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16-44.四人の勇者(2)

※2018/4/23 誤字修正しました。

※今回はサトゥー視点ではありません。「三人称」視点です。


「――そろそろ話を勇者達に戻してよろしいでしょうか?」


 恋バナ好きの女性達にせがまれて、セーラとの出会いを語り終えたサトゥーが、そう話の流れを修正した。


「ごめんなさい。あまりに楽しくて忘れていましたわ。次は勇者ユウキだったかしら?」

「ユウキが魔法使い型の勇者だっていう辺りまで話していたと思うわ」


 メリーエストの確認に、リーングランデが首肯する。


「魔法使い型の勇者という事は、メリーエスト様のように強力な魔法が使えるという事でしょうか?」

「私の得意な雷系で負けるつもりはないけど、炎系は残念ながら勇者には及ばないわね。術の制御や精度が甘いから、対魔法能力の高い相手や単独の強者相手だと私の方がまだ上かしら?」


 サトゥーの質問にメリーエストが答える。


「まあ、魔物の大軍を始末するのに、ユウキほど有能な魔法使いはいないわね」

「それがパリオン神から与えられた力でもね」


 二人の言葉に、サトゥーは己の流星雨を思い浮かべながら、運用が大変そうだと妙な共感を覚えていた。


「それで勇者ユウキ様は、どのような性格の方なのですか?」

「やや独善的な発言がありますけど、知識吸収に貪欲で訓練も人一倍熱心ですね」


 サトゥーの問いにメリーエストがオブラートに包んで答える。

 その様子にサトゥーは、なんとなく勇者ユウキの性格が分かった気がして彼女の言葉に頷いた。



◇◇◆◇◆◆



「どうなってるんだ? ほとんど敵がいないじゃないか?」


 小砂海の上空に浮かぶ飛空艇の艦橋で、勇者ユウキが苛立ちを従者にぶつけていた。


「風魔法使い達の索敵でも、少数の魔物がひっかかる程度のようです」

「セイギめ、使えない奴だな」


 ぼやく勇者ユウキを乗せて、飛空艇は補給をするためにサニア王国の王都へと船首を向けた。


「――なんだ、あれは?」


 ざわめく艦橋の最前列に立った勇者ユウキの視線の先には、王都の港湾施設に突っ込んだ状態で死んでいる巨大な魔物の死骸があった。

 死骸が巨大すぎるせいか、解体にあたっているゴーレム達がごま粒のように見える。


「メイコはこっちには来てないんだろ?」

「はい、そのはずです」

「セイギにできるはずないし、この世界にも強い奴がいるみたいじゃないか」


 勇者ユウキがニヤリと笑う。


 やがて、地上へ情報収集に行っていた翼人従者が戻ってきた。


「報告しろ、ミカエル」


 カラフルな羽を畳む従者に労いの言葉もなく、勇者ユウキが偉そうに命じる。


「わたしはミェーカです」

「いいから、報告」


 なんど訂正してもミカエルと呼ぶ勇者ユウキに嘆息しつつも、翼人従者は自分が調べてきた情報を勇者や仲間達に伝える。


「あれは神話の時代に『狗頭の古王』が使役していた『陸王』と呼ばれる太古の魔物の死骸だそうです」

「神話の魔物か」

「邪神の軍勢……」


 翼人従者の報告に、他の従者達も驚きの色を隠せない。


「陸王の出てくる神話はボクも読んだ事がある。並の魔王より強いってバケモノだろ?」


 従者達が勇者ユウキの言葉に首肯する。


「誰が倒した?」

「シガ王国の――」

