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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第二章 異世界で男爵になるみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第125話 男性なのでこう言う時も有ります

 朝ふと夜明け前に、目が覚めて股間が濡れているのに気づいた瞬間、かなり焦ったが、触ってみて理由に気づき自己嫌悪に陥った。

 夢精とか、中学生じゃないんだから。何十年振りだろう……。はぁ……。


 こそこそと、宿の人にお願いして桶を貸してもらい、お湯とムクロジの実で下着を洗う。旅路の朝っぱらから何をしているんだろうと空しくなった。

 少しだけ、リズへの焼け焦げる様な衝動が治まっているのがまた、空しい。あぁ、性的衝動って獣みたいなものだなと。

 ぎゅっと絞り、部屋干し用の部屋で風魔術を使い、乾燥させる。リズが起きるまでに乾燥してくれと祈りながら風を送る。


「おはよう、リズ」


 何とか夜明けまでに乾燥が済んだので、下着を荷物に押し込んで、布団に戻り、冷静を装いリズを起こす。


「んー……むにゅー……」


 低血圧気味なリズが、徐々に目を覚まして行く。覚醒したのか、ぎゅっと抱きしめて来る。


「おはよう、ヒロ。昨日は気持ち良かった」


 蕩ける様な微笑みを浮かべ、朝の挨拶をしてくる。と思ったら、くんくんと何かを嗅ぐ仕草を始める。さーっと顔から血の気が引いて行く。


「何か、変な匂い……。お父さんとお母さんも偶にしてる……」


 じーっとこちらの顔を覗き込んでくると、ニヤっとした。


「ねぇ、ヒロ?」


「何、リズ」


「出した?私で出しちゃった?」


 うわぁ……。自己嫌悪が再燃する。顔が熱いのが自分でも分かる。アスト達も大っぴら過ぎる。でも性教育も必要なのか。成人だしなぁ……。


「男性はね、何もしなくても勝手に出ちゃうの」


「えー、ずるい。私で出して良いんだよ?ヒロのだったら、良いよ。全部受け止めてあげる」


 朝から、潤んだ瞳でこちらを上目使いで覗き込んでくる。15歳の子供なのに、妖艶な蠱惑的な色を瞳に感じる。

 でも、出したからか、焦げる様な衝動は感じない。助かった。


「だーめ。約束は約束。さぁ、食事に行くよ」


「えー。ずるい、ずるいー」


 頬を膨らまし、ぶーと言う顔をしたリズと一緒に、着替えて、食堂に向かう。


 食堂には皆集まっていた。具体的な買い物の相談をしていく。必要品や補充品に関しては、手分けして買い物をする事にした。

 ランタンに関しては、満場一致で欲しい物となったので、買うことにした。後、積載量が増えたので、馬車込みの野営用に鉄板と焼き網は物を見て買うか検討する事にした。

 海に行くので、釣り竿と仕掛けは買う事にした。この世界でも糸紡ぎの概念は有る為、原始的なリールは存在する。ただ、ロック機構も解放も無い完全手動だ。


 そんな話の最中にリズとフィアがこそこそと話をしているのが超気になる。フィアが優越感に浸りながら何かを説明し、リズが真剣に聞いている。嫌な予感しかしない。


 食事が終わり、各自買い物に出て終われば一旦宿で集合と言う流れになった。馬車乗り場でも良いが、買い忘れが有った場合に戻るのが遠いので最終確認の為宿に集まる。

 

 私とリズは雑貨屋担当となったので、雑貨屋に向かう。テントは値段交渉含めて買ってくれていたので、ランタンと鉄板と焼き網、それに釣り竿かな。


 ランタンも結構な種類が有った。ただ、ガラスの価格が高いのか、4面がガラスのランタンはかなり高い。用途を考えると、一面かガラス無しでも良いが、風を考えると一面の物にした。


