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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第一章 異世界に来たみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第33話 Tea Time ネー!

 真っ暗な中に、燕尾服にシルクハットの青年が、仄かに輝きながら、座っていた。


「会うのは、初めましてだな。客人。アレクトアだ」


 何故、皆燕尾服なんだろうか。


「初めまして、アキヒロです。ご助力感謝致します」


「構わん。言っただろう?客人の対応はホストの役目だ」


 アレクトアが微笑みながら、答える。


「ちなみに、シェルエ様もですが、何故燕尾服なんですか?」


「お前の世界の礼装だろう?客人を迎えるのだ。それなりの恰好はするさ」


 モーニングでもタキシードでも良い気がするが。まぁ、歓迎されていると好意的に受け取っておこう。

 ちなみに、紋付でも?と聞くと、着付けが面倒だと返された。


「ここは何処でしょう?」


「昏睡の間、時間が余るだろう。折角なので少々話をしたくてな、場を設けた。現実と夢の間とでも思っておけ」 


「話ですか?」


 アレクトアが胸元で腕を組む。


「何、シェルエが客人に出会った事を自慢するのが我慢ならんでな。タイミングも良いので私もと思ったのだ」


 正直、神と何を話して良いか、分からない。


「今回手押しポンプをこの世界に広めてしまいましたが、問題は有りませんか?」


 一番気になっている事を聞いてみた。


「細工のと技術のが笑っておった。あの行為は、お前の世界では『定番』と言うのだろう?この星の文明的には、近い将来似た物が作られていただろう。問題は無い」


 ヴァーダと話した時もそうだが、やけに地球に詳しい。


「地球とは、そんなに有名なのでしょうか?」


「生活している者にとっては、そんな印象だろうな。私達も管理業務の褒美兼学習として他のサーバの環境閲覧権限が与えられている。お前の所のサーバだな。地球の閲覧数は恐ろしい事になっているぞ」


 アレクトアが腹を抱えながら、続ける。


「豊穣のも言っておっただろう。この星は地球のコピーだ。文明の発達ベースもかなりソースを借用している。お前も疑問に思っただろう、この世界の文明が歪な事に」


 確かに鍛造した槍の精度を考えれば、手押しポンプの概念が無いのはおかしい。


「サーバ内の各々の星の運営はテーマが定められている。この星のテーマは『出来る限り生き物が幸せに生活する』だ。幸せの概念なぞ、それぞれ曖昧だが協議の結果同族間の戦争の多発は最低限避けようと決められた」


「徴兵された知り合いがいるのですが。その辺りは如何なのでしょうか?」

 

「大方、王命に逆らう相手か、魔物相手と言ったところだろう。この星は統治のが頑張っておってな、お前の星のあれだ、王権神授を本気でやっておる。そういう意味では王はまともなのが多いぞ」


 アレクトアが若干眉根に皺を寄せる。


「多様性を確保する為には様々な種族を作らねばならない。種族間のコミュニケーションが取れず、敵対しては争いが起きる。それは許容された……いや許容した現実だ」


「地球は人間の数が多いですが、何故でしょう」


「あの星のテーマは『文明を発達させてみる』だ。過去は生物多様性を狙っていたようだが、埒が明かず単一種による文明発達を狙ったようだな」


「多様性。昔は他の種族がいたのでしょうか?」


「おったぞ。お前達の言うところの神話と言うやつに載っては無かったか?大分絶滅したが、ログを見る限りは幾らかは残っている筈だ」


 UMAとか妖怪とかか?それはそれで気になる。


「同じように、昔は魔術も存在しておったが、魔力のと術式のが怠慢でな。かなり前から魔素が枯渇しかけている筈だ。それに、術式のコンセプトが高いコストに大きな結果と言う大雑把なものでな。あれには失笑した」


 一週間くらい儀式をして、雨を降らすとかか。そんな神話、何処かで有ったな。


「今でも使おうと思えば使えるだろうが、文明の発達による産物の方が手っ取り早いだろうな。だが文明の急速な発達に管理が伴っていないのが各サーバの管理業務者から問題視はされておる」


「問題視ですか?」


「お前の所で言う、必要は発明の母と言うやつか。ただ、その必要も同族を殺すか、奪うのが目的だ。この星の管理をしているとな、いもしない神の名を騙ったり、金の為に同族を殺すなど、滑稽なのだよ」


 色んな場所を思い出してしまう。油が出る辺りとか、モクモクしている所とか。


「ただ、お前の国、日本だったか。あそこの文明文化は面白い。各サーバの管理業務者が大絶賛だ。特にゲームやらアニメやら漫画やら、ベースも無いのに良くあれだけ空想の世界を作れる。あれはもう特殊な才能だな」


 流石変態日本。こんな所でも大絶賛だ。 


「さて暫し、喋りすぎた。喉でも潤そう」


 アレクトアが腕を広げると、テーブルとティーセットが現れる。スタンドまで乗っている。サンドイッチやケーキにスコーン。クロテッドクリームまでも置いてある。


「マナーは気にするな。私も知らん」


 気にし始めると、喉が渇いたり、お腹が空いている気もしてきた。


 暫しの休憩を挟む。

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