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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第一章 異世界に来たみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第34話 禁則事項です

 サンドイッチを摘み口に入れる。美味しい、美味しくないと言うより、あの、ホテルとかのよそ行きの味がした。


「ん?これか。日本の有名ホテルのアフタヌーンティーセットか?あれをコピーして、ペーストしただけだ」


 アレクトアがもしゃもしゃと食べ始める。


「私達の業務では、食事は嗜好品でな。栄養も体形もプロパティの処理でどうとでもなるのだ。ただ、日本のジャンクフードはあれだ、おかしいな。中毒成分でも入っているかのように貪る者もおる」


 ここでもジャンクフードは人気か。


「この業務もそこそこ激務でな。手頃に摘まめる物に人気が出る。その点地球の食文化は極みだな。あれだけの多様性を見せるサーバ、星は中々に無い。特に日本のファストフードや菓子には執念を感じる」


 アレクトアがカップに口を付け、先を進める。


「じゃが芋を揚げたのがあるだろう?あれが一番の人気だ。あんな単純な料理で多様性を出す事自体、笑える。新作が出る度にコピーをしている者もおる。戻った際には広めるが良い。現状適切な管理が出来ていないのと葉を食べた経験から毒と認識しておるが救荒作物としては有効だ。お前が動けば統治のが調整する」


 チップスはここでも大人気か。当たり外れも有るだろうに。それも楽しみなのかな。

 あー。暗所で涼しい所に管理したり、葉や芽を食べるなと伝えろと……。身の回りからは良いかな。でも、意識変えるのは大分苦労しそうだな。それに油も高いし。他の芋の代わりくらいから始めるか。


「先程文明の話をしたな?地球の神の文明促進の方針は単純だ。同族同士を争わせる。富みと文明を偏在させ余裕を持たせる。余裕は新たな文明を生む。新たな文明は伝播し全体を均衡化させる。その中で突出した者が新たに争いを始める。後はこのプロセスの繰り返しだ」


 アレクトアがテーブルに肘をつき、頬を支える。


「お前のいた時も、経済戦争、技術戦争と名前だけは変えておるが、このプロセスは歴然と存在しておる。手法としては優れておる。好みは有るがな。この星に適用する際にはもう少し穏やかなものになるだろうが」


「戦争、有ったんですね。戦争の無い国と言う名目でしたが。まぁ、競争はしょうがないと考えていました」


「それも、戦争の1つの形態だ。ただ、この星では先程のプロセスの余裕を生む余地が無い。文明が隔絶しておる故、富も文化も収奪し適用出来んのだ。身を守る為、戦う為の道具や術式は進化するが、生活インフラを支える技術が拙いのはお前も感じた通りだろう。ただ、その道具達のフィードバックによりお前の考える時代感より進んでいる部分は有る」


「植生や料理のレベル、道具の状況には違和感を感じていた事は多いです。有る筈の物が無く、無い筈の物が有る」


「まぁ、有体に言えば、先程地球のゲームの話をしたな?この星はゲームのソースを多分に流用しておる。怠けておる訳では無いぞ?内容を解析し将来予測が容易故に使っておるだけだ」


「若干ゲームっぽい世界かと考えていましたが、そう言う事だったのですね」


「うむ。お前の所で言う所の『ご都合主義』と言うのか?ああ言う物と考えておれ。厳密な文明考証なぞ、成り立ちや前提が変われば、結果も変わる。気にするだけ無意味だ」


「ゲームで思い出しました。攻性の術式以外に、神術と言う物が有ると聞きました」


「神術と名が付いておるが、実際に管理しているのは1人だ。治癒のが端末のプロパティ保護を司っておる。治癒のに願えば、バックアップされた正常なプロパティと照らし合わせ、異常値や欠損を修復させる。それが神術だ」


「魔術と同じような物と考えてよろしいでしょうか」


「うむ。魔素を魔力に変換し、コストとして支払い神と通信する以上、術式と変わらん。同じく習熟すれば出来る事は増える。低ければ、小さな欠損の修復程度だ。習熟度が上がれば大きな欠損の修復も可能だ。異常な組織の除去、お前の言う所の癌か、あれの除去等も可能だ。ただ、失った組織が大きい場合はかなりの習熟度を必要とする。詳しくは禁則事項に触れる故言えんが、熟練で指先程度の欠損や大きな傷の修復が可能だな。練達で腕や足、大きな臓器の欠損の修復が可能だ」


 癌でも治るのか。凄いな。


「ただ、病気や内臓疾患も状況をある程度明確に通信せねば、治癒のが煩雑さにミスをする可能性が上がる。故に医療知識を継承しておるし、薬学も発達しておる。状況証拠と検証の繰り返しで向上するものだしな。神術の使い手がいない場合も有る。流石に頼り切りにはせんよ」


 あぁ、薬師ギルドが有るのはそう言う意味か。神術が大分万能ぽかったけど、確かに医者は重要だ。そうだ、一番聞きたい事が出来た。


「と言う事は、蘇生は有るのですか?」


「それも禁則事項だな。ただ、死に関しては端末の破損だ。プロパティを弄る事も出来ない。そう覚えておけ」


 何か含みを感じる答えが返って来た。

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