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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第161話 RPGとかで上空を飛ぶ敵に普通に剣で攻撃とかしているけど、どうやっているのか不思議です

 3日目の朝を朝日と共に迎える。昨日の喧騒が嘘のように静かな朝だった。

 テントから出て体を伸ばす。皆、ぞろぞろと起きて来ている。調査団の3人も疲労は回復したようで、元気そうに動き回っている。


 朝ご飯を終え、撤収準備を行う。リーダー格が全員で、最後の点検を行い、出発となる。


 馬車に乗り込み、2日間滞在した野営地を後にする。


 ここから先は順調だった。1度だけ200人単位の隊商と擦れ違った。冬前の最後の行商なのだろう。

 良い機会なので、交渉して消耗品や補充したい物を買わせてもらった。


 こちらが馬車を寄せ、先に通した事に恐縮したのか、大分値段も勉強してくれた。隊商長には名刺を渡して名乗っておいた。

 町が出来れば絶対に寄ると言っていたので優良顧客の出来上がりだ。地道な営業活動も頑張る。


 後は、倒木がまた1本転がっていたくらいか。これが絶妙に道に沿って転がっており、ギリギリの場所だったので危うく事故になりそうだった。早速ドルの手で林の中に叩き込まれたが。


 4日目の昼前辺りで林を抜けて、一面草原になった。遠くにぽつぽつと低木は見えるが、基本的に地平線まで草原だった。一部に岩の丘稜も見える。

 ステップ気候に近いのかと思ったが、草は豊かだ。地面が露出している部分は無い。休憩の際に地面に触れてみたが、パサついた感じでは無く若干湿り気を感じた。

 雨量はそれなりで、草が保水しているのか?これならば、林か森になってもおかしくないが、どうも不自然だ。植生の謎も含めてだが、この世界の不自然さの一部の感じがした。


 草原地帯の中央を貫く道から少し離れ、お昼ご飯の休憩となった。薪は拾いようが無い為、在庫で料理を作る。今回はティアナの番だ。

 燻製を使って欲しかったので、その辺りを頼んで、周囲の野草を探し回った。魔素が薄い為か、ヴァズ草等は無かった。植生は豊かな為、葉物の野菜などもちらほら見つかった。


 最終的に野菜たっぷりのベーコンスープみたいな物に仕上がった。美味しい。皆で談笑しながら食べる。うん、外れが無い。流石、ティアナ。


 食後の休憩をしていると、いきなりチャットが緊迫した叫び声を上げる。


「皆、念の為馬車に退避して下さい。空から接近する何かがいます」


 その声を聞いた瞬間、調査団の面々は偽装兵がまとめ、素早く馬車に退避する。私達も、馬車に乗り込む。チャットは窓の幕を上げ空を覗いている。


「何か有ったの?」


 チャットに問う。


「ワイバーンです……。この時期やと思ってましたが……。あそこ、見て下さい」


 チャットが言いながら、空を指さす。じーっと見ると、大きな銀色の何かが空を飛んでいる。徐々にこちらの上空に近付いて来る……。

 って、大きい。目測だが、あの距離であの大きさだ。10mどころじゃない。最接近した時に微かに見えたが、プテラノドンみたいな形だが、翼腕に爬虫類系の丸っこい顔……。

 ファンタジー物のゲームでよく見る、空飛ぶトカゲだ。両腕が独立していないから、ドラゴンでは無いと思う。


「あの方向やと、目的地は北の森やと思います。基本的に大型獣しか食べませんので、人間を襲う事は有りません。ただ、スライム等核を持ったもんを食べる性質が有ります」


 真剣な顔でチャットが教えてくれる。


「6等級以上の相手です。うちらが森に居る時やのうて助かりました。幾ら襲われへんからと言っても、手を出せば襲ってきます。何かの手違いも有りますよって」


 えぇぇぇ。6等級以上ってあんなの相手にするの?無理じゃん。空に逃げられたら終わりだ。


「あれは風魔術で空を飛んでます。成長に合わせて、その強化の為に、核を求めるんです。冬支度と合わせて、北の森で食事の予定やと思います」


 ほぉ。ホバー以外でも風魔術で空を飛べるのか?魔物固有の能力なのか?ちょっと気になる。


「冬支度?冬眠でもするの?」


「元々食料はあまり必要の無い生き物です。魔素を変換して栄養に変える事も出来ますよって。ただ、一回で大量に食べて、冬は巣穴に籠ります」


「巣穴って……。あんなのが領地近くにいるの?」


「飛行範囲が広いんで、分かりません。ただ、ほぼ実害は有りません。スライム等、核の有る生き物がいる場所は注意せなあきませんけど。あれもどこから飛んで来たかまでは不明ですし」


