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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第357話 男と男の裸の付き合い~ロット、ドル、カビアの場合

「ロットには今の仲間達をまとめて、森の調査に入って欲しい。トルカ村の北の森と同じく地図作製を進めて欲しい。それに伴い、正式にこのパーティーのサブリーダーとして就いてもらう」


「はい。分かりました。サブリーダーに関しては、前々からそのような話をお聞きしていたので大丈夫です。しかし、調査ですが……。どの程度の範囲を想定していますか?」


「まずは周辺の探索からかな。猟師が本格的に森に入る前の脅威の度合いを確認したい。冒険者ギルドが参入してくるまではその辺り、対応が疎かになるからその補助かな」


 ロットが少し思案する。


「人員の範囲ですが、欠員は誰を想定していますか?」


「私は『リザティア』周りで拘束される。リズは少し館の把握をして欲しいかなとは思うけど、優先順位は高くない。私がまずは掌握してからでも良い。後はドルだけど、どの程度鍛冶仕事に専念するかかな」


 そう言うと、縁に背を預けていたドルが言う。


「町の鍛冶に関しては、現在入っている町建設に伴う臨時の鍛冶屋が対応しているだろう。俺は仲間の装備の保守のみだから抜ける必要は無い。完全休養を多めに取ってもらえば、その際に済ませる」


「じゃあ、抜けるのは私だけかな。ちょっと後衛が薄くなるけど、ロッサに例の物を持たせる。もしもの場合は使って欲しい」


「分かりました。詳細はまだ聞いていないですが、仕様に関してはロッサに確認します。外周から螺旋状に奥側に分け入る感じですね。地図の方は早めに完成させていきます」


「そんな感じかな。兎に角、新しい相手には注意して。オークもそうだけど、ノーウェ子爵様の調査もざくっとした情報しかないから。丁寧に外側からで良い。まずは猟師が入る事の出来る境界線がどの辺りになるのか。そこを明確化するのが目的になる」


 そう言うとロットがこくりと頷く。


「怪我が無いよう、万全を尽くします。特に森が違えば相手も変わるでしょう。様子見を主体に回ります。水の確保が必要になりますので三日単位程度で回る感じでしょうか」


 あぁ、そうか……。私がいないと飲み水の確保も出来ないか。後衛もう一人欲しいな。水魔術が使える人間が欲しい。


「十日もしない内に海の村の視察に出るつもりだから。その日程だと、二度回れるかかな? まぁ、折角の詳細地図だし、精々冒険者ギルドには高く売りつけよう」


 にやっと笑いながら言うと、ロットとドルがははっと笑う。


「今は、食料の流入が超過しているけど建設作業が終わったら、その辺りも途絶えるからね。早めに森の内情は知りたいし、猟師の狩りの範囲は特に早めに確定してしまいたい。前に入った時に獲物が豊富な印象を受けたけど、今もそうかは分からない。北の森でもダイアウルフが湧いたんだ。この森でも異変が有っても不思議は無いよ」


「分かりました。無理はしないように調査を進めます。しかしサブリーダーですか……」


「ん? 何か問題が有る?」


 私が首を傾げると、ロットが苦笑を浮かべる。


「大任ですよ。私も元々八等級の構成員です。リーダー紛いの事はやって来ましたが、正式に人を率いた事など有りません。少し不安には思います」


「無理をしない。皆に納得させる。迷わない。その辺りが出来れば、リーダー程度なら出来そうだけど」


「普通、それが難しいんです。リーダーはあまり意識しておられないようですが」


 日本の会社だと当たり前だし。あまり意識はしないかな。それに任せると決めたからにはきちんと任せる。


「自信を持ったら良いよ。結果は出してきたんだし。後は自分を信じる事だけ。私の腕は二本だからね。それ以外はお願いしたい」


「はい。謹んで拝命します」


 ロットがにこっと笑う。


「良し。後はカビアだけど、これからちょっとの間は張り付いて欲しい。正直政務回りの話が一気に噴出してくると思う。今まで顔を出さなかったツケが回ってくる筈だから」


「それは元より承知しています。また、その処理をするのも家宰(かさい)の役目です。お気になさらず」


「まずは商工会への顔見せかな。建設系は前に顔は見たし、完成報告を受ければ良いだけだし。商工会側がこれからの主体になるだろうし」


「分かりました。根回しは今晩の間に人を走らせます。フェンさんですか? 先程確認したところ『リザティア』に戻られているとの事ですので、面会の調整を行います」


 あぁ、フェンかぁ。やっと会えるな。この商業都市を見て、どんな感想なんだろう。あの熱い男が何を思うのか。少し楽しみだ。


 そこまで思ったところで、少しくらっとする。あ、湯当たりかも。長湯し過ぎだ。


「さて、上がろうか。今日はゆっくり疲れを取ろう。明日以降、また動く為に」


 そう言って、風呂の栓を抜き、窓を開ける。据え付けてくれた大判の厚手の布で体を拭き、皆がそれぞれの部屋に戻る。


 私も部屋に戻ると、リズが二匹を相手に戯れている。部屋のチェックは終わったのか、二匹共リラックスしてリズを挟んで揉みくちゃにしている。


「ひゃー、ヒロ助けてー」


 リズが楽しそうに叫ぶので、二匹をひょいひょいと抱えて、箱に戻す。


「どうしたの?」


「箱から出して欲しそうだったから、出したら、飛びかかられてぺろぺろされたよ」


 あぁ……。初めての部屋で寂しかったのかな?


「お風呂、済ませちゃうよ。リズは布団に入っておいで。風邪引かないように温かくしておいてね」


「うん」


 素直に頷くリズを背に、二匹を抱えて浴場に向かう。拭うようの布は持った。タライは、生んで置いておこう。


 浴場の扉を閉めて、ヒメを離すと、クンクンと周囲を探索し始めた。それを見てタロも向かいたがったが、タライにお湯を生むと、素直になる。

 浸けてもにゅもにゅしていると、いつものようにくてんと眠る。拭ってブローした後は、脱衣所に少し寝かしておく。


 ヒメを呼ぶと素直に近付いてきたので、抱きかかえて新しく生んだお湯で同じくもにゅもにゅする。


『ぬくいの、きもちいい』


 ウォフみたいな短い鳴き声を上げていたが、やはりそう長くはもたず、スヤァと寝てしまう。

 こちらも拭い、ブローをして、二匹一緒に抱きかかえる。


 部屋に戻る途中で使用人の女の子とすれ違ったので、狼用の体を拭う布と言う事を明示して、洗濯をお願いする。


 部屋に入ると、予想通り、リズが気持ち良さそうに眠っていた。旅の疲れも出たか。


 二匹を箱に入れて、私も布団に潜りこむ。アストの家のベッドより大きいが、どうせ二人が密着して寝るだけなので、大小はあまり関係無い。


 明日以降の政務を色々考えていたが、旅の疲れが出たのか、気付かない内に眠り込んでいた。

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