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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第一章 異世界に来たみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第40話 水怖い、怖いよ水

 やばい。やばい。やばい。

 雑貨屋に足早に向かう。焦る。

 よく、女の子が「値段は関係無いの、気持ちが大事なの」とか言うが、嘘だ。

 確実に値踏みしている。値段イコール気持ちだ。まぁ、値段にイケメン補正は入るが、くそが。

 メタボ腹を見下ろし、補正は諦める。


 あー。忙し過ぎる。本当なら魔術の練習や槍の訓練等やらなければならない事が沢山有る。

 この世界に来てからそれ程日数は経過していないのに、イベントが多すぎる。

 元の世界を思い出し、忙しくともルーチンで進めていた仕事や日常を思い出し、懐かしさを覚える。

 忙しいと思っていたが、余裕は有ったんだな。文明は余裕を生む為のものだったなと実感した。


「まぁ、どこも新入りが忙しいのは基本かぁ。この世界の新人だしなぁ」


 思わず愚痴が零れる。


 雑貨屋が見えたので一旦立ち止まり息を整える。焦りを見せれば、足元を見られる。

 一息つき、雑貨屋に進み扉を開ける。


「いらっしゃいませ。あぁ、毎度」


 何時ものお爺さんだ。


「宝飾品を見たい。頼めるかな?」


 短い返答の後、カウンターの跳ね上げ板を上げ誘導してくれる。

 カウンターの後ろの棚には比較的高価な物が並んでいる。あぁ、砂糖もこっちだ。

 指輪やネックレス、腕輪等が並んでいる端に婚約腕輪が有った。

 どれも金で土台は見分けがつかない。同じ型から出しているのか?規格が有るのかもしれない。

 近づき覗き込み細工を見ると、どれも細工が違う物だった。

 値札など無い。


「婚約の腕輪だが、値段は違うのかな?」


「どれも細工料込みで2万ワールとなります」


 思ったよりもかなり安い。話を聞くと、どうも重さの規格がある程度決まっているようで同じ工房の物は同じ型から出しているとの事。

 指輪に直す際に、金や石を足したり、細工を施す為、利益はその際に取るらしい。

 裏の名前細工に関しては、店主が対応出来ると言ってきた。

 どうも宝飾品を取り扱う店は宝飾ギルドの研修を受けて名前を彫る程度の事は出来るらしい。


「どの程度時間がかかる?」


「30分程頂ければ大丈夫です」


 羊皮紙の破片に私とリズの名前を書く。正しい表記になっているかちょっと不安だ。


 <告。正式名称の綴りに補正しています。>


 『識者』先生が言うのだから、信用するしかない。

 時間が空くな。水の件も有るし、パーディスの所に顔を出すか。

 断りを入れ、階段を上がる。見ると暇そうに座っているパーディスの姿が見えた。


「よぉ。聞いたぞ。大変だったみてぇだな」


 流石村社会だ。ここまで状況が伝わっている。

 ざっと、これまでの経緯を説明する。合わせて『属性制御(水)』の件も聞いてみる。


「思し召し、たぁ言ったが面白いな」


 相変わらずの口調だ。


「まぁ、一番の目的は飲み水の確保だな」


「前に土を使った際に、魔素に戻していなかったか?そんなもの飲めるのか?」


 どうも、前回の行為は言ってみれば、裏技のようなものらしい。

 土や水等の物質系の術式は、発動後2秒程タイムラグが有り、その間であれば魔素に戻せるとの事

 これ、質量の発生か転送の際のラグじゃ無いのか?


 <解。禁則事項を参照中……。参照中……。参照中……。一部参照しました。>

 <土水及び火風の元は指定された共有の星より転送しています。>

 <その際、この星の影響が発生しない一部を同量返還しています。>

 <該当の現象は転送の際に発生する確定情報を誤りと認識させる行為です。該当行為は推奨されておりません。>


 一旦転送した物質が何らかの影響を受けて変化した物を再度転送し直すのか。

 確かに私が管理側なら発狂しそうだ。質量保存が面倒だろうな。


 ちなみに水は、習熟により量と温度の調整が可能との事。温度の調整は水だけとの事。

 ただ明確にイメージできるのが氷から湯気までらしい。ちなみに水は圧縮ではなく単位との事。

 大体一人前で相転移は出来るとの事。圧縮が出来ないなら、0から100度か。


 そう考えると、この術式えげつないな。熱湯被ったら、一気に火傷だ。

 大量の熱湯か。軍事兵器だな。沸騰間際の熱湯が頭上から降って来るのを想像する。まず間違い無く重度の火傷だ。

 対人で考えれば、最恐だな。鎧着てても、繰り返せばあっと言う間に火傷だ。恐ろし過ぎる。


「飲み水の確保は重要だからな。良かったじゃねぇか」


 呑気に言っているが、これ、かなり、危ない。水嘗めてた。


 話をしている間に30分を過ぎる。挨拶をして階段を下りる。

 見ると、礼をしてきた。出来ているらしい。見るときちんと彫られていた。


 2万ワールを渡し、店を出る。


 取り敢えず、一安心だ。

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