だなぁ。この世界の森林火災とかってどうなっているんだろう?


「地球では放置ですぅ。自然発生の火災は再生の為の一助になりますので、放置していますねぇ。でも今回の件ですと失火扱いですので、神の権限において鎮火しますぅ」


 ん? この声は、パニアシモか。


 それは、対象物が燃え尽きる前にですか?


「いいえぇ。対象物が燃え尽きて、延焼するのを消し止めますぅ」


 そんなにこちらに都合の良い対応で良いのでしょうか?


「罠はかかる方が悪いですぅ。これに関しては、真理と言うか、罠を見破れない方が愚かと言う扱いになりますぅ。都合が良いと言う訳では無く、設置された罠にかかって死ぬ人間は存在しますぅ。それと同じと考えれば、後片付けの部分だけこちらで対処した方が良いかと思いますぅ」


 ありがたいですが、なるべく鹵獲されないように注意します。


「防衛で利用する限りは、鹵獲される可能性は皆無ですぅ。この世界の技術レベルでこの町を陥落させるのは至難を通り越して無茶なのでぇ。それにもし、攻勢に出るとしても直接指揮下に置いた対象にしか渡さないでしょう? それならば『探知』で追う事を考えてますよねぇ。そこまで考えて、開発と安全装置の設置、運用を実施しようとしてるのかとぉ」


 むぅ……。お見通しか……。流石に無責任に兵器をばら撒く訳にはいかないので、その辺りまでの運用かなとは考えていた。


「気遣いは嬉しいですが、どこかのタイミングで開発された武器では有りますぅ。仮に鹵獲されたとしてもそれが早まっただけですぅ。あまり気になさらずぅ」


 しかし、地球の歴史を考えると、クロスボウは人を殺し過ぎている……。


「色々考えれば分かると思いますが、クロスボウの防ぎ方と言うのもまた有ります。初戦や数回の絶対的勝利は有るでしょうが、人間は学習するものなので、そこまで過信は禁物ですぅ。どうせ、自身が使われた場合の想定もしているのでしょう?」


 風魔術で逸らせたり、積層型の盾を開発する事も考えている。正直、防ごうと考えれば防ぎようは有る。


「それが人の営みですぅ。(いたち)ごっこを繰り返し、進化していくのが人間ですぅ。気を遣い過ぎると、禿げますよぉ?」


 禿げるんですか!?


「んー。遺伝子情報は解析しているので、結論は言えますがぁ……」


 禿げるんですか!?


「はぁぁ。父方、母方共に、禿の因子は無いでしょうにぃ。拘りますねぇ」


 禿げるんですか!?


「禿げません。おめでとうございますぅ。ロマンスグレー確定ですぅ」


 良かったぁ……。この世界に来て初めてくらいに嬉しいかもしれない。


「毛の生えるアーティファクトなんて物も有るんですから、あまり気にしないようにぃ。と言う訳で、森林火災等に関しては気になさらず。毎度どこかで発生している話なので、適当に対応しますぅ」


 自然発火に関しても、意味の無い火災なら鎮火しているのかな?

 取り敢えず、安全装置が上手く動くなら問題無い。少なくとも、航空支援か絶対多数相手での防衛戦でも無い限り完全な形での五稜郭は落とせない。大砲程度では話にならない。それすらも無い世界で落としようが無い。堀が埋まるほどの犠牲を出して攻めてくると言うなら話は別だが、そんなものどう考えても情報が洩れる。そうなれば、先んじてゲリラ戦で補給線を潰す。草がまともに機能している限り、相手側は浸透作戦も使えない。と言う訳で、数年レベルでは安泰だろうとは考える。


「現状のまま進化を続けても数十年は難攻不落のままですよぉ、それ。よくもまぁそんなもの再現しましたねぇ。日本人の浪漫なのでしょうかぁ……」


 浪漫……浪漫だろうな……。もし、完璧な物が建設されており、補給が続いた場合にどうなっていたか……。ちょっとifは考える。


「その辺りは男の子ですねぇ。では、懸念は払拭されたと言う事で、戻りますぅ」


 ありがとうございました。


「ふふふ。温泉宿の開店もそろそろですよねぇ……。ふふふふふ」


 パニアシモもかー!!


 神様の気配が消えたので最後の言葉が届いたかは謎だが。もう、あの温泉宿、神域とかになるんじゃないのか、その内。劇場にはシェルエとか来そうだし……。


「あはははははは。行くとも、行くとも、行かずにいられる訳が無かろうが」


 ぎゃー、シェルエまでもか。


「丁度通信がつながっていたのでな。偶には良かろう。よく、この世界のレベルで遊びを創造しておる。皆の楽しむ顔が今からでも浮かぶ。これより楽しき事などなかろうよ」


 喜んでもらえて幸いです。


「あはははは。では、宿の開店の暁には、訪問する事としよう。またな」


 ……。流石にもう、神様の気配は無い。完全に感じない。

 『祈祷』って何か、私に取って都合が良いと言うより、神様に取って都合が良いんじゃないのか……?


 ちょっと疲れた感じで、廊下を歩く。ロット達の部屋に皆で集まって遊んでいるのだろう。テスラもそこに混じっているだろう。免疫の無い子が遊びを覚えたら……まぁ、先達は沢山いるか……。馬車、素直に出してね。本当に、疲れたから。ゴッドラッシュ、怖い……。

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