表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
166/810

第163話 胃袋を掴むと言いますが、正直餌付けされれば離れられません

 眠れない状態で、ぼけぇと地層もそうだが道路の流れも思い浮かべる。馬車大国だったイギリスってどうやって対処したんだと思い出し、ドルが寝ている横で久々にスマホで世界地図を確認する。

 読み込み型のマップなので電波もいらない。ロンドン辺りを拡大して、交差点をチェックする。道の真ん中に小島を作って、循環させる構造になっている。


 あぁ、ラウンドアバウト型の交差点か!!

 確かに、これなら、信号はいらない。道路の走り方だけ、馬車を持ち込む人間に説明すれば良い。地面にも模様で進路を描ける。

 大通りも3車線を2車線に変えて、余った場所で一時駐車スペースも確保出来る。歩行者の余裕も出来る。痛ましい馬車事故とか嫌だ。


 設計を見直し、格子毎の調整を行っていく。今はまだ、建物のレイアウトと、資材搬入の段階だ。着工までは余裕が有る。

 また、道路は後回しにされる。戻ってからでも手が打てる。あぁ、余裕の有る設計にしておいて良かった。


 安心したら、急に睡魔が襲って来た。明日、調査団の人に相談しよう。そう思いながら、眠りについた。


 6日目の朝は、少し遅めになった。寝不足も有るが、テントを出ると薄曇りだ。雨の心配は無さそうなのが幸いだが。

 朝ご飯を食べて、昨晩の道路の調整を調査団と打ち合わせる。道路周りは一次工事の最後まで仮設置なので、修正は容易との答えが返って来た。良かった。


 今日は、実際に歩き回って動線を意識しながら、皆で町の予定地を歩き回る。川からの水路の位置、その橋をどこに設置するか細かく意見を聞いて行く。

 図面上は完璧かなと思っていたが、実際に歩くと、全然数が足りていなかったりする。物凄い遠回りになる場所も有り、人間の思い浮かべる力では限界が有るなと実感した。


 後、公園を大量に設置する事に皆、懐疑的だった。だが、火事の延焼の怖さと、都市化した際の緑の必要性を痛い程分かっている身では譲れない。


 上水として、井戸だけでは無く、川からの水路も使う事にした。雨などで濁らない限り洗濯などには使えるからだ。また工業区画には太い水路を用意する。水を大量に使うケースが多いからだ。

 同じく川の水流を利用した下水も設置する。埋設は難しいので、上水と明確に分けて使うよう、徹底的に指示しないと駄目だろう。基本は蓋で暗渠にして使う時だけ、開ける運用だ。


 そんな感じで、皆、どこにどんな建物が欲しいか調査団も含めて相談して行く。広さが広さなので、区画を広げる際に、商業設備は増やさないと駄目だとの結論になった。


 農地に関しては、フィアと話し合ったが特に異論は無いようだ。元々農地まで歩くのも仕事の内と考えているので、少々遠くても問題は無いらしい。

 基本的に、町の西側に南に向かって農地を広げて行く。東は川が有るので限界が有る。北から南に下る勾配なので、一回太い水路を設置してしまえば農地を広げても水路の拡大だけで対処出来る。

 民が増えてきたら、南側に新しい居住区を確保し、どんどん南北に長い町になるだろう。昔の平安京そのままの形になる頃には10万人都市だ。まぁ、まだまだ先だな。


 そんな感じで、調査団と6日目の視察を終える。


 何時ものように、就寝し、7日目の朝を迎える。


 今日は東の川を越えて、森の様子を見に行く。交易の為、丈夫な橋が何カ所かにかかっている。しかし、秋口の雨の少ない時期でも水量が豊富で川幅も太い。これなら、10万人都市になろうが安心して農業用水に使えそうだ。

 町予定地からのアクセスも良い。5km強程度東に行くと、鬱蒼とした森が見えてくる。


 植生をざっと見ていたが、明らかに矛盾し混沌とした物だ。絶対に植物を司る神の手が入っている。ポイントを刻みながら地図を描いて奥へ進む。何が出るかは分からないので、注意しながら進む。

 流石に調査団の偽装兵も真剣な顔で武装している。護衛と言う名目なので手出しはさせる気は無いが万が一の用心はお願いしている。藪を割き、方角で見た中心の方に向かって警戒しながら進む。

 正直、北の森より広いので、本日中に奥まで覗くのは無理だ。植生に注意しながら先に進む。香辛料や葉物野菜、香草など、豊かで多種多様だ。

 3時間程進んだ辺りで、魔素を微かに感じ始めた。そこから2時間程進む。徐々に魔素が濃くなってくるのが分かる。


「ゴブリンと思われる気配が有ります」


 ロットが近付いて来て、囁く。あぁ、村の南の森と違って、魔物がいるのか……。魔素が有るからしょうがないのかな。


 リズとロッサに聞いてみたが、鹿や猪などの獲物はかなり濃いらしい。私は意識していなかったが、痕跡もそうだし、テリトリーも狭い。かなりの数が生息している。

 豊かな森だなと言うのが印象だった。猟師も浅い場所までは立ち入りを許可出来る。食肉の確保は気にしていたが、問題も無さそうだ。


 そろそろ時間が時間なので戻ろうと提案すると、リズとロッサが獲物を狩って来ると言い始めた。燻製を使い切りたいなと思いながらも、本人達がやる気なので、任せた。


 暫し調査団の人間と、今後の森の運用に関して話をする。周囲の測量に関しては、ノーウェ側で現在も調査中だ。男爵領引き渡しの際にはある程度の外周は、はっきりする。

 ただ、ざっとの調査を聞く限りは東京並みの広さだ。外周を調べるだけでも一苦労だろう。中心部の調査なんて、何時出来るかは分からない。

 まぁ、大きな問題が起こらない内は手出ししない方が良さそうだ。


 と、話をしている間に、がさがさと音を鳴らしながら、リズ達が戻って来る。立派な鹿だ。かなり大きく、丸々と肥えている。


「人間に対して警戒心があまり無いかな?獲物は本当に濃い。きっと湧き水なんかも豊富に湧いていると思うよ。猪の跡もいっぱい有った。この森は猟師にとっては最高だよ」


 そう言いながら、鹿を担ぎ、来た道を戻る。


 夕ご飯は調査団の皆と一緒に鹿を楽しんだ。フィアも少しずつ料理が上手くなっている。良いお嫁さんになってくれれば良いが。その容姿だ。胃袋を掴めば、勝てる。


 そのままお風呂で就寝となった。


 8日目は森の違うポイントからの再侵入の調査を行った。結果は昨日と同じ。運用としては、浅い層は南の森扱いで一般開放。一定以上の奥は北の森扱いで冒険者のみの侵入になりそうかな。


 そんな感じで、町予定地の調査は完了した。明日からは海方面に向かう。今からワクワクし始めた。日本含めても久々の海だ。良い歳になると海なんて中々行かない。楽しみだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブックマーク、感想、評価を頂きまして、ありがとうございます。孤独な作品作成の中で皆様の思いが指針となり、モチベーション維持となっております。これからも末永いお付き合いのほど宜しくお願い申し上げます。 twitterでつぶやいて下さる方もいらっしゃるのでアカウント(@n0885dc)を作りました。もしよろしければそちらでもコンタクトして下さい。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