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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第440話 石鹸の塩析とオークへの対応協議

 厨房の料理人に聞いてみると、海水塩を持ち帰ってからアレクトリアが海水塩のテストばかりするので、岩塩は余り気味との事だ。その中でも癖の無い岩塩を譲り受ける。

 まずは実際に塩析してどの程度が抽出されるかの確認からかな。


 てくてくと倉庫の方に向かう。研究所扱いするかもと念の為、竈も用意しているので薪をくべて火をつける。確か、石鹸の温度そのものは六十度程度で良かった筈だ。水と塩の分量を量り、少しだけ表面が固まっている石鹸の素に投入する。混ぜていると、熱と水分で緩くなり、くつくつと揺れながら、もわもわしたのが上に上がってきて、そこの方がチャプチャプする。廃油も使い込んでいたのでかなり茶色かったが、若干白味を帯びた色に変わっている。元々毎回、アルカリより油分の方が少し多い形で配合している。そこの方も塩水と油が溜まっている気がする。少し冷やさないと固まらないので、火を消して、そのまま放置する事にする。


 気になっていた東の森の件をレイに聞いてみようかな。衛兵から諜報や斥候を抽出して、森に結界を張ると言う話をしていた筈だ。いつ頃までに対応出来そうなのか聞いてみよう。


 てくてくと練兵室に向かう。中に入ると、少しむあっとした熱気と共に皆と騎士団の人間が訓練をしている。私が入って来たのを見て騎士団は敬礼を、皆は手を振ってくる。答礼を返し、レイの元に向かう。


「今少し良いかな?」


「はい、男爵様。何でしょうか?」


 自身も訓練に参加しているのに、全然よれた感じがしない。いつものぴしっとしたレイだ。もう、この人何かおかしい。凄すぎる。


「東の森の調査の件だけど、日程だけでも確認したく思って」


「オークの情報収集ですね。ノーウェ子爵様より集落、拠点の場所は頂いております。なので、こちらに配置する人員を現在衛兵より抽出している最中です」


 レイが、顎に手をやり、少し宙を睨む。


「危険が無いとは言いません。もう引退した身ですので、給料が良くても参加したくない人間は一定数います。ただ、現状で穴が開かない程度に見張りが可能な人員は揃い始めていますね」


「じゃあ、実行は可能なのかな?」


「領主の権限のみで実施すると言うのも、勿体無い話です。通常は冒険者ギルドに委託する話ですので、冒険者ギルド側と調整し、最終的な人員を決めたいところでは有ります」


「ふむぅ。こっちだけの方が自由度が高そうだけど、民間にもお金を回さないと駄目か……。ハーティスはもう来ているのかな?」


「はい。話を聞く限りはもう現場に入っていると。流石に立ち上げ段階ですので、たびたび挨拶までは回れないのでしょう。まともに動いていない組織の長など意味が無いですから」


 ふむぅ。海に行っていたときにでも挨拶に来てくれたのかもしれない。顔出してみるか。


「ありがとう、レイ。引き続きよろしく」


「分かりました。皆、領主様の激励だ。気合を入れて訓練をこなせ」


 レイが皆や騎士団の方を向き直り、叫ぶ。おぅと言う掛け声で皆が答えるが、私何も言っていない。もう、人心掌握系も完璧なのが怖い。

 にこっと微笑むレイに冒険者ギルドに行く旨を伝えて、領主館を出る。馬車も考えたが、運動不足の身としては、きちんと歩く方が良かろうと判断した。


 てくてくと、中央政庁の方まで歩き、冒険者ギルドの建物に入る。もう掲示板も設営されて、サービスは開始しているようだ。十等級系の依頼は町の立ち上げと言うのも有り、かなり多い。その辺りもどんどんと対応してくれているようだ。後は東の森の魔物の間引きも徐々に人が入ってくれているようだ。武器を持った集団が、ゴブリンの鼻が詰まった袋を鑑定のカウンターに出しているのももう、個人的には冒険者ギルドの風物詩になっている。

 空いている受付嬢に声をかけて、ハーティスを呼び出してもらう。こちらが男爵と名乗ると、ぴしっと起立してさーっと奥の方に走って行く。そんなに慌てなくても良いのに。


「お待たせ致しました」


 新しく広々としたエントランスで座っていると、先程の受付嬢が息せき切ってハーティスを引っ張っている。


「お久しぶりです。男爵様。ご領主様の方が良いですか?」


 ハーティスがにこやかに挨拶をしてくる。


「意味はどちらも一緒ですので、構いません。お好きな方で。お久しぶりです」


「はは。その辺りの話され方もお変わりないですね。ご挨拶が遅れ、恐縮です。直接来られたと言う事は東の森……オークの件でしょうか? レイさんとはお話しておりますが」


 そう言いながら、席を勧めるとハーティスが座る。


「そうです。衛兵から元諜報、元斥候を抽出して見張ろうとしていますが、冒険者ギルド側の斥候も欲しいと言う話になりまして」


「ふぅむ。人材的には足りるでしょうに。冒険者ギルドに花を持たせると言う訳ですか……。確かにまとまった現金収入と実績は急いで欲しいところでは有ります。職員側からも抽出して出します」


「その辺りの調整にどの程度の時間がかかりますか?」


「脅威になるのは東の森だけですので、そこまで時間はかかりません。人員の調整も、もう済ませてあります。後はレイさんとの調整だけですね」


「成程。では、ある程度長期の確認作業になると思います。補給と人員の疲労の調整は任せます」


「はい。そこはお気になさらず。ダイアウルフの時にも実績は有りますので。では、今の所用を済ませれば一度領主館に訪れ、レイさんと話をします」


「思った以上に厄介な問題ですので、早めに対処を進めたいと思っております。よろしくお願いします」


「頭を下げて頂く話では有りません。仕事として割り振って頂き、私共の方がありがたい話です。急ぎ対応致します」


 そう言うと、握手を交わし、ハーティスはカウンターの奥に戻る。立ち上げと言うのも有って忙しそうだ。


 さて、一回戻って、石鹸の状況を確認して、チャットの魔道具の確認かな。行ったり来たりだなと苦笑が浮かぶ。

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