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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第287話 そろそろお嫁さん探しも

「ただいま。うわぁ……肩が疲れたよ。あの姿勢、結構大変だよ」


 リズが戻ってくるなり、ソファーに倒れ込む。


「お疲れさま。とても魅力的だったよ」


「本当? なら、嬉しい。頑張った甲斐が有ったよ」


 リズがにこりと微笑む。


「そんなに大変だったの?」


「腰を伸ばして、背中で頭を支えなさいって。棒が一本頭の上から足まで通っているのを想像しなさいって言われたけど、分からないよ……」


 リズが若干涙目で言う。中々スパルタな教え方だな……。


「言っている事は間違っていないようだし、その通りでも良いんじゃないかな?」


「えぇ……。うん……頑張る……」


 リズの目から若干ハイライトが消え気味だが、まぁ、礼儀作法の勉強なんてそんなものかなとも思う。


「でも、明日にはロスティー公爵閣下もお戻りになるのかな……」


「うん……。お爺様に綺麗な姿をお見せ出来るのは嬉しいかな」


「ふむ。樽買ってこようか?」


「え?お風呂入って良いのかな?」


「床は石造りだし、後で拭けば問題無いかな。それか土間を借りても良いかなと思うけど。石鹸も持って来ているし」


「えへへ。久々のお風呂だ……。嬉しいかも」


 そんなリズの頭を撫でる。するとそれを見ていたタロがてとてと近付いて来て頭を差し出す。


『なでて、なでて』


 ちょこんと座ってはっはっと息をしながら、しっぽを振る姿が可愛い。頭を撫でてついでに、体中をわしゃわしゃする。


『きゃー、きゃー』


 もう、嬉ションせんばかりに喜ぶ。


「タロも、もう大きくなってきたのに甘えん坊だね」


「でも、散歩に連れて行くとウサギとか見つけると、狩りたそうにしているよ。村に戻ったら、狩りも覚えさせないと駄目かな」


「野生だと、そろそろなのかな?」


「まだちょっと早いかな。そろそろ巣穴から出て、兄弟姉妹と一緒に周囲を探索し始める頃合いかな。その中で集団行動として狩りを覚える感じかな。まだ、体が出来ていないから大きな獲物は無理だしね」


「お嫁さんも探してあげないと駄目だね」


 もう一匹飼うのか……。食費が結構な金額になるが……。まぁ、今の貯金と今後を考えれば大丈夫かな。


「北の森でも、そろそろ群れが分散する時期だから、同じ時期に生まれた子狼が散らばるから、お嫁さんもいるかも知れないね」


「村に戻ったら、北の森に入って探す?」


 リズが目をキラキラさせながら言う……。いや、世話の負担が2倍になるんだけど……。


「どちらにせよ、オークの跡地やダイアウルフの状況確認はしたいかな。レイの報告だとまともな形では狩れていないみたいだしね」


 仲間の情報とは別にダイアウルフ等の狩猟状況を確認してもらったが、芳しくは無いようだ。傷だらけの皮を持ち帰って、撥ねられては意気消沈して帰る冒険者ばかりだ。

 ダイアウルフ側もかなり賢くなっているのか、基本的に集団を崩す事は無く、ウルフ・パックとして行動しているようだ。流石に今でも30匹とかに集られるときつい。


「さて、そろそろお昼だし、食べ終わったら散歩がてら樽でも買ってこようか」


 そう言うと、リズが激しく頷く。それを見てタロが新しい遊びだと思ったのか首を振る姿が可愛い。ほっぺを持ち上げてむにゅーんとするときょとんとした顔でされるままだ。


「あはは、タロの顔、面白い。何か可愛いね、それ」


 リズがそれを見て笑う。うん、幸せな時間だな。


「これでも、侍女の間では結構人気らしいよ。可愛いって。雄狼なのに、媚びを売る悪い子だ。うりうり」


 ほっぺをうにーんと伸ばすが、本人は構ってもらっているので嬉しそうだ。


「そうなんだ。まぁ、タロ可愛いもんね」


 あぁ、ここにも親バカがいる。はは。リズも十分可愛いよ。


 そう声をかけようとしたら、扉をノックする音が聞こえる。侍女が昼ご飯の旨を伝えてくる。


 タロを箱に戻すと大人しく丸くなる。後で散歩に行こうと言うと、散歩の言葉に反応したのか、しっぽがゆらりゆらりと振られる。


 食堂では、皆とベティアスタが先に座っている。


「子爵様より伺いました。ベティアスタさんが主導で私の南の村と、そちらの漁村を結んで頂いているとか。ありがとうございます」


「おぉ、そんな話もしたのか、あの男は……。まぁ、将来的に塩が生産されると聞いたし、何か有った場合も融通が効くからな。あそこを通すのは今後有益では有る。それは一方的にうちの領が有益な可能性すら有るからな。整備程度はうちがやらねばな」


 ベティアスタが眉根に皺を寄せて苦笑気味の顔で言う。まぁ、将来的に船が出来、貿易船が動き出したら廃れるかも知れない。でも、陸路の重要性は高い。船と違って何か有っても歩けば辿り着けるのだから。


 ノーウェが席に着いて、食事が始まる。


「いやぁ、リズさんのドレス姿は驚いた。君、羨ましいよね……。はぁ、結婚かあ……。真剣に考えようかな」


「ふん。毎度そう言ってここまで来たのだ。変わらずでは無いのか?」


 ノーウェとベティアスタの丁々発止が繰り広げられる。


 巻き込まれるのもあれなので、身内で話しながら、食事を進める。


 食後は、タロの食事をもらって、部屋に入る。日々少しずつ量も増える。


『ふぉぉ!!こりこり!!おおめ!!』


 モツも量が多目になっている。鳥の頭も日を置かず出るようになった。タロの食費だけでどれくらいになっているんだろう。ちょっと怖いけど、考えないようにしよう。それに便も白っぽくなったりせず健康なままだ。このまま健康に育ってくれれば嬉しいな。


 私達の食休みとタロの食休みとして、ベッドに転がりまったりと過ごす。タロはリズと一緒に寝ていると、間に入り込んでくる。狭い所好きだ。


 そうやって、昼下がりが平和に過ぎて行く。さぁ、程々に休んだら買い物に出よう。

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