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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第240話 淡い恋心が育っていくのを見守るのも良い物です

 焚火に当たりながら、後番で夜を明かす。ほのかに日が昇って来たのを見て1月27日が始まったのを感じる。リズに声をかけると、すぐに起きた。家で起きないのはティーシアの愛の鞭と冒険者生活と夜の営みの所為か……。


「おはよう、どうしたの?」


「後番だったから、先にタロの食事を貰ってこようかなって。タロを頼めるかな?」


「ん。分かった。おいで、タロ」


 そう言うとタロがしっぽを振りながら駆け寄る。リズがテントの中で骨の玩具を投げて、跳ね回るのを嬉しそうに追いかけている。


『ほね!!まてー!!』


 まぁ、任せて大丈夫と判断し、飯場に向かう。


 食堂のお姉さんに生肉を頼むと、鶏を絞めたらしいので、それを貰う。イノシシは東の森から猟師が狩ってきているが、鶏はノーウェの町からの持ち込みだ。おかずのバリエーションを広げる為とは言え、ちょっと勿体無い。出来れば、この『リザティア』で繁殖する子に出来たらなあとも考える。あぁ、頭は幾つか貰っておいた。干しながら進めば気温も有るので早々に腐る事も無い。

 毟って捌いている最中に、建築のトップ集団と出会う。挨拶をして話を聞いてみるが、毎日、食事前の朝から各所の調整で打ち合わせを行っているらしい。温泉が湧出した事も有り、建築速度に発破がかけられたようだ。


「今日から、海側の調査に向かいます。戻ってくるのは10日前後の後になると考えます」


 そう伝えると、海側の状況に関して、説明を貰えた。現状は物資搬入がちょっとずつは進んでいるらしい。ただ村作りに関してはまだで、道の方を優先するらしい。


「『リザティア』側はともかく歓楽街は未知の事が多いですので、人員を割かざるを得ないのです」


 総責任者が言うと重みが違う。確かに歓楽街は結構色々仕掛けた。今効果が出なくても将来に効果が出る仕掛けも多い。そう言う意味では、中々作る方も大変だろう。設備の意味が分からず作るのはストレスだろうから。


「いえいえ。そこはお気になさらず。ちなみに、海側の着手はいつ頃を想定していますか?」


 そう聞くと、やはり1か月以上先になるようだ。今は運搬の商会で遠距離を動ける所に木材等の移送を任せているとの事だ。資材の運び込みはかなり終わっているので、少しずつ運搬系には余裕が出始めている。それを回しているらしい。


「ありがとうございます。では、本日も体に気を付けて作業の方頑張って下さい」


 そう言って、辞去する。行ってもまだ何も無いが、人魚さんとの交渉は終わらせたい。海の真ん中で叫んで出てきてくれるかな?


 そう思いながら、野営場所に戻る。皆も起き出してきている。

 いつものようにタロに鶏を与える。待ての姿も少しずつ凛々しくなってきている。マズルも伸びて、狼と言う感じも出てきた。


『とり!!うまー!!』


 口元を血塗れにしながら食いちぎっている様を見る限りは、まだまだ子犬って感じだけど。考えている事も欲望に忠実で可愛い。

 皿に飲み水を満たして、先に食事に向かうようロット達に伝える。


 カビアを残し、ロット達が戻るまで軽く散歩でもしようと言う話になった。カビアが残って番をしているのは貴族の紋章が入った馬車だ。貴族相手と言う事で、相手に余程の覚悟が無ければ喧嘩は売られない。そう言う意味ではカビアの心配は必要無いだろう。

 それに、また馬車での移動だ。中々体を動かす機会も無いので、てくてくと皆で話しながら歩く。平原なので周囲も確認しやすい。

 ドルとロッサは仲良く話をしている。交際状況はどうなのかなと少し気にはなったが、馬に蹴られるのは嫌なので詮索はしない。リズと一緒にちょっとしたデート気分を味わう。しかし、寒いが雪が降らないのはありがたい。もし降り始めると間違い無く作業に影響が出る。


 暫く歩いて、野営地に戻るとロット達が戻って来て食休みを取っていた。交代で食堂に向かう。タロはフィアに預けたが、何か骨の引っ張り合いに夢中でちょっと歯がどうなるか怖い。手加減はくれぐれも頼むと伝えているが、ちょっと夢中になると周りが見えない子だしな……。