 鉄板と焼き網はもう、阿呆な程種類が有った。人数を考えて、余裕の有るサイズを選ぶ。デカいなしかし。屋台クラスの大きさになった。

 折り畳み式の台座部分も一緒に購入する。こんなの乗せる物を毎回作れない。岩とかでも良いが適当な大きさの岩が毎回有る訳では無い。


 釣り竿は、趣味の世界なのかあまり種類は無かった。ほとんどが川釣り用の細い竿で、海釣り用の太いのはほぼ無い。店員に確認し、しなって折れない物を選んでもらう。


 価格を聞くと、鉄板と焼き網が驚く程安かった。逆に竿が思った以上に高かった。価格交渉をして、釣りの仕掛けを多目におまけしてもらって2割引き辺りで手を打った。


 リズと2人でガチャガチャ鳴らしながら、宿に向かう。重くは無いが嵩張るし、喧しい。

 戻ると、ドルを残し、皆集まっていた。馬車と聞いて箍が外れたのか、微妙な品も幾つかあり、返品させるかどうか迷う部分も有った。幾つかは返品に走らせた。

 この世界、クーリングオフは無いが未開梱で買った人間が覚えていてくれれば返品は出来る。

 この辺りが緩いのは、商売を司る神が見張っているので、双方に損をさせない為だ。ちなみに、一回開梱して使ったものを返品する際は警告が飛ぶ。その時点でばれる。


 領収書が出るのは高額決済の時のみだ。それも大規模な商会に限る。この世界の会計管理は、基本的には自分で何を買ったかを記録し経費として計上する。


 このパーティーのお小遣い帳?私がパーティー分を泣きながら把握している。BS、PL、CSは営利団体なのだから当然記載している。していないと、パーティー資金の運用の正確性を担保出来ない。

 将来の領地経営の為と必死で書いている。将来は会計士が欲しい。カビアに勉強させて書かせようかな。官僚団か?勉強させるのが早いか、私が倒れるのが早いか競争だな、きっと。


 返品組が意気消沈しながら帰ってくる頃、ドルが大きな箱を担いで現れた。本人は重そうじゃないのだが、ドシンドシンと言う重みの有る足音が聞こえる。


「良い鉄材が手に入った」


 そう言いながら、上機嫌で荷物を降ろす。ドシンと一瞬地面が揺れた錯覚を起こした。


「リズ用ですか?」


「それも有るが、フィアさんの補強分と今後の整備分だ。中々まとめて材料を買える機会も無いんでな」


 ドルが少し切なそうに呟く。前に話を聞いた通り、今回分も頭を下げて無理して譲ってもらったのだろう。本当に頭が下がる。


「ありがとう、ドル」


 万感の思いで感謝を告げると、通じたのか照れ臭そうに笑う。

 買う物は買ったので、さっさと馬車に向かう。皆、どんな馬車かワクワクしている。


 馬車乗り場に着くと、一際目立つ形でドンと置かれていた。昨日は無かったのに、幌の側面に私の紋章が黒字で描かれている。ノーウェのお茶目め……。


「え、あれがそうなの?あんなの使って良いの?」


 フィアが呆然と呟く。頷くと、リズと一緒にはしゃぎだした。


「研究所でもあんなんは上の人だけでした……。個人規模のパーティーで使ってええんでしょうか?」


 チャットも考え込みながら呟く。


「うちの馬車とは大違いね……。子爵が目をつけているって、本気で実感したわ……」


 ティアナもかなり驚いた雰囲気だ。


 男性陣は目を輝かせて、馬車に近づいて行く。まぁ、男の子は幾つになっても乗り物好きだ。

 皆で近づくと、レイが姿を現し、挨拶をする。姿を現すまでは悪戯心か『隠身』を使っていた為、かなり気配が希薄だった。私もいると確信していなかったら見つけられなかった。

 『警戒』持ち、特にロットは常時周囲を探っている為に、今回の件はかなり驚いたようだ。まぁ、年季が違う。あれはもう、化け物の類だ。


 後部の積載部には空の樽と飼料が積まれている。それを上げて、階段を降ろす方法を皆に伝える。そして先に荷物をドルに運び込んで貰う。


「うわぁ、中広いぃぃ!!天井も高いぃぃ!!」


 フィアが中に入って叫ぶ。他の皆も同感だったのか、激しく頷いている。

 まぁ、定期馬車は、8人がみっしり詰まって身動き出来ない状態で移動だから、その気持ちは激しく分かる。

 椅子を立てて、座る場所を決めて行く。もしもの時の為、入り口側は男性と前衛が固める。即応と防衛の為だ。

 私は荷物を避けて御者側から出て、ホバーで即応出来るので奥で構わない。


「それでは出発致します」


 レイの声と共に乾いた小さな破裂音が聞こえた瞬間、ゆっくりと馬車が動き出す。

 皆の歓声と共に馬車は緩やかに速度を上げる。旋回性能も高い。そのままスムーズに道まで出た時に、真価を感じた。サスペンションがしっかり効いている。

 正直、定期便の馬車は、ダイレクトにお尻に直結して衝撃が来る。地主になりそうだった。

 しかし、この馬車は違う。速度を上げて行っても、車輪の大きさも有るが、衝撃を受けた際に緩やかな上下運動に変えてしまう。

 おぉ、馬車経験はそんなに無いけど、これは良い物だ。全然疲労感が違う。皆も驚いた顔で乗り心地を感じている。


「良い馬車です」


 レイも、前方に集中しながら、にこやかに絶賛する。


 速度も、6から8km程度しか出せなかった定期便と違い、余裕で速度を出せる。積載量が少ないと言う理由も有るが、予想以上に速い。

 これは、無理したら1日で村まで行けそうだな……。そんな風に思いながら、奥の御者側の幌を開けて外を見ながら思った。

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