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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第379話 政務の引継ぎと海への準備

 湯船を満たし、窓を閉めた辺りで外が騒がしくなった。脱衣所の辺りを覗くと女性陣がわいわいと集まっていた。


「あ、リーダー。おはよう、ありがとう、超助かる。しかも、超贅沢。朝からお風呂とか」


 フィアが元気よく声をかけてくる。他の面々からも口々に挨拶がくる。


「体清める程度でね。どうせ夜も入るんだろうし。顔は汚れをぬるま湯で流す程度で大丈夫だよ」


 そう声をかけながら出て行こうとしたが、ティアナがぼーっとしている。


「ティアナ、何か有った?」


 そう聞くと、ぼーっとが解消されて少し、頬が赤くなる。


「な、なんでも無いわよ。お風呂ね? ありがとう、助かるわ……」


 ティアナがそう言いながら、脱ぎ始めようとするので、慌てて、脱衣所の外に出る。

 ふーむ、雰囲気が変わっていた。カビア、頑張ったのかな?


 男性陣の部屋をノックし、石作りのタライを用意し、お湯を生むと非常に重宝がられたが、女性陣がお風呂に入っていると聞くと少し残念そうだった。うん。朝湯入りたい。

 レイも含めて回り、残すはカビアだけとなった。ノックすると即座に声が返ってくる。顔を出すと少し恥ずかしそうに俯かれる。あー。これは……。カビアさん、まじ男前状態か。


「きちんと話は出来た?」


「はい」


「昨日のティアナは可愛かった?」


「はい……って何を聞いているんですか!!」


 カビアが流石に噛みついてくる。


「はは。はい、体清めておいで。女性陣が戻ってきたら、食事にしよう。森は無しになりそうだ。海を先に見たいけど、カビアの助けがいりそうなんだけど、代官をどうするか決めたい。この辺りは朝食の際に」


 そう言うと、カビアが真剣な顔で頷く。頭をぽんぽんと撫でて、部屋に戻る。

 二匹は仲良くグルーミング後の休憩タイムだ。余は満足じゃって顔で、丸まっている。可愛い。ちょっとだけ、遊んであげても良いよって目で見られたが、私はレポートを読まないといけないので、後回し。


 テーブルに置かれたざくっと読んだレポートを再度、細かく読み直していく。

 オークの動向が一番気になっていたが、エルフ達の事も記載されていた。どうも町への移住を熱望しているようだ。チャットを見ている限り理性的な人達だし、計画的な食肉供給を考えると町に入ってもらった方が良いかとは思う。猟師として明確に仕事を持ってもらい、町の住人として迎え入れたい。前にチャットが言っていたように本人達も別に森で暮らしたい訳では無く、森で暮らさないと食料が無いと言うだけの話だ。きちんと王国法と町の条例を守ってくれるなら、特に問題は無いかな。その辺りの擦り合わせは政務官に任せよう。職人街の南側はまだまだ余地が有る。あの辺りに住んでもらう形かな。森へのアクセスを考えると、東側に住む方が楽だろう。


 実務の部分の問題点も大体理解出来たので大丈夫かなと、ほっと一息ついていると、リズが戻ってきた。ほかほかリズが上気した顔で近付いてくる。石鹸の香りはせず、甘やかなリズ本人の香りでむせ返るようだ。本能的な何かが働き、腰の奥が疼く。


「うわぁ、贅沢だったよ。ありがとう、ヒロ。気持ち良かった。さっぱりした」


 にこやかに抱き着いてくるのを受け止めて、抱きしめる。ほんのり湿った体は、吸い付いてくるようで離したくない。


「お湯は捨ててくれた?」


「上がる時に栓は抜いたよ」


 んじゃ、換気だけは使用人の人に頼めば良いか。行きしなに会う人に頼もう。

 そう思っていると、女性陣の動きを見ていたのか、侍女がノックの上、朝食を知らせてくる。


 食堂に向かうと、皆がもう席に着いていた。ティアナが少しだけの羞恥と頼もしさが混じった顔でぽーっとカビアを見ている。うん。まぁ、まとまったなら良い話だ。


 席に着くと早速料理が運ばれてくる。朝にしては少し豪勢かなと思う程だが、アレクトリアが用意してくれたのだから、心して食べよう。挨拶をすると、皆が一斉に料理に向かう。スープも煮込んだ物らしく滋味深くを感じる。メインも鳥だが、焼き過ぎず、生でもなく、程良いジューシーさを残している。やっぱり、一味違う。


「さて、昨日の帰り際に冒険者ギルドから、森の報告を受けたよ」


 食事が一段落に入った辺りで声をかける。


「結論としては、森の様子を見る程の必要も無い程度には情報が揃っていた。なので、このまま海を優先する事になる。ただこの場合には、カビア」


「はい。代官の設置ですね。通常であれば家宰(かさい)の私が入る筈ですが、海の状況を知る必要が有るでしょう。なので、ここは政務長のペルスさんに任せます」


 カビアがはきはきと答える。


「商工会に関しては、ネスやテディの話はしている。受け入れは問題無いかと考えるけど、商工会と政務の方の連携はどうなっている?」


「基本的には、商工会は政務団の下部組織扱いになります。民間ですが、権限を一部委譲している形ですね。なので、ペルスさんの方で掌握可能です。フェンさんの方に男爵様の意向が根回しされているなら問題無いでしょう」


「分かった。聞いての通り、町の運営に関しては、大きな支障は無い。なので、金の卵を産む鶏で有る海の村を見に行く事を優先する。皆には引き続き護衛を頼みたい。町にやり残している事が有ればそちらを優先して欲しいけど」


 そう言うと、皆顔を突き合わすが、特には無いようだ。


「特に問題無いなら、海に皆で向かおう。久々に海の幸と人魚さんに会いに行こう」


 その言葉に皆が反応する。食べたばかりだと言うのに、海の幸の影響は大きい。


「じゃあ、カビアと私は政務団と商工会の調整をする。皆は飯場含めて、食料等の補充をお願いする。もう何度もお願いしている事だから、心配はしていない。出発は明日の予定。良いかな?」


 そう聞くと、皆が力強く頷く。


「素晴らしい。作業が終われば、皆自室で休んでもらって良い。遊ぶなら、ロットの部屋に集まってもらえれば連絡が取りやすい。では、解散」


 指示を出した途端、皆が飛び出すように動き始める。廊下の移動に際して、何をどれだけ買わないといけないのかの話をし始める。馬車の積載品の確認含めて、皆が有機的に動き始める。


「カビア、政務室で打ち合わせ。ペルスさんを呼び出すより、こっちで話をまとめて政庁に出向いた方が話が早いだろう」


 そう言うと頷かれたので、先程のレポートを持って執務室に向かう。さて久々の人魚さんだけど、元気にしているかな?

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