「勇者ナナシか?」


 答える翼人従者の報告に、これだけの偉業を果たしそうな相手に(あた)りを付ける。


「いえ、魔王殺しのペンドラゴン伯爵です」


 かつて勇者メイコがサガ帝国のカフェで会ったという性欲魔神の名前だ、と勇者ユウキは思い出した。


「アーサー気取りの日本人か……痛い奴め」


 実際に会った事が無いにも拘わらず、勇者ユウキは魔王殺しに奇妙なライバル心を抱いていた。


「――あん? あいつ、動いてないか?」


 勇者ユウキの視線の先で、陸王の死骸の一部が動き出していた。

 ここからだと声は届かないが、死骸を解体していたゴーレムや人足達が蜘蛛の子を散らすように逃げ出す様子や動いた死骸に建物が潰される光景が見える。


「不死陸王?」


 少し遅れて建物が砕ける音が届いた時、勇者ユウキがパリオン神から与えられた「鑑定(アナライズ)」スキルで知った情報を呟く。


「誰かがアンデッド化させやがったのか?」

「恐らく、魔族でしょう」


 従者の回答を聞いて、勇者ユウキが舌なめずりする。


「ちょっとボクの魔法が効くか試してみたい」

「いけません、ユウキ」

「下のヤツらを避難させろ」


 勇者ユウキが従者の制止を振り切って甲板に出た。


「せめて、あれの側面に飛空艇を移動させるまで待って下さい」

「急げ」


 勇者ユウキが「無限収納(インベントリ)」から取り出した聖剣レーヴァテインを抜く。


「支援魔法を掛けろ。防御系はいらない。魔法の威力が上がる奴だけでいい。残りの魔力はボクに提供しろ」


 飛空艇が不死陸王の側面に回り込む間に、従者達の支援魔法を受け終わる。


「全力でいく――お前ら、気合いを入れろ!」


 勇者ユウキが背後に控える従者達に向かって叫ぶ。

 数が多い。他の勇者の従者達と違って、レベル30程度しかない者も多い。


眷属同調みんなのちからをぼくに


 勇者ユウキの身体を青い光が包み、その光が背後の従者達と繋がる。

 従者達が苦悶の声を上げた。


 その光は飛空艇の主機関にも伸び、莫大な魔力を吸い上げられた魔力炉が停止する。


無限射程どこまでもとおくへ


 再び、青い光が勇者ユウキと天に掲げられた聖剣レーヴァテインを包む。

 勇者ユウキはゆっくりと滑空を始めた飛空艇を気にも止めない。


浪漫爆裂えいこうはわがなとともに


 三度目の青い光が勇者ユウキを包む。

 炎のような激しい光だ。


 勇者ユウキの背後で従者達が甲板に倒れ伏す。


「≪焼き尽くせ≫ レーヴァテイン!」


 聖句を唱えられた掲げた聖剣レーヴァテインが空に向かって赤い炎を吹き上げる。

 赤と青の炎が混ざり合い、忌むべき紫色の炎となって天を焦がす。


「――くらえぇえええええ!」


 振り下ろした剣と同時に、紫色の爆炎が前方へと吹き荒れる。

 その炎は通常の射程を遥かに超えた位置にあった陸王の死骸を呑み込み、業火の底に沈めてみせた。


「くっくっくっく、ボクは強い。ボクの魔法なら神話の魔物にだって通じる」


 赤と青に燃えさかる炎の光に照らされながら、甲板に膝をついた勇者ユウキが聖剣にすがりつきながら哄笑する。

 疲労で落ちくぼんだ目には愉悦の輝きが宿っていた。


 陸王をアンデッド化させた術者が未熟だったのか、不死陸王の防御力や耐久力は以前のそれと比較にならないほど低かったが、それでも普通の上級魔法で倒せるほど弱くはなかった。

