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異世界に来たみたいだけど如何すれば良いのだろう  作者:
第一章 異世界に来たみたいだけど如何すれば良いんだろう?
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第8話 幼な妻かと感慨にふける前に、もっと大きな爆弾に気づいた

 35年の生涯で2人目の嫁が出来ました。

 現実逃避している場合じゃない。


「えっと、取り敢えずこいつをどうにかしよう。捌く事は可能かな?」


 昔見たイノシシの1.5倍は大きい為、血抜きするのも一苦労しそうだ。


「はい。ただ出来れば先に……」


「先に?」


「旦那様のお名前をお伺いしてもよろしいでしょか?」


「おぅ……申し訳ないです。名乗るのが遅れました」

   

 人とのコミュニケーションが苦手とは言え、名前を名乗る事すら忘れていた。

 大物を狩った興奮で未だアドレナリンが噴出していた余波かもしれない。


「私の名前は前川彰浩(まえかわあきひろ)です」


 すると少し強張った顔で彼女は答える。


「マエカワ、アキヒロ様ですね。名字をお持ちと言う事は、アキヒロ様は貴族の方なのでしょうか」 


 あれ?そうか過去だと名字が必要なのは貴族だけで、それ以外はどこどこの○○さんで通っていたと記憶が有る。


「マエカワが名字でアキヒロが名前です。名字が有るのは私の暮らしていた場所柄の為、気にせずアキヒロと呼んで下さい」 


 ほっとした表情で彼女が答える。


「アキヒロ様……。アキヒロ様ですね。上等なお召し物だった為、貴族の方かと思い失礼致しました」


 これでもオーダーメイドのスーツだ。腹囲が90超えると吊るしのスーツなんて買えなくなる。悲しい豆知識だけど。


「えと、貴方の名前は?」


 若干はにかみながら、彼女が答える。


「トルカ村のリザティアと申します。生業は猟師です。まだ見習いですが」


 染めてない完全なアッシュゴールドの髪に若干緑がかった碧眼。

 顔の形は逆卵型。

 目の形は少し垂れ目がちだが大きく、全体的には可愛い印象。


「猟師見習いなのか。でもこいつは見習い相手にはきつくないか?」


 目の前の巨体を指さす。


「元々は父の罠です。昨日より腰を痛めてしまい私が代わりに見回りをしていました。でもこんな大物がかかっているとは思っていなかったので」


 伏し目がちに事情を説明する。

 どうもこちらの世界では15歳が成人との事。

 この前に15歳になり独り立ちが許されたとの事。

 彼女は今まで鳥類や小型哺乳類の狩りが主体で有った事。

 イノシシは父親と一緒に狩っていた事が分かった。


「だから、一人で狩る事に緊張し思うように動けなかった部分もあります。お助け頂きましてありがとうございます」


 精一杯の笑顔で感謝を表す。


「そうか。邪魔したかと思っていたから、そう言って貰えれば助かる」


 そう言うと、あわあわした表情で両手を振るいながら、


「そんな事有りません。本当にあの時は死を覚悟しました。どのように感謝してもしきれません」


 本当に可愛い。背の高さは170cmくらいと私より高いけど、可愛いオーラが全身から噴出している。


「さて、血が固まる前に血抜きをしよう。取り敢えず吊るした後に一旦現状展開している罠を撤去して貰えるかな」


 これ以上大物がかかっても捌ききれない。


「はい、分かりました。ロープ取ってきますね」


 近くに雑貨袋を投げ出していたらしい。

 10m近いロープを持ってきた為、イノシシの後脚を縛り樹上に釣り上げる。

 日本のイノシシの平均体重が7、80kgだから、110kg超の大物と言う事になる。

 正直、一人で引っ張り上げるのは無理だ。

 ベンチプレスで100kgは上げた事は有るが、死体でこの重さは正直無理だ。

 それを彼女は事も無げに樹上に括り付け、首元を切り裂く。

 血の匂いで他の肉食獣が寄ってこないか心配になったが、この森の肉食獣に関しては猟師が定期的に間引いている為気にする事は無いとの事。

 それでも、この剛力は少し気になる。異世界補正とは言え、この細腕のどこにこんな力が有るのか。

 非常に心苦しい気もしつつ『認識』先生を試みる。

 彼女が他の罠の場所を確認しつつあるのを横目に、


「『認識』を行使します」


 気づかれないよう小声で呟く。


 名前:リザティア

 スキル:

 『剛力』1.22

 『小型哺乳類狩猟』1.34

 『中型哺乳類狩猟』1.26

 『鳥類狩猟』2.23

 『弓術(トルカ村流小型弓)』2.46


「『識者』先生、スキル『剛力』って何ですか?」 


 <解。スキル『剛力』は全身の筋肉を魔力で覆い引き上げるものです。>

 <一般的に1.00の状態で通常の2倍の筋力値と同等です。>

 <また該当スキルに関しては対象者が望むタイミングで発動される為、生活に支障は有りません。>


 意味は分かったが、もっと大きな爆弾が隠されていた。


「『識者』先生、魔力って何ですか?」

 

 <解。質問が曖昧な為一般的な回答となります。魔力とは世界に満ちた魔素を対象が利用可能な状態に加工、運用するものです。>


 え?この世界って剣と魔法の世界なの?

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