16-20.サニア王国
※2017/10/31 誤字修正しました。
サトゥーです。新しい土地で食べる料理は、口に合わない事や身体に合わずにお腹を壊す事もありますが、それらも含めて旅行の醍醐味だと思うのです。もっとも、グロイ料理はちょっと遠慮したいですね。
◇
「――黄金の剣? どうしてそんな事を尋ねるのです?」
ヘラルオン神の試練を受ける時に脳裏に浮かんだ黄金の剣について、心当たりがないか尋ねたところ、神官君から警戒心を露わにした視線を向けられた。
「神から伝えられたイメージの中で、黄金の剣が提示されたのです」
「そ、そんな!」
オレが正直に言うと、神官君が驚きの声を上げて立ち上がった。
なかなかショックだったらしい。
「事実です。それでヘラルオン神殿にゆかりの品ではないかと思って」
神官君がしばし逡巡した後に口を開いた。
「……それは、『黄金の剣ヘラルサゥフ』はヘラルオン神殿の秘宝――はるか太古の昔に、ヘラルオン神から下賜された聖なる剣なのです」
――神授の武具か。
神官君によると、現在はヘラルオン神殿からサニア王に貸し出されているそうだ。
「神殿の秘宝を貸し出しているのですか?」
「ええ、神殿には……『黄金の剣ヘラルサゥフ』を扱えるほどの剣士がおりませんから」
神官君の言葉に、なんとなく取って付けたような印象を受けた。
「ですが、唯々諾々とサニア王の求めるままに貸し出しているのではありません。蝕の時期に剣聖が『黄金の剣ヘラルサゥフ』を用いて、ヘラルオン神の威光を民草に知らしめるのです」
剣聖――剣舞の時のオッサンか。
なお、「蝕の時期」というのは年に二回ほど砂魔蠍の大群が王国に襲ってくる時期の事らしい。
マップ検索で「黄金の剣ヘラルサゥフ」を調べたところ、王城内にある「剣の一族」の館にある事がわかった。
ついでに、空間魔法で外見を把握しておく。
刀身が二メートル近くもあるオリハルコン製の巨大な剣で、刀身から柄まで荘厳なレリーフが刻まれ、さらに刀身の根元にはトパーズのような色合いの太陽石という宝石が埋め込まれている。なかなか派手な剣だ。
「その『黄金の剣ヘラルサゥフ』はずっとサニア王に貸し出されているのですか?」
「いいえ――」
渋い表情だった神官君の顔に、優越感のある笑みが浮かんだ。
「――蝕の終わった後にはヘラルオン神殿に返納されます。そして我ら神殿の秘技によって黄金剣の輝きを取り戻すのです」
なるほど、再整備するのはヘラルオン神殿の役割らしい。
その後も少し話を続け、オレ達はヘラルオン神殿を後にした。
◇
「「ナガサキ師匠!」」
神殿を引き上げると、「剣の一族」の兄妹――ザンザ少年とミュファがナナを見つけて寄ってきた。
ちょうどいいので、『黄金の剣ヘラルサゥフ』についての情報源になってもらおう。
「オレ達はこれからお茶をしにいくんだが、君達も一緒に来るかい?」
茶店と酒場の中間みたいな店に寄り道して、軽食をたべつつ双子から黄金剣について尋ねてみた。
リザはがっつりした山羊肉の串焼きを、ナナはヨーグルトにデーツを付けて食べる乙女なスィーツを選んでいた。
「――黄金剣?」
「蝕の時に剣聖が使うとヘラルオン神殿で聞いたんだ」
オレが話題を振ってみると、一瞬だけ訝しげな感じだったものの、すぐに自慢気に黄金剣の話に移行してくれた。
「聖剣ヘラルサゥフは太陽のような黄金色の光を放つ剣なんだ!」
「剣身の太陽石を輝かせながら放つ秘絶技は最強よ!」
兄妹が交互に剣について語る。
そういえば、太陽石という素材やアイテムは手持ち資料に載っていなかった。
この国ローカルな秘宝なのか、ヘラルオン神由来の特別な品かもしれない。
「秘絶技というのは剣聖殿が使うのかな?」
「ああ、そうさ。でも、叔父上は――今の剣聖は未だにあの『真・太陽閃剣』を会得していないんだ」
なかなか中二心が刺激されるネーミングだ。
「だから、俺が先に『真・太陽閃剣』を会得して剣聖の座を奪ってみせるぜ」
「あたしが先よ」
そう宣言した二人が、美味しそうにヨーグルト・デーツを楽しむナナの方を向く。
「「だから、ナガサキ師匠に鍛え直してほしい」」
「拒否すると告げます」
熱い二人の懇願に、ナナが冷たく即答した。