 おそらく先ほど勇者が放った炎の威力は、火系禁呪の「煉獄の白焔ホワイト・インフェルノ」さえ凌駕するほどだったのだろう。



◆◆◇◆◇◇



「ちょっと承認欲求が人より強いけど、まあ概ねよい子よ。メイコと同じくらい短絡的なところがあるけど、注意したらちゃんと直そうとする分マシね」


 リーングランデは誰に比べてマシなのか口にしなかったが、この場にいる者達にはそれが誰を指しているのかは明白だったようだ。


「最初の頃はやたらと魔法を使いまくる放火魔みたいな子だったけど、しっかりした従者を付けてからはマシになったわね」


 そういえば勇者セイギにもしっかりした従者がついていた、とサトゥーは納得する。


「最後の勇者フウは私もあまり会った事がないの」

「内気な子みたいであまり会話が成立しなかった記憶があるわ」


 勇者フウはコミュ障、とサトゥーは脳裏に刻んだ。


「斥候系の能力なのに、なぜか魔法を熱心に学んでいたわよね?」

「ええ、属性魔法は相性が悪かったみたいだけど、死――召喚魔法は器用に使いこなしていたわね」


 メリーエストが「死霊魔法」と言いかけて止めたのを、サトゥーは気付いていたが、それを追及する事はなかった。



◇◇◆◇◆◆



「けひゃっ、けひゃけひゃけひゃっ」


 暗い神殿のような場所で、引きつるように嗤いを漏らすのは、このような場に相応しくないはずの「パリオンの勇者」フウだった。


「我々の眷族たるヴァンパイア・ナイト達は圧倒的じゃないか!」


 勇者フウの視線の先では、美しい肢体を誇るように裸体で戦うヴァンパイア・ナイト達がいる。

 戦っている相手は、勇者フウが召喚した魔物達だ。


 一人しかいないのに、我々と複数形で自分を呼ぶのは勇者フウの癖らしい。

 かすれ気味の声から急に叫ぶようなしゃべり方もまた、勇者フウの癖なのだろう。


「またレベルが上がった。死んだ魔物は再利用――」


 勇者フウが怪しい瞳で死骸を見つめると、死骸がアンデッドとなって復活する。

 無詠唱による死霊魔術「操骸アニメート・アンデッド」によるものだろう。


「――第二ラウンドだ。もう一回倒せ」


 命令されたヴァンパイア・ナイト達が、アンデッドとして復活した魔物達に躍りかかる。


「あと100セットくらいやれば、今日中にレベル50ヴァンパイア・ナイトが一個小隊分揃う」


 勇者フウが独り言を呟きながら、召喚魔法で新しい魔物を用意してヴァンパイア・ナイトの前に首を差し出させる。


「我々のレベル上げは、一個小隊分のレベル50ヴァンパイア・ナイトが揃ってから」


 けひゃけひゃと嗤うフウの手には、青い結晶で作られたような腕輪が嵌まっていた。


「この腕輪がある限り、魔力は潤沢だ」


 本来勇者が手にするはずのない、都市核シティ・コアの端末たる腕輪だ。


「広大なサガ帝国の魔力の半分は我々の自由になる」


 勇者フウはニンマリと口角をつり上げ、「無敵の軍勢を作り上げてやるんだ」と独り言を呟く。


「フウはんおる?」


 誰もいないはずの空間から聞こえた声に、勇者フウの心臓が跳ねる。


「……あ」


 振り返った先に立っていた人物が見知った相手だと分かり、勇者フウから緊張が解ける。


「ぁんたか」


 勇者フウが蚊の鳴くような声で呟いた。

 おどおどとした態度で、上目遣いで相手を見る。


「今日もここはゾンビの楽園やねぇ」

「ま、まち、間違えるな! ゾンビじゃなくて、アン、アンデッド達だ」


 さきほどまでと別人のように激昂する。

 勇者フウの沸点は意外に低いようだ。


「おお怖い怖い。おこらんとってぇな」


 エセ関西弁で言う相手の態度は勇者フウを挑発しているようにも見える。


「わ、わか、分かれば良い」

「また、何個かヴァンパイア・モスキートの水瓶を貰っていくで」


 虚勢を張る勇者フウを面白そうに眺めた後、部屋の隅に並べられた大きなかめの方へと向かう。


「す、好きにすればいい」

「なんや? 三つしかあらへんやん」

