第19話 キンキンボイスって圧倒されませんか?
教会の前庭に幾つかベンチが有ったので、座り込む。
シェルエの話を前提にする限り、この世界の管理権限を持った存在はこちらに最低限好意を持ってくれているようだ。
ただ、イメージ的には、アガペーなのだろうなとは思う。あの説明だと魔物も端末の一部と言う事になる。これは人間のエゴイズムか。
人間の形状と植生に関しては、収斂進化と同一イメージ上の情報の取捨によるものなのだろうか。
「あ、生殖の確認していない……。と言うか、あの状況じゃ聞けないか」
10万年前だとぎりぎりホモ・サピエンスが起源か?
考えてもしょうがないか。また話を聞ける時にでも確認しよう。
管理者に関しては正直、データセンター系の社員みたいだなと言うのが印象だった。
サーバに関しても、アプリケーション層の管理と言う事は、ある程度自由の利くレンタルサーバっぽいイメージが有る。
閉鎖されたネットワークと言う前提に、連絡・応答と表現しているしていたのもネットワークでは無くオペレータに電話連絡しているイメージか。
と言う事は、神々は世界間で連絡が可能なのか?あー、中途半端に情報が入って、却って気になる。
取り敢えず地球への帰還に関しては保留か。
これに関しては、選択肢が存在するだけかなりましな状況になった。
後は、新しいスキルの確認か。
『識者』先生にお願いするか。
<解。『祈祷』に関しては神々に伺いをたて、然るべき神託を受けるスキルです。習熟により、より曖昧な伺いに対し正確な神託が下るようになります。>
ふむ。取り敢えず、試すか。
「神様、こちらの世界の女性と結婚を考えていますが、子供を作る事は可能でしょうか?」
呟いてみる。祈りの姿勢とかいらないのかな?
『はーい。初めましてぇ。アキヒロ君ですねー。私はヴァーダですー。豊穣を司る者ですー』
脳内に甘い声が響く。
あまりにあっさりと繋がり驚く。神託ってもっとこう、神聖なイメージが有ったんだが。
『子作りに関してですが、全然OKですー。と言うかー、今いる星のデザインはー、アキヒロ君のいた地球をベースにコピーしてるんですー。なので、じゃんじゃん作って下さいー。後、人類の定義が地球とちょっと違いますが基本的に遺伝子ぃ?は一緒なので種族ぅ?が違ってもOKですー。また何か聞きたい事が有れば、聞いて下さいねー。ではーまたー』
超フランクな対応にかなり引いた。
『術式制御』に関してはどうなんだろう。遂に魔法系のスキルか?
<解。『術式制御』に関しては魔素を魔力に変換し、魔力を術式に変換するスキルです。最低限該当スキルを取得しなければ魔素の利用は不可能です。>
おぉ。魔法使えるようになるのかな。かなり期待。
<告。術式に関しては一定の構築定義が有ります。その習熟を行う必要が有ります。>
まぁ、勉強しないとダメと言う事か。
『属性制御(風)』に関しては?
<解。『術式制御』により変換された純粋魔力はプリマ・マテリアとなります。プリマ・マテリアにベクトルを加える事により、事象が発生します。>
<『属性制御(風)』に関してはプリマ・マテリアに風因子のベクトルを加え、風に関わる事象を引き起こす制御を行います。>
ん?今の話だと、私が使えるのは風に関わる魔法だけなのか?
<解。肯定です。ただ、『属性制御』のスキルに関しては後天的な学習が容易です。>
と言う事は、まずはお試しでお使い下さいと言う意味なのかな。火とかだと延焼が怖いし、水とか土も後に残るから、風が丁度良いのかな。
神様関係はこれで全部かな。
取り敢えず、TODOリストチェック。
[x]『祈祷』、『術式制御』、『属性制御(風)』の確認
さて、本日も頑張ってお仕事しますか。働かざる者食うべからずと言う事で。頑張ろう。