「「そんな~」」
「見つけましたぞ! ザンザ様! ミュファ様!」
「「げっ、まずい」」
茶店の入り口に現れた鬼軍曹のような雰囲気の男を見て、ザンザ少年とミュファの兄妹がダッシュで逃げ出した。
おそらく、「剣の一族」の訓練を抜け出してここに来ていたのだろう。
オレは賑やかに去っていく人達を見送り、今後の予定を考える。
あとは酒場が賑やかになる時間帯に、情報収集の続きをするとしよう。
◇
「あれ? 他の子達は?」
時間ができたので、サニア王国の観光に誘おうと孤島宮殿に戻ったのだが、ルルとカリナ嬢しか残っていなかった。
「ポチちゃんとタマちゃんは学校で、アリサとミーアちゃんはティナ様やセーラ様と一緒に新しいドレスのデザインを詰めに王都に行っています」
ルルが出かけている子達の内訳を教えてくれた。
「あ、サトゥーさん」
王都とつながるゲートの方から、ゼナさんが戻ってきた。珍しく軍服姿だ。
「少し里帰りしてきていいでしょうか?」
「ええ、それは構いませんけど、セーリュー市で何かありましたか?」
「実は弟の縁談の話でセーリュー伯爵領から呼び出しの手紙が届いていたんです」
ゼナさんの弟のユーケル君は、この前の天罰騒動の時に大活躍していたから、彼とセーリュー伯爵令嬢オーナさんとの縁談が進んだのかもしれない。
「帰郷されるなら、私が送りましょうか?」
「いいえ、実は――」
なんでも、手紙を届けに来たセーリュー伯爵領の小型飛空艇で送り届けてくれるらしい。
なかなかの特別待遇だ。
なお、セーリュー伯爵領には迷宮ができたので、他の領地よりも優先的に小型飛空艇が割り当てられている。
「これを持っていってください。ペンダント・トップを引きちぎれば、私に緊急信号が届くようになっています」
「はい、ありがとうございます」
今のゼナさんなら大抵の物理的障害を阻止できるから、心配しすぎかもしれないけれど、念のために緊急報知用のペンダントを渡しておいた。
◇
「うわー、見た事がないお野菜や果物がいっぱいですね」
サニア王国の市場でルルが嬉しそうな声を上げた。
なお、ナナとリザはオレと同様に肌の色や髪の色を魔法道具で変更している。
ルルとカリナ嬢はいつも通りの容姿だ。
「あ! デーツが安いです! 迷宮都市の十分の一ですよ!」
ルルの買い物魂に火が付いてしまったらしい。
三種類ほどのデーツを大人買いしたのを皮切りに、試食して美味しかったカラフルなサボテンみたいな大小の果物やライチなども大量購入した。
「あら? 麦や米なんかの穀物や葉野菜はずいぶん高いですね」
「他国からの輸入品だと指摘します」
ルルの疑問にナナが答えた。
葉野菜や根菜はこの国でも作られているようだが、水が不足するこの国では育てるのが大変だから高く付くのだろう。
「お肉は山羊肉が多いのかしら?」
「砂鰐という爬虫類の肉が安いみたいですね」
「マスター、キラキラした鱗の砂魚を食べてみたいと懇願します」
山羊肉は高めで、砂鰐や砂魚なんかがメジャーな食材らしい。
「お昼にはまだ早いから、後で食べようか」
「今から楽しみだと宣言します」
ナナが砂魚のどこに惹かれたのかは分からないが、どんな味か興味があるのはオレや他の子達も一緒のようで、昼食のメニューに入れる事に決まった。
「ここからは工芸品や民芸品ですわね」
カリナ嬢が興味深そうに露店の上に並べられた品々を覗き込む。
重力によっていつもより存在感を増したカリナ嬢の魔乳に、思わず目が吸い寄せられてしまう。
相変わらずの魅了効果だ。
「何かの爪や甲殻の端材を加工した品のようですね」
リザが言うように、工芸品の多くは砂魔蠍の素材を使ったモノが多い。
「こっちのルビーみたいなのはなんですか?」
「それは蠍紅玉の欠片だぜ」
砂魔蠍の目を覆う水晶体が変化したモノらしい。
「欠片ばかりですわね」
「真玉のが欲しけりゃ、ちゃんとした宝石屋にでも行きな」
露店の主にそう言われたので、近くにある宝石店に行ってみたところ、先ほどの蠍紅玉やサファイアのような蠍聖玉というのを見かけた。
「蠍紅玉というのは色々な大きさがあるみたいですわ」
「こっちの蠍聖玉はサファイアやアクアマリンみたいな青い石だと告げます」
