「人気のないマンガの主人公は急に旅に出たりすることがある」
タイトルは、「ライトノベル作家のつくりかた」(浅尾典彦&ライトノベル研究会著)の、マンガ原作についての話の中で書かれていた一文です。なんとなく想像つくような、確かにそうだ、と思ってしまう一文です。
マンガにしろドラマにしろ小説にしろ、登場人物は私たちと同じように、何らかの目的があって行動しているものです。
よくわからなければ、自分の行動を振り返ってみるとよいでしょう。
「何故この時間に学校や会社に向かうのか」
「何故今日のごはんはこれを食べているのか」
「何故この学校や会社に行こうと決めたのか」
「何故この人と遊んでいるのか」
「何故こんな事件に巻き込まれたのか」
もちろん、大して考えていなかったり、偶然なんらかの事件に巻き込まれたりすることもあるでしょうが、やはり人間の行動、あるいは起こった出来事にはある程度「理由」が存在します。
小説世界の登場人物たちにも、そうやって行動しているのは何らかの理由が存在するはずです。その理由が不明なまま物語が進行していくと、読者がついていけなくなる可能性があります。
短編だとなかなか詳しい描写は難しいかもしれませんが、簡潔にでも状況説明が必要になってきます。
ましてや連載物や長編であれば、詳しく書くスペースなんていくらでもありますから、「何故そのようなことになったのか」というのは書いておきましょう。
タイトルのように、主人公が急に旅に出るような、突発的に主人公が事件に巻き込まれるようなものがあまり人気がないのは、読者が共感しにくかったり、世界観に入り込みにくかったりするからではないかと思います。
もちろん、突発的に旅に出たり事件に巻き込まれたりする話も作れますが、そうしたいなら必ず後からフォローする必要があります。
例えば旅に出た後に、その主人公がそうなった経緯を誰かに話すシーンがあったり、事件に巻き込まれたなら回想シーンを入れたり、事件関係者が主人公に説明したりといった方法が考えられます。
話は変わりますが、ここ「小説家になろう」では、「VRMMORPG」が人気だったり、「異世界転生」が人気だったりしますが、「あいつらも主人公が突発的に旅に出る系の話なんじゃないか?」とか思う人もいると思います。
それらが人気なのは、読者層がそういう話に慣れており、「理由なく巻き込まれる」というのが受け入れられているからではないからでしょうか。
とはいえ、人気の小説には、キチンと巻き込まれた経緯が描写されているのではないかと思います。
動機、というのは登場人物の心情の中でもとても重要なものです。主人公にはしっかりとした動機を持たせて行動させるようにしましょう。