第25話 沖縄在住時代に飽きる程食べたのにやっぱりマンゴーは好きです
汗だくです。
大体牽制向きな構成は出来た。
取り敢えず、二足歩行相手と狼相手はこれで良いだろう。熊は……もう全力じゃないと無理だろう。
お風呂に、入りたいです……。日本人的な根源欲求が出てきた。
でも、お風呂の文化無いしな。大きなタライを買って来て行水しようかな。
家の中に入ると良い香りが漂っていた。
「お疲れさま」
背後から腕を回される。
「汗だくだから、汚いよ」
「良いわよ、私も手伝いでべたべただもの」
後ろを振り向くとリズが口づけて来る。
「ふふ。ちょっとしょっぱい」
「あー、だから言ったのに」
「良いの。そこも含めて、良いの」
「食べちゃいたい?」
「食べちゃいたい」
リビングに揃って向かう、アストは既に席に着いていた。
食卓の上にはナンみたいな物の上に野菜と溶けたチーズと生ハムが乗っていた。
ピザっぽい何かだった。
噛んだ瞬間もちもちとした生地に野菜の甘い水分が染み込み、得も言われない旨味が口に広がる。
チーズの香りと生ハムの塩味も絶妙で、美味しい。
「これ、美味しいですね」
「うふふ。新作。昨日はアキヒロさんに美味しい物作って貰ったから、今日は腕によりをかけたわ」
ティーシアが得意げに話す。
「魔法の修業はどうだった?」
アストが聞いてくる。
「面白い、先生でした。基礎的な使用に関しては問題無いです」
「そうか」
言葉少なに食事に戻る。
食事を終え、後回しになっていた確認をこなす。
部屋に戻ろうとしたリズを呼び止める。
「リズちょっと良い?」
「何?」
拾った実を入れたズタ袋を持ってきて、各種の実を取り出す。
「北の森でちょこちょこ拾ったのだけど、食べられるの有る?」
1つずつを確認し、1種類だけを取り出す。
「これ以外はあまり美味しくないわね。毒は無いから緊急時の水分補給用かしら」
赤いビワみたいな実だった。
「そのまま皮を剥いて食べられるわよ」
器用に皮を剥き、手渡してくる。種は大き目のが1つだ。味はビワと言うよりマンゴーに近い。
ねっとりとした甘みが美味しい。もう1つを剥きリズの口に放り込む。
「ん。甘い。美味しいわね」
頬を押さえながら口元を綻ばせる。
そんな仕草も可愛い。
「気になっていたんだ、ありがとう」
「美味しかった」
首元を掴まれ、そのまま口づけを交わす。果物の豊潤な香りがする。
「こっちも美味しい」
ドキドキさせる。
部屋に戻り、お湯を借り、体を清める。
さて寝ようかなと思ったら、ノックの音が聞こえる。扉を開けるとリズがいた。
「今日も一緒に寝て良い?」
正直家の構成上、音は丸聞こえだ。
両親二人も心配はしていないのだろう。
「良いよ」
リズがベッドに飛び込む。裾から見える、白い肌にドキッとする。
「見る?」
女の子が男の視線に敏感なのはどこも一緒か。
「我慢が利かなくなりそうだから、駄目」
「残念」
と言いながら、首に手を回しベッドに引き込んで来る。
もう、瞳は潤み始めている。
腰に手を回し、強く引き寄せる。額を耳を瞼を顔中くまなく口づける。
「優しいの……好き」
荒くなった呼吸が理性を溶かしていく。何度も何度も何度も口づけを交わす。
胸元に手を伸ばそうとした瞬間、冷静に戻る。
「こら。お預けだと言ったじゃないか」
「ふふ。ちょっと負けそうだったでしょ?」
図星を突かれて、少しぶすっとしてしまう。
「はいはい。うちのお姫様は魅力的で抗えないですよ」
「うふふ、お姫様……。もっと……言って」
「瞬く星より輝き、咲き誇る花々より尚可憐。世界の何処を探してもリズ以上は存在しないさ」
「口……うまいのね……」
どんどん潤んでいく瞳を近づけてくる。
溶けるまで、溶けそうになるまでキスを繰り返す。
「さぁ、明日も早い。寝ようか」
自分の歯止めが利かなくなる前に寝る。
「おやすみ」
「おやすみお姫様」
あぁ、TODOリストチェック。
[x]採取した実をリザティアに確認する。
気になっていたのが潰せた。
さぁ、明日も頑張って稼ごう。
おやすみなさい。