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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第一章 異世界に来たみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第38話 積み木って積み上げるのは大変なのに、崩すのは一瞬ですよね

 微笑みを浮かべ、ハーティスの手を強く握り返す。


「過分な対応頂きまして、光栄です」


 まぁ、パーティーの件に関してはまだ猶予は有る。

 聞くと9等級は会社で言う試用期間のようなもので、最低限の一般的な討伐や、難易度がやや高い採取、若干専門性が問われ始める依頼が入り始めるとの事。


「冒険者ギルドの規約はざっと確認しましたが、生の現場としての一般的な等級毎のイメージと、生活感をお教え頂けますか?」


 正直、規約を見ても、出来る事と要件しか書いておらず、具体的なイメージが湧き難い。

 内容も、あれだ、甲は乙の云々が延々と羅列されるやつだ。仕事では泣きながらよく読んでいたが、こんな所でも読む羽目になるとは思っていなかった。

 ただ、実際に生活出来るのはどの辺りからなのか、職員、それも古参の人間の生の声を聴いてみたかった。


「そうですね。一般的に生活が出来るのが8等級、生活が安定するのが7等級と言われています。8等級から達成料が上がります。まぁ、これは難易度とも比例しますが」


 やっぱりか。8等級の依頼はざっと覗いてみたが、頻繁に出現が確認される狼の群れや素材として有用な熊の討伐依頼等が上がっていた。

 でも、ソロで対応出来るとは思えない。狼の群れだって単体なら何とかなるだろうが、一般的には10匹以下の群れを作る。囲まれて終わりだ。


「9等級は準備期間ですね。自分が何を出来るのか掴む。そして実際に依頼を達成し、方向性を決めて行く期間です。一般的には9等級の間に信用出来る仲間を見つけてパーティーを作り助け合う事を覚えます。8等級の試験はパーティーで受けられますので」


 ですよね。そう、パーティーなのだ。7等級から必須ではあるが、実際に7等級に上がる時に集めるものではない。チームの信頼関係は一朝一夕に結ばれる訳無い。

 会社でも、仕事の仲間なんて正直他人だ。誰がどれだけ、何が出来るか確認する。その上で信用出来るか、信頼しても良いかを見極めながら接する。その関係性を模索するまでにどれだけ時間がかかるか。

 その上、信用なんて積み上げるのはとことん辛いのに、崩すのは一瞬だ。何か、相手の譲れない部分を刺激すれば、もう信用も信頼も無い。


 遅刻をするな、仕事の納期は守れ、人の言う事はメモしろ等。学生の時から言われた記憶が有るが、社会人になって身に染みた。

 これは他人が他人を信用する、最低限のマナーだ。

 遅刻をする人間は、理由にもよるが事前連絡や然るべき理由がない限り一発で相手の信用は0以下になっている。表面上は分からないが、心の採点表はマイナスまで下がっている。

 同じく納期なんて、多くの人間に影響するものだ。死守しなければならないし、遅れが生じるならその兆候を掴んだ時点で周りに伝えなければ、自分に責任問題が降りかかってくる。

 メモだって、相手は言った事を認識していると考える。それを再確認なんてすれば……。

 だから、日本人は雇用契約以上に頑張ってしまう。信用とは細い線で結ばれた上をおっかなびっくり歩いて、相手に近づく事だからだ。 

 

 そう、チーム、パーティー。この世界なら護衛の依頼などでより長い時間接する必要がある。

 信用出来る人間じゃなければ、命のやり取りの時に背中は預けられない。ゲームのパーティーなら死んでも笑って済ませる事が出来るが、現実はそんなものじゃ無い。死んだらそれまでだ。死なせても、その責任を負い続けなければならない。


 ディード達を見て、同じ村の出身、幼馴染が大半と聞いた時、やっぱり信用出来るのは身内なんだなと思った。


 頭が痛い。冒険者を続けたいなんて、さらさら思わない。この職業言ってしまえば、単契約のアルバイトだ。税金面は天引きされる為、他に支払う必要が無いのが魅力だが、後は腕一本で生きていく必要がある。

 正直、ゲームの主人公や冒険者は目的や終わりの無い強化の為にデザインされた存在だ。

 リアルな世界の冒険者は過酷だ。サラリーマンの時の生活が恋しい。少なくとも信用し合えれば、仕事は出来た。急いで定職に就いて安定しないと。

 良く冒険者のトップを目指すとか言う作品を見るけど、それが良い事なのかは分からない。

 勇者?何それ、美味しいの?

 俺つえー?知るか。

 急ぎ人を集める必要が有る。それを信用出来るチームにまとめる。曲がりなりにも会社でリーダーをやっていた人間としては、それが急務だと身に染みていた。


「なるほど。ちなみに、冒険者ギルドの方々はどうやってパーティーを組まれるんですか?」


「同郷の方がやはり多いですね。気心が知れていると言うのが大きいです。ただやはりその様なものは稀です。人が減るケースも有りますから。大体は近隣の村や町を巡り探される事が多いです。それぞれ人を探している事は多いですので。それが良い事かは何とも言えませんが」


 そりゃ、補充要員を探すなんて、死人が出ましたか何かの理由で失踪しました位しか無い。


「なるほど。ギルドの方で、仲介等はなされていないのですか?」


「はい。ございます。達成された任務の傾向等で向かれる方を紹介したり致します。特に貴方であれば任務に瑕疵が有りませんし、今回の件があります。言い方は悪いですが身を捨てても、依頼を遂行し、その上同行者を守った。ギルドはその情報を認識し評価しています」 


 よしっ!これが信用だ。良かった、真面目に仕事をこなしていて本当に良かった。


「また、ご紹介頂けますか?」


「はい。貴方であれば、引く手数多でしょう。達成率は完璧。等級以上の任務もこなされる。紹介する事に何も問題は有りません」


「そうですか。その際はよろしくお願い致します」


「ええ。是非。当ギルドは各国問わず、情報が連携されております。悪い意味では、不心得者の対応。良い意味では今回の様な成果の共有となります。おめでとうございます。今後のご活躍期待しております」


 話は終わった。酒場は無いが、ギルドが斡旋してくれる。しかも最低限のブラックリストは有ると。


 少し安心しながら、一休みしたいなと思った。

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