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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第343話 ノーウェの帰還と傾向と対策

 家に戻るより、宿に寄る方が早いので、てくてくと歩く。

 青空亭に入ると、皆が食事を終えて話し込んでいた。村の騒ぎはなんとなく伝わっており、どうしようかと言う雰囲気にはなっていた。


「子爵様の屋敷で話は聞いてきた。子爵様が戻る先触れが到着した。だから、今日の訓練は無いよ。急な話だけど、完全休養で」


 そう言うと皆が騒がしい状況に納得したのか、安心したように頷く。


「今日の段階で何か動く事は無いと考えるし、動かないのが理想と考える。子爵様とは話はするので、今日はゆっくりとしておいて」


 納得の色を確認しながら、説明を追加し、宿を出る。ドルは鍛冶屋に、他の皆は宿で遊んでおくようだ。ある程度固まってくれているならありがたい。


 そのまま家に戻る。


「ティーシアさん、リズ、ノーウェ子爵様が帰ってきたようだよ。後で会ってくる」


「何と無く村が騒がしかったのはそれなのね。会うと言う事は、ダイアウルフ絡みの話?」


 リズが首を傾げる。


「現場で生き残った人間として報告はしないといけないだろうし。この件に関してはこれ以上巻き込まれないように調整するよ」


「私は直接現場に出て、感じた訳じゃないから何とも言えないけど……。うん、ヒロが思うようにすれば良いと思うよ。領主様も無理な事は言わないだろうし」


 リズが少しだけ寂しそうに答える。自分が留守番だったのを責めているのかな?


「リズが簡易休憩所に残ったのは私の指示だよ。気にする事でも無い。それにリズはきちんと簡易宿泊所を守って皆が帰る場所を用意してくれた。それが一番大切だと思うけど」


 リズが首を振る。


「それは良いの。また、領主様とご対面して話し合いをしなければならないヒロが大変だなって。いつもヒロ、大変そうだから。それが心配」


 色々覚悟決めたり、悲壮な決意をしていれば、それは心配するか。別にその事自体でどうこうは思っていないが気になるのだろう。


「大丈夫。今回は手出しをしないし、するなら冒険者を止めてでも『リザティア』に移る。そう決意している。だからそう酷い事にはならないよ」


 リズを抱きしめて安心させるように言う。それに対して少し強張っていたリズも弛緩する。


「じゃあ、お昼が先ね。リズ、お手伝いお願い。きちんと食べて、頑張って話し合いに行ってもらいましょう」


 ティーシアがことさら明るく言うと、リズも合わせて、腕を捲り始める。うん、普通に日常を送って欲しい。


 私はもう、身嗜み程度なので、さっさと済ませる。空き時間はタロとヒメで埋めるか。タロの方が少し散歩の時間が短いのか元気が有り余っている感じだ。ヒメの回復も著しい。そろそろ散歩の距離を伸ばしつつ、ストレスがかからない状況に持って行かないといけない。

 二匹でぱたこんぱたこんと上に登ったり下で押さえつけられたりを繰り返している。獲物を抑え込む練習なのだろうけど、見ていると遊んでいるのと変わらない。本人達も遊んでいる感覚なのだろう。

 玩具を取り出して、二匹を箱の外に出す。二匹共しっぽをぶんぶん振って何?何?と言う表情で見上げてくる。

 タロには骨の玩具を投げて、取りに行かせる。ヒメもそれを目で追って駆けたがるが、ヒメには咥え紐をちらつかせて噛ませる。歯を傷めない程度に加減しながら引っ張り合いだ。

 ぽんぽんと玩具を投げながら、引っ張り合いを続ける。ヒメもいつもタロにすぐ負けているので長く続くのが面白いのか、ずっとグルグルと言っている。


 時間を忘れて遊んでいると、リズからご飯の旨、声がかかった。くいっと咥え紐を引っ張りヒメが前脚から伏せた状態になった時点で勝負有りだ。そのまま箱に戻す。タロも投げた玩具を持って帰ってきたタイミングで掬い上げて、箱に戻す。動いて落ち着いたのか、盛んにグルーミングを始める。仲が良い事で本当に良かった。ここ数日で距離も狭まってきている。狩りモドキを一緒に始めたのが一番影響が大きい気もする。


 お昼ご飯はいつもより少し豪華だった。普段ならパンとスープ、メインが少し程度なのに、今日はメインがしっかりしているし、サラダまで付いている。


「これからお仕事に行くものね。しっかり体力を付けてもらわないと」


 ティーシアがにっこり笑い、リズも微笑む。

 ありがたい話だなと思いながら、食事を楽しむ。


 食事を終わらせると、リズは後片付けと、イノシシの処理に関しての引継ぎらしい。ティーシアと一緒に納屋の方に行く。


 私は部屋に戻り、二匹に食事を与える。食べ終わった後は先程の遊びの分の疲労も有るのか食休み兼おねむ状態で丸まってくわっと欠伸をしている。


 空き時間に処理出来るものと、窓を開けて日の光で書類を読み進めていく。人員系の話も有るが、南の森の産物で流して欲しい物も結構な数になった。まだ調査は足りないが10等級の冒険者辺りに頼んで探させるのも手かなとも思う。植生上有り得そうな物の特徴等を記載して、ギルドに依頼を出す事にする。旬の時期なども有るので、長期に並ぶ事になるだろうし、頃合いを見て出してもらう事にもなるだろう。その程度の融通は効かせて欲しい。


 人員系の方はもう、会ってみないと何とも言えない。一旦はロスティーやノーウェを信じて、町の条例に馴染むかで判断するしかない。『リザティア』はまだ普通の町だが、歓楽街はちょっと別のルールで動く。夜も遅めの空間だ。そう言う意味では、住民間の軋轢が生まれがちなので、注意しながら、人員も充てていく。


 農家も埋まり始めている。こっちは三男坊以降が割り振られている。引き継ぐ長男とサブとフォローの次男は外せないか。でも、知識を共有している三男以降が入ってくれるならずぶの素人よりはましだろう。侍従ギルドの件もきちっと手切れてくれた。結構な金は払ったようだが、今後の礼儀作法の要になる人材だ。大切にしたいと思う。会うのが楽しみだな。


 そんな感じで書類を整理していると、玄関の方で声がする。出てみると、ノーウェの執事だった。ノーウェの帰還の挨拶と先触れの返答に訪問したらしい。無事ノーウェは帰ってきた。ただ、ギルド周りの報告を先に聞かないといけないので会えるのは夕方前になると見ているらしい。出来れば夕食も共に食べたいとの事だ。


 それに応諾すると、執事もほっとした顔で、帰って行く。


 納屋のティーシア達にその旨を伝えて、夕ご飯はいらない旨を告げる。後、タロとヒメの面倒をその間よろしくと告げると、苦笑いされた。気を回しすぎかもしれないが、生き物の話なので蔑ろに出来ない。


 さてさて、ノーウェがギルド長の話を聞いてどう言う反応をするかだな。叱責はするけど、継続して悪い所を直させる辺りが現実ラインか。ハーティスの去就だけが微妙なんだよな。正しい事はしたけど職位上は専横になっちゃうな。まぁ、ノーウェの名裁きを見せてもらう事にしよう。

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