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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第一章 異世界に来たみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第17話 『認識』がアップデートされました

 買ってきたズタ袋をティーシアに渡すと、かなり遠慮された。

 元々使い込んでいたものだと固辞されたが、居候のお礼と言う事で受け取って貰えた。


 程無く、アストとリザティアも帰ってきた。

 罠の設置も無事完了したとの事。

 獲物もヤマドリの交雑種っぽいのを親子でそれぞれ1羽ずつ狩れたらしい。

 既に処理は済んでおり、そのまま晩ご飯になるようだ。

 ティーシアとリザティアが楽しそうにキッチンに向かう。


「1日で18,000ワールか。大分儲けたな」


 食事が出来るまでアストと話し込む。

 話を聞く限り農民1家族当たりの年収は税金を除き、100万ワール程度らしい。

 この計算だと、2か月程度で稼げそうだ。なら皆、冒険者になりそうな気がする。


「ヴァズ草ばかり20束を1日で採取するのがまず難しい。森に入ると言う事は危険度が高い為、普通の人間は避ける。また、冒険者が外縁部で探索したとしても、1日で精々2束程度を探し出すのが精一杯だ」


 それだと生活も難しいか。

 ちなみに冒険者以外でも10等級の仕事は受けられるらしい。

 その際は税金の天引きは無いが、徴税時国に冒険者ギルドより申告されるとの事。

 村内の雑事が多いと思ったが、手が空いている人間が相互扶助をする際の潤滑剤になっていると言う事か。

 取り敢えず収入が安定するかがまだ不明な為、せめて9等級になるまで泊めて貰えるかと尋ねると、昨日と同じく快諾された。

 ちなみに、お兄さんに関しては後一ヵ月弱は出ているとの事。どうも、ルース村の猟師が怪我で動けずその間出張しているようだ。名前はアテンとの事。

 話が落ち着いた頃に、晩ご飯が出来上がってくる。

 持ち込んだ山芋をつなぎに使った鳥団子とキャベツ、根菜のシチューとライ麦パンだった。

 どうもパンに関してもパン焼きギルドが有るらしく、そこから購入しているとの事。


「お、団子がふわふわして美味しい。香りもさることながらこの肉汁が何とも言えない。料理上手だね」


「ありがとうございます……」


 リザティアがはにかみながら微笑む。ティーシアがにやにやしながら続ける。


「この子、あまり調理が好きじゃなかったのに。アキヒロさんが来てから張り切っちゃって」


 和気藹々と晩ご飯を楽しむ。

 軽く食休みを取った後、獲物の手入れを始める。


「骨を断ったな?」


 アストがグレイブもどきに使っていた鉈を見るなり呟く。

 確かに中程に小さな刃毀れが出来ていた。


「この程度であれば研げば何とかなる。研ぎは任せておけ」


 納屋の方から、桶と砥石を持ち出してくる。 


「お手数おかけします。よろしくお願いします」


 包丁を研いだ事は有るが、電動砥石に通すだけだったので、正直刃物の研ぎ方なんて分からない。

 今後の為に観察しようかと思ったが、アストの方から止めて来る。


「私の研ぎは我流だ。きちんと覚えたいのであれば、鍛冶屋に頼むが良い」


 手が空いた為、もう一本の鉈を杖に括り付ける。

 採取だけと甘く考えていたが、今日の状況を考えると今後も戦闘が頻発する可能性が高い。


 <告。得た各スキルは習熟により向上します。>


 取り敢えず習熟の目標確認の為、現状のスキルを『認識』で確認したいが、鏡が無いので困る。

 水面でも可能かと思ったが無理だった。


 <解。スキル『認識』の一部をアップデートします。少々お待ち下さい。>

 <……書き換えを完了しました。処理内容を報告します。視覚情報のインターセプト機能を一部拡張しました。>

 <起動ワードとして、「自己認識を実行する」「自己認識を解除する」を定義しました。>


 『識者』先生があっさりと解決してくれる。格好良すぎる。


「自己認識を実行する」


 小さく呟くと同時に、50cm程先に半透明なガラス板が浮き上がる。


 ◇スキル情報◇

 『識者』

 『認識』

 『獲得』

 『隠身』0.12

 『勇猛』0.20

 『フーア大陸共通語(会話)』0.12

 『フーア大陸共通語(読解)』0.06

 『フーア大陸共通語(記述)』0.01

 『槍術』0.16

 『警戒』0.08


 板に現在のスキルが羅列される。んー。この世界に来る前に得た知識はどうなっているんだろう。


 <解。過去に取得されたスキルに関してはマスクデータとなっています。スキル『獲得』が認識した段階でマスクが外れます。>


 あ。後『隠身』がちょっと上がっている。確か0.03だったはず。


 <解。先程の呼称ゴブリンとの戦闘の際、スキル『隠身』を利用しておりました。>

 <スキル『隠身』は視覚能力を持った対象を認識した状態で、姿を隠し行動を起こす事により向上します。>


 藪に隠れながら背後を取ったのが『隠身』向上の理由か。


「自己認識を解除する」


 小さく呟くと同時に、半透明なガラス板が沈み込みながら消える。

 ふむ。努力の形が目に見えるのはモチベーションの維持には最適だな。


 取り敢えず、訓練を頑張るか。

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