 実害が無いと言っても、怖い物は怖いな……。領地周りの生態はきちんと確認する事にしよう。


「ちなみに、6等級以上はどうやってあれを狩るの?」


「罠猟です。巣穴を飛び出した後に罠を仕掛けて、帰って来て罠にかかったら一斉に攻撃言う感じでしょうか?ただ、個体によっては風魔術を使うもんもおります。その場合は犠牲者が出る時も有ります」


 うわぁ、6等級以上は、まず考えないでおこう。一人前の7等級で十分だ。あんなトカゲの化け物怖い。


 そうこう言っている間に、ワイバーンは西の方に飛び去った。

 怖かった、本当に怖かった。この世界、あんなのまでいるのか……。ドラゴンとか探せばいるんじゃ無いのか?ゲームじゃ無いんだから、倒せる気がしないけど。


 そんな感じでバラバラとまた馬車から皆が出て来る。御者達は馬を放し、思う存分食べさせている。

 3頭増えた分、飼料の計算が若干だが狂っている。元々過剰に積んでいるので問題は無いが予備は予備として管理する必要が有る。余りじゃ無い。予備なのだから。


 と、そんな状況を確認していると、ロットに呼ばれた。


 何の話かと思って詳しい話を聞く。要は、野営の際2人のテントを少し離して欲しいらしい。

 あー。綺麗になったからね。我慢の限界なのね。分かりやすさに、若干頬が引き攣った気がする。


 『警戒』での周辺の確認は怠らない、声は極力出さない、両者が完全休養の時だけと言う約束で、焚火の逆サイドに設営してもらう事で話をまとめた。

 夜番の負担の話にもなるので、配置の件は皆に伝えると言うと、当然だと答えられた。


 仲間を集めて、今晩以降のテントの設営に関して報告する。

 フィアは真っ赤になった。チャットは納得したのか、うんうん頷いている。ティアナとロッサはキョトンとしている。ドルは我関せずだ。

 リズはフィアに何故か聞いて、フィアに叩かれた後に説明を聞いて、ずるいと叫んでいた。


 これ、テントを移動する事は報告しないと、周辺警戒に問題が出る。言わないと、夜番の人間の確認範囲が広がるだけで不満が出る。そもそも言わないと、まず皆、意味が分からない。

 自分達の欲望の発散なので、そこは許容してもらうとする。下世話な話なので、正直オープンにしても良いと思う。もう婚約している2人だ。好きにすれば良い。


 まぁ、そこまで深刻な話でも無いので、特に反対も出ず、今晩からと言う事になった。

 あぁ、ロット?フィアに、はたかれていた。相談も無しに決めたみたいだ。本人が我慢出来なかったのか。分からなくは無いけど、きちんと相談すれば良いのに。


 セクハラかなとちょっと心配しながら、納得していたチャットにこの辺りのパーティー事情を聞いてみる。

 どうも、婚約者や結婚している同士なら、良く有る話らしい。どうしてもこの稼業、命のやり取りが多いので昂るものは昂る。処理しないとそれはそれで問題を起こしかねない。

 なので、発散出来るなら発散した方が良いとの事だ。普通は、リーダーが気を回して、そう言う配置にするそうだ。

 私自身が我慢出来るので、全く気付かなかった。やばい、鈍感なリーダーだ。凹む。


 そんな感じで大休憩も終わり、休憩を1回挟み本日の野営地に向かう。


 本日は、フィアもロットも完全休養だ。

 何か、2人共張り切ってテントを設営している。フィアも現金な。まぁ、仲が良いのは良い事だ。


 食事も終わり、お風呂も終わる。私は本日、前番だ。皆のテント側で『警戒』を展開し、見張りをする。


 盗賊以降は、予定通り順調に進んでいる。明日の昼前には町の予定地まで到着する。

 資材を運んで行き来する荷車は道中、結構擦れ違った。あの規模でやり取りしているのであれば、もうある程度形が出来ている建物も有るだろう。少し楽しみだ。


 今日は若干強く吹く秋風に揺れる焚火の炎を眺めながら、4日目の夜が更けて行った。

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