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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第一章 異世界に来たみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第21話 アヒル口って可愛い子がすると本当に可愛いですよね

 晩ご飯の後、リザティアを部屋に連れて行く。

 未婚の女性を部屋に連れて行くのは若干抵抗は有ったが、話す内容が内容故に、大切な話が有ると2人に伝えた。


「さて、少し長くなると思うから、座って貰えるかな」


 部屋の椅子を勧め、私はベッドに腰かける。

 リザティアは少し不安そうな面持ちで、黙って椅子に腰かける。


「大切な……お話と言う事ですが」


「あぁ、申し訳ない。他の人間には荒唐無稽に聞こえるかも知れないから、2人で話がしたかったんだ。今まで隠していた事、今日起きた事、これからの話。きちんと伝えたい。その上で先程の結婚の話をきちんと考えて欲しい。質問は一旦おいて、聞いて欲しい。後からまとめてきちんと聞くから」


 私がこの世界の人間では無い事。地球での生活の話。離婚をした事とその経緯。神に出会い話した事。転移に神の上位者が関わっている事。

 帰還の可能性が有る事、その際に連れて行く事が出来るかは不明な事。それでもこの世界に一緒に骨を埋めても良いと考えている事。そして生殖が可能な事。

 またこの話は一緒に墓まで黙って持って行ってほしい事。


「以上となる。率直な意見を聞かせて欲しい」


 この世界の人間で無い事は薄々思っていたらしい。服の素材、縫製技術が隔絶している為、不審には思っていたとの事。

 命の恩人と言う事と為人を見て、危険は無いと家族の意見が一致したとの事。


 地球での科学技術や魔術の無い事に関しては、大分驚いていた。度々ライターを使っていたのも発火補助の魔法の道具を使っていたと思っていたとの事。

 ライターを見せ、純粋な素材と技術で出来ている事にかなり驚いていた。


 離婚に関しては、この世界にも概念は有るとの事。婚姻を司る神もその辺りは柔軟らしい。理由の有る離婚に関しては寛容だ。

 その原因の部分に関しては少し複雑そうな面持ちをしていた。ただ時も経ち、私は吹っ切れている旨を強調し安心して貰った。


 神に出会った事に関しては、思ったよりも驚いていなかった。やはり実在し頻繁では無いにせよ降臨する事で身近な存在らしい。


「享楽を司る神様のお名前までは存じ上げませんでした。数年前、不世出・希代の喜劇役者と謳われた方の引退公演の際に、隠れて観劇した後楽屋でその才を称し惜しんだ事は有名な話です」


 流石シェルエ。お茶目しているんだな。


 神の上位者の説明には苦労した。全く概念が無い為、説明のしようが無い。神様を作った創造神のようなもので最も偉い神と言う表現で何とか理解して貰えた。

 

 帰還の話はやはりネガティブな反応だった。どちらかの家族とは別れる形になる。私の父母も健在である事も伝えた。

 この世界で生きる事に腹を括った旨を伝えると、喜びと申し訳無さが半々は表情になっていたが。


「出来れば、こんなに可愛らしい彼女が出来たんだから。伝えられるのなら、伝えたいけど」


 と伝えると、真っ赤になっていた。

 生殖に関して、16歳になるまで待って欲しい旨を伝えた。


「何故16歳なのでしょうか?」


「住んでいた国の法律で女性の結婚が許されるのが16歳なんだ。こちらで生きる事には覚悟は出来たけど、慣習的に守りたい」

 

 と伝えると、複雑そうな顔をしていた。

 ちなみに避妊に関して確認すると、出産を司る神が加護を与えるらしい。

 この世界でも強姦等は発生するらしい。望まない出産を防ぐ為、女性は生理が始まると教会で加護を受けるらしい。


「私はもう15歳です。成人です。出来ますのに」


 ロリコンの概念なんて通用しないので、説明に苦労した。取り敢えず慣習と言う事で逃げた形になる。


 全ての話を伝えた後、双方共に放心していた。


「俄かに信じられない部分は有ります。ただ真摯に説明頂き、嘘は感じませんでした。またきちんと向き合って頂けた事。それが本当に嬉しいです」


 正直1週間もしない間に、結婚まで考える状況になるとは全く思ってなかったなと感慨に耽る。


「あの……」


 潤んだ瞳で、ベッドの方に移動してきて隣に座る。


「結婚を前提と言う事は、近い将来には結婚して頂けるんですよね?」


 温かな体温を感じる。甘い香り。お風呂も無いのに、何故こんなに甘い香りなんだろう。


「で、ですね。アキヒロさんじゃなくて、アキヒロってお呼びしたいのですがよろしいですか?」


 上目遣いで問うて来る。ちょっとアヒル口なのが可愛い。


「ヒロで構わない。昔から家族にも友人にもそう呼ばれていたから」


「ヒロ……。ヒロ……。ヒロ」


 呟く度に、瞳が潤み徐々に近づいてくる。


「愛称は、本当に近しい家族だけが呼び合うものです。私の事はリズって呼んで下さいね」


 ほぼ唇が触れ合う所まで近づいてくる。香りにくらくらしてくる。


「それと……」


「それと?」


「もっと甘えても良い?」


 首に手が回ってくる。あぁ、限界だなと頭の何処かが冷静な判断をしていた。


「あぁ、構わない。思う存分甘えると良いよ」


 こちらからも腰に手を回し、引き込む。額を触れ合い、その体温を感じる。


「正直、これからリズの想像を遥かに超える事が起こるかもしれない。それでも私は君を護る。一緒になってくれるかな?」


「ふふ。遅い、遅いよ。私は、あの日からもうその覚悟は決まっていたんだから」


 双方が引き合い、強く抱き合う。

 潤んだ瞳が、そっと閉じられる。


「これからも末永くよろしく」


「神のみもとに召されるまで。共に永く歩んで行きましょう」


 軽く唇が触れ合う。啄むように触れ合いながら、深く咥えあう。

 触れる全てが柔らかい。無意識に腰を引き込み、ベッドに押し倒す。


「あ……」


 リズが呟く。


 無意識に大きくなっていたらしい。近年感じた事が無いくらい怒張しているのが、彼女のお腹に触れていた。


「熱い……。感じてくれて嬉しい……」


 何もかもを受け入れる、女神のような微笑みを浮かべる。


「駄目。さっきも言ったけど16歳まではお預け」


 上目遣いで頬を膨らます。


「良いわ。直ぐに我慢出来ないようにしてあげるから」


 明るい笑顔で宣言する。本当に明るい子だ。


「お手柔らかに」


 せめて一緒に寝たいとの事なので、ベッドを空ける。


 抱き合いキスを繰り返す、抱きしめる度にもっと強く体温を感じたくなる。

 数えきれない程のキスを繰り返しながら、呟く。


「お休み、リズ」


「お休み、ヒロ。良い夢を」


 あぁ、隣に誰かが居て眠るなんて久しぶりだな。

 充足感と安心感に包まれながら、ゆっくりと眠りに落ちる。


 あぁ、TODOリストの果物の件聞くの忘れていたなと。


 ふと思ったけど、微睡の最中、明日でも良いかと意識を手放した。


 明日も良い日で有りますように。

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