 朝ご飯のメインは鶏を香辛料たっぷりで焙った物だった。脂も落としてくれているので、朝からでも食べられる。パンでは無く大麦の粥だったのもちょっと嬉しい。あぁ、お茶漬けが食べたい。


 ロッサがちょっと多かったのか食べる前に、ドルに少し鶏を切って渡している様を見ると、あぁ、仲良いんだなとも思う。幸せになってくれれば良いけど。


「リズ、少し鶏あげようか?」


 個人的に朝はそこまでがっつりは食べない。


「ん?良いの?じゃあ、少しだけ」


 そう言って、切った分を持って行く。結構食べるのに太らないのは知らない間に運動しているのか、体質の所為か。ティーシアもほっそりしている。遺伝子ってずるい。まぁ、抱きしめたら程良くお肉も付いているので個人的には満足だが。


 食べ終わり、プレートごと、食器を回収カウンターに戻す。野営地に戻ると、フィアが狼塗れと言うか、乗っかられてペロペロと舐められていた。


「ぎゃー、くすぐったい、こら!!タロ、やめ、ちょ、くすぐったい、ひゃっ」


 フィアが何とかタロを捕まえ、涎塗れの顔を晒す。


「何が有ったの?」


「いや。引っ張り合いに興奮して、がばっと飛んできたのを応戦したら、遊びと勘違いしたらしいのかな?もうなんか張り付いて、延々舐められた」


 まぁ、親愛の情だろう。タロもしっぽを振り回している。お湯で濡らした端切れを手渡す。フィアが顔を拭いながら苦笑する。


 馬の準備もレイが終わらせている。


「じゃあ、荷物の点検だけ済ませて、問題無ければ海側に向かおう。片道5日間の旅だ。気を抜かないように」


 そう告げて、ロット達が先に点検してくれた荷物の最終点検を行っていく。


 最終点検が済み、発車の準備は整った。まぁ積載の材料で十分に食料等は間に合うが念の為と言う事で。


「では、発車致します」


 レイが声をかけて、馬車が緩やかに発進する。さて、海への道か。竹を何本か持ち帰ろう。色々作りたい物が出来てきた。


 そう言えば、旅の前に現状のスキル状況がこんな感じになる。


 ◇スキル情報◇

 『識者』

 『認識』

 『獲得』

 『薙刀術』1.17

 『片手剣術』0.11

 『槍術』0.70

 『隠身』0.82

 『警戒』1.01

 『探知』1.21

 『軽業』1.22

 『勇猛』1.77

 『剛力』1.40

 『殺人』0.24

 『馴致』0.72

 『祈祷』2.36

 『カリスマ』0.92

 『術式制御』2.20

 『属性制御(風)』2.07

 『属性制御(水)』2.08

 『属性制御(土)』0.90

 『属性制御(火)』0.49

 『属性制御(神)』1.14

 『術式耐性』0.47

 『フーア大陸共通語(会話)』0.70

 『フーア大陸共通語(読解)』0.69

 『フーア大陸共通語(記述)』0.22


 『片手剣術』は日々下がっている。まぁ、しょうがない。その他は微増を続けている。『勇猛』がストレスで増えるんじゃないかと言う仮説を立ててみたがじりじり増えるのでその可能性は高い。嬉しくないが。

 『馴致』はどんどん上がる。これはタロとの交流のお蔭かな。後、地味に『カリスマ』はオフにしているのに上がる。何故かと考えるが、あれだけ演説していたら上がるか……。術式関係はもうじりじりと上げている。

 後、『フーア大陸共通語』関係が記述も含めて上がっているのは嬉しい。ここに来て、お偉いさんと話すことも多く、専門用語も多い。そう言う意味では上がるんだろう。書類も泣きながらいっぱい書いた。


 そんな事を考えながら、馬車に揺られる。後ろではリバーシが新しいブームになっている。チェスはちょっと大人な遊びに分類されたらしい。リナはトランプに夢中だ。何と無く二児の母がトランプに夢中と言うのも可愛い。


 特に襲撃を気にせず行ける田舎道なので、レイの『警戒』に頼りながら、先を急ぐ事にした。

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