「た、足りなかった? で、でもでも、三つもあれば十分だろ? 魔法薬の素材だかなんだか知らないけど――」


 レベル上げを邪魔された勇者フウが、不快そうに小声で文句を付ける。


「なんやて?」

「ひぃいいっ」


 低い声による問いに、勇者フウが蒼白な顔で後じさる。


「あちゃー、聞こえへんかったから聞き直しただけや。ビビらんといて」

「び、びびってない」


 勇者フウが震えながら精一杯の虚勢を張るが、相手はひらひらと手を振って取り合わない。


「さよか。来週までに水瓶を1ダースくらい頼むで。大陸の西の方で疫病が広がっててな。いくら薬を作っても足らへんねん」

「わ、わかった。作る」

「たのんまっせ。幾らでも魔力は使ってええけど、魔力を流す時はユイカちゃんの結界に隙間があくから気ぃつけたってな。古い結界やから、ええかげんガタきとるしなぁ」

「な、なんども、ぃぅな」


 ユイカって誰だよ、と口の中で呟きながらも、勇者フウは不承不承に頷く。


「あんじょうがんばりや」


 その言葉を残して、現れた時と同様に姿を消した。


「……えせ関西弁め」


 相手が消えたのを確信してから、勇者フウが吐き捨てる。


 勇者フウの背は冷たい汗でびっしょりと濡れていた。

 斥候系――正しくはアサシン系の能力を持つ勇者フウすら、軽々と凌駕する相手への恐怖ゆえだ。



◆◆◇◆◇◇



「――こんなところかしら?」

「そうね」


 メリーエストが最後に、リーングランデに確認した。


「まあ、色々と未熟なところがあるけど良い子達よ」


 リーングランデがそう話を締める。


「ところで、この間、ミト様やシスティーナ殿と一緒にアリサが、新しい衣装(・・・・・)を作ってもらうんだって自慢に来たのだけど――」


 メリーエストの言葉に、「アリサにしては珍しい」とサトゥーは不思議に思った。


「すみません、まだまだ子供で」

「うふふ、そんな事は構わないわ。とても素敵な衣装だったから私も欲しくなってしまっただけ」


 意味ありげな微笑で、メリーエストがサトゥーを見上げる。


「ならば、メリーエスト様の分も衣装をあつらえるようにアリサ達に言っておきましょう」

「サ、サトゥーさん!」


 安請け合いするサトゥーに、セーラが割り込もうとするが、「何かマズイですか?」という問いに何も言えずに沈黙する。

 セーラは自分から藪を突く気はないようだ。


「あら、催促したみたいで悪いわ」

「サトゥー。メリーだけ?」

「姉様!」


 姉の軽口に、セーラが椅子から立ち上がる。


「どうかした、セーラ? 私だけ仲間はずれにしちゃうの?」


 リーングランデが「のけ者にされたら、寂しくて余計な事を口走ってしまいそう」と小声で呟くと、セーラはそれ以上口を挟む事なく沈黙した。


「いいかしら? サトゥー」

「もちろん、リーングランデ様もご一緒に」


 便乗してねだるリーングランデにサトゥーが快諾する。


「あら? 本当にいいの?」

「はい。アリサ達がご迷惑をおかけしたお詫びもありますし、何より、今回の情報のお礼もまだしていませんから」

「あの程度の情報でいいのかしら?」


 くすくす笑うメリーエストの言葉に、サトゥーは「もちろんです」と首肯した。


「なら、楽しみにしておりますわ」

「私も楽しみだわ」


 笑顔の二人に、サトゥーは「そんなに素敵な衣装だったのかな?」と的外れな感想を胸に抱いた。

 彼がその意味を知るのは、もう少し先の事だった――。





「ただいま~、セテから聞いてきたよ」

「ありがとう、ミト。助かるよ」


 孤島宮殿でセーラとくつろいでいたサトゥーの前に、国王セテや宰相の所まで話を聞きに行っていたヒカルが戻ってきた。


「勇者セイギは哨戒機みたいな扱いみたい」

「広範囲の魔族探知機って感じか?」

「うん、そんな感じ。それで魔族が見つかったら、勇者ユウキが派遣されて遠距離から殲滅だってさ」


 シガ王国の諜報部が仕入れてきた情報は、先ほどサトゥーがメリーエスト達から聞き出した情報と似た内容だったが、立場の違いから内容には違いがあった。


