主人公の成長と筆者の成長
私は長編を書かず短編ばかりなのですが、長編小説を書く際には、必ずといっていいほど主人公の成長過程が書かれていると思います。もちろん、ずっと普段どおり、とかあるかもしれませんし、主人公ばかりが成長しているわけではありません。
ストーリーが先に進むということは、主人公たちの時間が進み、いろんな経験や知識を得ているはずです。ですから、その経験や知識を活かした活躍を見せたいところです。
もちろん、突然豹変したように主人公の性格や行動が変化すると読者は置いてけぼりになりますが、少しずつでも「最初はこんなこと言わなかったのに」とか「最初のころだったらここで逃げていただろうな」とか、そういった成長をしなければ、主人公としての魅力もなくなってしまいます。
主人公と同様、他のキャラクターも成長はしなければいけません。あるいは、主人公の成長に気が付かなければなりません。主人公が成長するからこそ、ライバルは強くなったり更なる高みを目指す、主人公を認めていくようになる、といった物語が描けますし、主人公の性格に変化が起こることによって、仲間が離れていく、増えていくといった周辺の変化も書くことが出来ます。
ところで、物語が進む、ということは、筆者自身の時間も流れていきます。ストーリーを進めて行くことにより、自分自身の書き方というもの、物語の進め方というものも定着していくようになります。
また、何話も書いていると、途中で調べることが増えたり、取材をしたりすることが多くなると思います。そこで経験や知識も増えていきますし、小説の書き方もどんどん変わっていくと思います。
長い間小説を書いて、かなり話が進んだところで自分が書いた小説を最初から読み直すといろんなことに気が付きます。ところどころ誤字脱字があったり、時間の流れが変であることに気が付いたり、ストーリーの矛盾に気が付いたりするでしょう。
これは単なる推敲とは違って、過去の自分よりも現在の自分が成長していることに気が付くことに繋がると思います。
主人公を成長させたいと思うなら、主人公に経験や知識を積ませなければなりません。そのためには、自分自身の経験や知識を増やさなければならないと思います。
長編小説をずっと続けられる人は、主人公を成長させる能力があると共に、自分自身を成長させる能力がある人ではないかと思います。