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ワタシトノベル――私の小説の書き方メモ 作者:フィーカス
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誤用・重複表現と慣例化

 小説でもビジネス文書でもそうですが、よく言われるのが「重複表現に気をつけなさい」ということです。
 よく知られているのが「馬から落馬した」「頭痛が痛い」のようなものですよね。
 例えば「落馬」は「馬から落ちる」という意味なので、最初の「馬から」は必要ないということになりますし、「頭痛」は「頭が痛い」という意味なので、後の「痛い」は必要ないということになります。

 他にも、よくよく考えるとおかしな表現というのも、日常的に使われていることがあります。例えば「お湯を沸かす」と言うと、「お湯を沸かしてさらに熱くする」という意味に取られるため、普通は「水を沸かす」と言います。

 重複表現や誤用表現があると、読者は違和感を覚えたり、テンポが悪く感じたりして、読みにくくなります。また、正しい解釈として捉えられない可能性もあります。
 ですから、文章を書く際には、意味が重ならないように、重複表現を使わないように気を付けて、書いていく必要があります。また、言葉の正しい意味をあらかじめ調べておいたほうがよい物もあります。

 しかしながら、世の中には「慣例」と言うものがあり、もともとは誤用であっても、現在では「慣例として」一般的に使われている表現もあります。
 例えば、「一番最初」という言葉。「最初」というのが、すでに「一番初め」「もっとも初め」という意味ですから、「一番」という言葉は必要なく、重複表現となっています。
 しかし、話し言葉ではよく「一番最初に」や、「まず最初に」という言葉をよく聞きます。重複表現とは知っていても、使い慣れていたり、語呂が良かったりするために使われている、とのことです。

 また、前述の「お湯を沸かす」という表現ですが、同じような表現に「穴を掘る」というのもあります。
 あれ、別におかしくないのでは? と思うかもしれませんが、実際「穴」と言うものは掘って出来るものです。「お湯を沸かす」という表現がおかしいとなると、同じ理屈で「できている穴をさらに掘る」ということになってしまい、「おかしな表現」となってしまいます(正しくは「地面を掘る」など)。
 実は、こういった表記(「AをBする」という表記)には二通りの解釈ができます。「AをBする(そしてCにする)」という解釈と、「(Cを)BしてAにする」という解釈です。
 前者の解釈を取るなら、「水を沸かす」という表現になりますし、後者の解釈を取るなら「お湯を沸かす」という表現となります。同様に、「夜が明ける」と書けば前者、「朝が明ける」と書けば後者の解釈が取れます。

 こんな風に、重複表現や少しおかしいと思われる表現でも慣例化している物はいくつかありますが、実は重複表現とは気が付かずに、重複表現で使っている言葉もいくつかあります。案外メディアでも使われているため、重複表現と気づかれないようです。
 例えば、

・酒の肴
・クリスマス・イヴの夜
・射程距離
・故障中

 これらすべて重複表現、あるいは重言と呼ばれるものなのですが、何が重複しているかわかりますか?(最後に重複の内容を書いておきます)
 一見して重複表現に見えなくても、知らない間に使っている物は多いのです。

 慣例化しているものについては、読者はおそらく違和感を覚えないでしょう。ですから、趣味として書く分には、そこまで二重表現に神経質になる必要はないかもしれません。
 ただし、商業用ともなると、そういうところも厳しくなり、担当者からもチェックが入ると思います。
 少なくとも地の文だけでも、重複表現や誤用表現を失くすようにしたいものです。
 そのためには、「重複表現にはどんなものがあるか」「普段使ってる中で誤用されている物は何か」を知っておく必要があるでしょう。
 会話文だと、あえて重複表現を使うことで、日常会話のリアリティを出すことや、登場人物の個性を出すこともできるでしょう。ただし、知っていてやるのと知らずにやるのは大きな違いがあります。
 重複表現の例は、ネット上でいろいろと上がっていますので、調べてみると、新たな発見があるかもしれません。




(重複表現の答え)
・酒の肴→「肴」は「酒のつまみ」という意味なので、「酒の」は重複。
・クリスマス・イヴの夜→「イヴ」は「前夜」という意味なので、「の夜」は重複。
・射程距離→「射程」が「弾が届く距離」という意味を示すので、「距離」は重複。
・故障中→「故障」がすでに状態を示しているため、同じ状態を示す「~中」は重複。
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