「ただ、勇者ユウキの攻撃は範囲が広いから、都市の近くで撃退ってなった時に都市や住民に被害がでちゃう事もしばしばで、評判は良くないみたい」


 メリーエストは改善済みだと言っていたが、諜報部が仕入れた情報だとサガ帝国もユウキの教育に手を焼いているらしい。


「勇者メイコは慰問で魔物被害の多い国を回っているって話だけど、実際は訪問先の国々で色々やらかしているみたいよ」


 行った先で強い騎士や戦士に勝負を挑んでは、片っ端から叩きのめしているそうだ。


「今度の目的地はドラグ王国って言っていたから、国の守護竜(ドラゴン)辺りに勝負を挑んでいるんじゃない?」


 ヒカルの話を聞いたサトゥーが「戦闘狂のメイコらしい」と苦笑する。


「勇者フウは帝都に引きこもったままらしくて大した情報はなし。他の子達と違って勇者の迷宮へも一回行ったきり、怖がって入らないらしいわ」

「それで十分だよ」


 無害であればそれでいいとミトに告げる。


「とりあえず、勇者関係は情報収集継続でいいかな?」

「うん、それでいいと思う。サガ帝国には勇者ユウキの手綱をもっとしめろってセテから言ってもらうわ」

「ああ、頼むよ」


 サトゥーに頼られるのが嬉しいのか、ミトが嬉しそうに「お任せ」と答えて去っていった。

 出ていくミトと入れ違いに入ってきたゼナが、浮かれた様子のミトを珍しく思いながらサトゥーの傍へとやってくる。


「サトゥーさん、飛空艇がピアロォークの国境に到着しました」

「ありがとうございます。ゼナさん」


 ゼナの報告を受けて、サトゥーが立ち上がる。


「サトゥーさん、今回は誰を連れていかれるのですか?」

「今回は危険そうなので、連れていくのはリザだけにしておきます。彼女なら、何があっても大丈夫ですから」


 サトゥーから太鼓判を押されたリザに、嫉妬の気持ちが湧き起こったゼナとセーラだったが、リザが異性としてサトゥーに恋慕する気持ちが無い事を思い出して、その気持ちを抑え込んだ。


「ゼナさん、すみませんがリザを呼んできてくださいませんか? 砂漠空間で飛行外骨格のテストがてらヘイロンとスパーリングしていると思いますので」

「分かりました」


 サトゥーに頼まれたゼナが、砂漠空間へのゲートに向かう。


「それじゃ行ってきます。なるべく今日中に試練を終わらせてきます」


 リビングに残ったセーラにそう告げ、サトゥーは踵を返す。


「サトゥーさん、油断しないで下さい。ザイクーオン神は力量の差をわきまえずに竜神に戦いを挑む愚神と思われがちですが、神たる者が後先考えずに行動するとは思えません」


 予想外のセーラの言葉に、サトゥーが足を止めて振り返る。


「つまり、無謀な戦いに挑む事自体に意味があったのではないかと仰るのですね?」

「はい、それが何かは分かりませんが、ひとときの死を受け入れる価値のある何かがあったと思います」

「分かりました。セーラさんの忠告を胸にザイクーオン神と対峙いたします」


 心配するセーラにそう告げて、サトゥーは飛空艇へと繋がるゲートを潜った。



※次回更新は 4/29(日) くらいの予定です(数日後ろにずれる可能性があります)。


※【注意】勇者達の回想シーンは必ずしもメリーエスト達がサトゥーに語った内容とは限りません(特に勇者フウ)。


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― 新着の感想 ―
[一言] サトゥーは気にしていないようだが、情報の対価にしては大盤振る舞い過ぎるのではないかな? 本人が納得しているようだから、構わないのだろうが……
[一言] 以前にもヒカルから、複数の勇者が召喚されていたことが語られています。 ヒカルのようなハズレ勇者、サガ帝国の役に立たないのを引き当てる事も見込んで、馬券や富籤で一点買いせず複数の候補に分散させ…
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