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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第一章 異世界に来たみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第14話 バックベアード様がみてる……バクみて?

 10等級の依頼が記載されている掲示板に向かう。

 依頼を受けるには、早い物勝ちで依頼票を受付に持って行くらしい。

 ただ、上限が決められていない依頼も見受けられる。香辛料、薬草の採取等がそれだ。

 ざっと見る限り、廃屋等取り壊し及び廃材運搬、道路敷設の荷物運び等の土方やベビーシッター、書物の書写や家屋の清掃。

 村の中で完結する依頼が多くを占めている。達成料もピンキリで同じベビーシッターでも5割近く違ったりする。

 あれか?子供のはしゃぎ度次第なのか?

 そんな中、北の森での薬草採取が大分効率が良い。薬草の種類が違うとは言え、南の森の薬草採取に比べ2倍近く違う。

 取り敢えずその辺りの事情が気になった為、受付の女の子に聞いてみる。

 登録業務はそう頻発する事も無いようで、先程の女の子に声をかけて見る。


「北の森の採取に関してですか?南の森に関しては植物を司る神の加護が有る為、大型の肉食獣及び魔物は出現しません。北の森に関しては加護が無い為、また魔素が充満している為、大型の肉食獣及び魔物が頻繁に出没します。それぞれに生息テリトリーが有る程度決まっている為、脅威度は低いですが初心者の方にはお薦め出来ません。詳細に関しては、2Fの書庫に北の森の情報が有る筈です。そちらをご確認下さい」


