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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第366話 緊急車両も整備し始めています

 町中は基本徐行運転なので、ゆったりしたものだ。大通りの真ん中は緊急車両や早馬用になっているので、一般の馬車は走ってはいけないようにした。


 救急車や消防車も概念を作らないと駄目だなと。


 救急車に関しては結構すんなりと決裁が下りた。似たような運用は有るので公的機関が傷病者を薬師ギルドまで迅速に運ぶ馬車と言う仕組みは受け入れられた。

 消防車と言ってもポンプの圧が弱すぎるのでポンプ車は無理だけど、建物を破壊して延焼を防いだり、水魔術士を迅速に運んで消火に当たったりは出来る。後、取り残された人間を助け出したり、そう言う用途の車両だ。ただ、水魔術士が捕まらない。もう、水魔術士って本当に引く手数多だ。本気で『術式制御』持ちを海でリゾートさせて、水魔術生やせるか確かめたくて仕方が無い。


「ペルスさん生き生きとしていましたね」


 カビアが嬉しそうに言う。


「一緒に旅に出た時も明るくて頼りがいの有る人だったね。人に好かれる人だし、引っ張って行ける人だから、あそこで頑張ってもらえると本当に助かるよ」


 初めての『リザティア』視察の際も、微に入り細に入り政務回りの調整を先回りしてやってくれた。心配りが出来るし、心根の優しい、完璧超人だ。手放してくれたノーウェに感謝だが、それだけ期待されていると言うプレッシャーも有る。


 敷地面積として大きな町と言っても馬車で走れば狭いものだ。暫くカビアと政務の今後に関して雑談と言うか議論をしていると、すぐに鍛冶屋が見えてきた。


 鍛冶屋前の駐車場に馬車を待機させて、私だけ鍛冶屋に入る。挨拶をして中に入った瞬間店員さんから、出来上がり済みの返事を貰う。仲間達は応接間で待機中との事だ。他の皆は既に現物の確認まで終わっているとの事なので、槍とグレイブの巻革の部分を確かめる。どうしても緩む物なので、定期的に直すしかないがきっちりと密着しながらも若干の遊びを持たせて滑らないようにしてくれている。刃の方もまだ良いかなと思っていたが、きちんと研いでくれている。代金はリズが代わりに払ってくれているようなので、回収だけで良いとの事だ。後で返しておこう。


 応接室に入ると、セコンドが付いた大富豪が開催されており、何か変な雰囲気な状況になっている。相談しながら大富豪して楽しいかと思うが、一式しかトランプが無ければそう言うものかと不思議集団に声をかける。


「すみません、もう一戦。これで勝負決まりますんよ」


 チャットが、ティアナのセコンドに立ちながら、言う。いや、良いけど。お腹空かないのかな。私は、あまり食べない分、時間がずれるときついタイプかな。

 中々白熱していて、ロット、フィア組とチャット、ティアナ組が機嫌の良い顔をしている。ドル、ロッサ組は手札の数は多いが何か狙っているっぽい顔だ。リズ、リナ組はのほほんとやっている。

 まぁ良いか、邪魔にならなければと、店員さんに詫びのつもりで頭を下げると、両手を振って恐縮された。勝負と見て、ロット組、ティアナ組が強い札で牽制をかけるが、最終的にドルがジョーカーで場を流す。その瞬間に浮かんだ二組の微妙な絶望。そのままドルが革命を宣言。ロットとティアナ組がしょんぼりしている間に、バランス良く札を持っていたリズ組とドル組がちゃっちゃと出し終わり、消化試合でティアナ組が負けとなった。


「悔しいわね……。札の残し方を見ていれば何か考えていそうだったのに……。慢心ね。先に勝ってしまえばとか考えたのは慢心だったわ……」


 ティアナが悔しそうに呟く。遊びにそこまで夢中になれるのは良い事だと思うよ。


 さて、食事を済ませて、中央のデパートで現状確認かな。


 銘々が自分の装備品を担いで、馬車に戻る。飯場までそう遠く無い。先程の最後の試合の反省会を後では繰り広げている。戦闘行為をしていてきちんと理解したけど、事後の反省会と言うか戦術の再確認と言うのはかなり有効で、これをやるかやらないかで成長の伸びが全然違う。勝った負けたは時の運でも、戦術の有効性の確認や状況把握の良し悪しはきちんと認識していないと同じ過ちを繰り返す。


 わいわいがやがやしながら飯場に到着する。


 まだ、昼前と言う事も有って、中は結構空いている。適当に場所を取って順番に買いに行く。

 その間にリズに先程の代金を返しておく。この辺り、家にもよるけど大半の家庭は個人資産と家の生活費を分けている。それぞれが納得して生活費を出し合う感じだろうか。夫に一方的に養われる家庭はそうそう無い。妻も手に職を持って、稼いでいるケースが大半だ。その分育児の時は夫も極力手伝う。イクメンとか、当たり前すぎて笑ってしまう概念だ。


 最後に私達が定食を買いに行くが、本当に安くてボリュームが有る。


 席に戻り、食事を開始する。野菜類も豊富だし、香辛料がふんだんに使われている事に驚く。東との流通拠点になっていると聞いてはいたが、こう言う庶民レベルの所でそれを感じると実感が湧いてくる。あぁ、この町、豊かになるわ。塩胡椒だけでは無く、複雑に調合されたハーブと香辛料の香りを楽しみながら食事を進める。ちらっと日本で食べた事の無い香辛料も含まれていたり、一回アマンダからサンプルをさっさと貰ってテストしたい衝動に駆られる。


 足元では、タロとヒメが新鮮なイノシシとモツを貰って幸せそうに食べている。ぶっとい大腿骨も貰ったので食後のデザートも有りでなんとも羨ましい限りだ。


 そのまま完食し、盆と一緒に皿類を回収口に持って行く。セルフサービスだけど、この業態は大きな設備の食堂だと当たり前なので、他の客も気にしない。


「さて、腹ごなしに、中央の複合商業施設でもぶらぶらしようか。どんなお店になっているか楽しみだ」


 そう言うと皆が楽しそうに頷く。中々娯楽の無い世界だ。買い物と言うより、色々商品を眺めるだけでも楽しい物なのだろう。嬉しそうに骨を銜えてご満悦の二匹がてとてとと後から付いてくるのを確認しながら、馬車に戻る。さてさて、異世界のデパートの性能とやらをじっくり確認させてもらおうか。

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