 正直何の情報も無しに命を懸ける気にはなれない。異世界テンプレだとこのまま現地で俺つえーだろうけど、メタボなおっさんにそんなのは無理だ。

 情報こそ武器なのです。と言うかその蛮勇ってどこから出て来るのか、昔から不思議だった。

 と言う訳で2階に上がり、書庫を開けてみる。

 羊皮紙が束になり、整然と置かれている。その中をパタパタと小さな女の子が書類の整理を行っている。


「あの、お仕事中すみません。北の森の詳細を知りたいのですが資料は有りますか?」


 女の子がやっとこちらに気付いたように、あわあわしながら向き直る。


「はい。北の森の資料ですね。大まかな地図と生息種とテリトリー、植生辺りでよろしいですか?」


 ぉぉ。完璧な回答。あれだ三つ編みにして眼鏡かけたら委員長キャラって感じだ。

 可愛いが、私はロリコンじゃない。せめてリザティアくらいにならないとって、あれも15歳なんだよな。ロリコン……なのか?バックベアード様に叫ばれそうだが。

 と言うか、私の身長以上に成長している相手にロリコンも無いし、そもそも成人しているしな。まぁ、考えてもしょうがない。


「こちらが資料です。読了後はカウンターにお戻し下さい」


 ぺこっと頭を下げ、またパタパタと業務に戻っていく。何か元気な座敷童みたいだな。


「と言う訳で北の森と」


 取り敢えず、南の森の端とこの村までを5kmとして、基準にする。

 北の森までは、同じく5km程で行く事が出来る。ただ、東西に広がった楕円形だが長径で35kmくらい有る。

 地図の縮尺もいい加減だろうけど、これ大分広いな。

 兵庫県民なので分かりやすい例えだと、阪神高速を使って三ノ宮から大阪まで行くのが大体35km弱だ。


「大きめの市3つ分内包するのか。迷子になったら帰れないな」


 生息種に関しては肉食獣で大きいのは熊がいる。それも3mクラスの大物。中心地が集団のテリトリーらしいので出会う確率は低いだろう。

 狼もいる。これに関しては大分テリトリーが広いらしく、森の外縁部でも目撃されるらしい。

 ただ、毒を持った生き物に関してはこの前食べたアオダイショウモドキくらいらしい。流石最初の村。レベル低目で良かった。RPGじゃないけどね。

 モンスターこと魔物に関しては、下記の通り。

 ・角の生えた兎?モノコーンラビット。草食だが護身の為大型動物が近づくと角で突進してくるらしい。

 ・皆さんお待ちかね、ゴブリンさん。ゴブリンって訳されているからゴブリンだよね。ある程度知能が進化しているらしく集団で武装しているらしい。

 ・緑色の猿?そのままグリーンモンキーと呼ばれているらしい。木の実や虫を食するがテリトリーに他の大型生物が入ってくると威嚇の後攻撃してくるらしい。

 後は少数が確認されているがはっきりとした報告がなされていない為、資料には記載されていないようだ。

 兎と猿は良いけど、ゴブリンさんか。RPGだと雑魚だけど、二足歩行の生物が武器を持っているって普通に脅威だしな。

 例えば、街中で包丁振り回しているおっさんなんて、もう事案です。警察呼ぶしか出来ません。それが森の中から唐突に出て来る。恐怖だな。

 植生に関してはどうも儲けの種らしく詳しい記載が無い。ただ、依頼に記載されていた薬草が北の森の何処かに生息しているのは確からしい。

 女の子に言われた通り、資料をカウンターにまとめて戻す。


「取り敢えず、薬草の実物見せてもらうか」


 1Fに降り、再び先程の受付の女の子に声をかける。


「すみません、ヴァス草の実物は有りますか?」


「はい。少々お待ちください。……こちらですね。採取に関しては20cm以上の物を根ごとお持ち下さい」


 ヴァス草を手に小声で呟く。


「『認識』を行使します」


 ふむ。どうも若干の麻酔成分が含まれる事。

 草自体が吸収した魔素が植物自体の治癒力としての魔力を含んだ成分に変質し、それが人体に影響を及ぼし人体の自然治癒力を上げているようだ。

 RPGの薬草って草食べて何で傷が治るのかなと思っていたが、実はこんな流れだったのかとちょっと感動した。


「ちなみにこの草って何に使うのでしょうか?」


「薬師ギルドにて薬効成分を抽出し、傷薬にします」


 あぁ、予想通りか。濃縮すれば確かに効能は上がりそうだ。

 取り敢えず、『認識』先生で確認したので、間違えず摘んで来られるだろう。


 念の為、先程確認した魔物の討伐証明部位も確認しておこう。出会うかは分からないけど、やり合った後に持ち帰るのは面倒臭い。

 討伐は9等級からか。先程の3種で素材依頼はモノコーンラビットの角くらいか。ゴブリンとグリーンモンキーは鼻、モノコーンラビットは両耳が討伐証明部位と。

 こいつらも、討伐上限は無い。


「ヴァズ草5本で800ワールの依頼を受けたいのですが、手続きは必要ですか?」


「上限の無い依頼の為、特に手続きは不要です。現物をあちらの鑑定カウンターにお持ち下さい」


 取り敢えず、用が済んだのでお仕事の準備に取り掛かる。

 一度アスト宅に戻り、ティーシアに鉈を2本と革紐を1本、ズタ袋を2枚借りる。

 鉈は一本を鞘に入れ、ベルトの腰に差し込む。もう一本は一昨日作った蛇用の杖の先に革紐で括り付け、簡易のグレイブにする。

 中世でも農民兵で鉈をグレイブにしていた事も有るし、そこまで変ではないだろう。

 学生の頃少し剣道を習っていたから分かるが、戦闘になれば長柄の武器は圧倒的に有利だ。

 正直同じ練度の相手ならナイフ持った人間より鉄パイプを持った人間の方が遥かに怖い。

 穂先が無い為突く事は難しいが、鉄の塊で勢い良く付けば刺さろうが刺さらなかろうが関係無くダメージは通る。

 

「よし、そろそろ行ってきますか」


 用意が済んだので、ティーシアに北の森に行く旨を伝える。

 すると用意していてくれたのか、葉に包んだ塊を手渡してくる。


「お昼です。大したものでなくてごめんなさいね」


 昼ご飯の事を全く考えていなかった為、非常にありがたかった。

 取り敢えず、水筒に水を詰め家を出る。


 さぁ、初めての冒険だ。

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