宝石店ではカリナ嬢とナナが目を輝かせていた。
二人ともキラキラしたものが好きらしい。
名前と違って蠍聖玉は特に聖属性を持っているわけではないが、宝飾品として使われたり様々な魔法道具の素材になるとの事だ。
蠍紅玉の方は火系や爆裂系の魔法の増幅効果があるので、杖の先端に付ける魔法使いが多いらしい。
武具屋には砂魔蠍の甲殻を使った防具や盾、それから爪や牙を用いた武具もあった。
どうやら、この地の砂魔蠍は災害の元であると同時に、この国の産業にも深く関わっているらしい。
問答無用の大魔法で、砂魔蠍の巣を殲滅するのはやめておいた方が良さそうだ。
◇
「砂魚の煮込みと砂鰐のバター焼きです。ピラフはもう少しお待ちくださいね」
昼食に寄った飯店で、先ほどナナ達が食べたがっていた品を注文してみた。
「はらぴこ~」
「いい匂いなのです」
足下の影から、タマとポチが鼻だけを出してスンスン匂いを嗅いでいる。
両手の指で二人の鼻を押さえてやると、ブルブルと顔を振って驚いた後、「見つかった~」「ばれちゃったのです」と嬉しそうに言って出てきた。
「お昼休みになったのかい?」
「あい!」
「はいなのです!」
ならばいいかと、二人も一緒に食べる事にした。
「具だくさんサニア・ピラフの大皿と各種お肉の串焼き特盛りです」
続けてメインデイッシュを女給さんが運んできた。
ピラフの具は砂鰐や砂魚の身に各種野菜、さらにデーツやよく分からないパイナップル風の果物片も入ってて賑やかだ。
「お客さん豪勢だね。外国の商人さんかい?」
テーブルに満載になった料理を見て、隣のテーブルのサニア商人が話し掛けてきた。
「ええ、そうなんですよ。蠍紅玉や民芸品の買い付けに」
詐術スキルの助けを借りて適当な言い訳を口にする。
「なら、砂魔蠍狩りを見物に行ってみなよ」
「砂魔蠍狩りの見物、ですか?」
「ああ、小砂海で砂魔蠍を狩る連中を見物する船が出るんだよ」
普段の砂魔蠍狩りは見世物になっているらしい。
まるで釣り船やホエールウォッチングみたいな感じかな?
「危険じゃないのですか?」
「この時期はハグレか、幼生くらいしか――」
「幼生体?!」
ナナが食いついてきて見物に行く事になってしまった。
まあ、面白そうだし、このメンバーなら危険はないから問題ないだろう。
ふと見ると、テーブルの上の料理があらかた空になっていた。
オレの分はルルとリザが取り皿に取ってくれていたからあるけど、そろそろ追加注文をしよう。
「お客さん達、よく喰うね」
空いた皿を下げながら、女給さんが感心したように言う。
「変わり種の食いもんも出してやろうか?」
「ぜひ」
リザが喰い気味に頷く。
しばらくして出てきた料理は砂鰐の掌を焼いたモノや巨大砂魚のカブト焼きだった。
――割と普通だね。
なんて感想が思い浮かんだ後に、カリナ嬢や周りの客の顔色を見て違う事に気がついた。
少し魔物料理に毒されすぎたかもしれない。
味自体は美味しいので、最初は恐る恐る箸を付けたカリナ嬢も、今では普通に食べている。
「『杖の一族』が失脚したって話を聞いたか?」
近くのテーブルの会話を聞き耳スキルが拾ってきた。
杖の一族が内輪モメで失脚した話は市井の人達にも伝わっているようだ。
「ああ、知ってるぜ」
「いい気味だ」
「『杖の一族』はいけ好かない奴らだからな」
「でも実際問題、次の蝕に砂魔蠍が襲ってきたら『剣の一族』になんとかできるのかよ」
「絶技もあるし大丈夫じゃね? 徴兵されたのが最前線だったから近くで見たけど、馬鹿でっかくて硬い砂魔蠍を斬り殺してたぜ」
会話しているのはガタイの良い男達だ。
漏れ聞こえてくる会話によると、男達は従軍していた元兵士らしい。
「だからてめぇはバカなんだ。数が違うんだよ」
「数?」
「加工所に運び込まれる馬鹿げた数の死骸を見た事ないのか?」
「そりゃあるけど……」
「つまり、そういう事だよ」
「もったいぶらずに言え」
「なんだよ、分からなかったのかよ? つまり、砂魔蠍の大半を倒したのはいけ好かない『杖の一族』で、最前線で勇猛果敢に戦っていた『剣の一族』や俺達は、その討ち漏らしを潰してただけなんだよ」
「それじゃあ、このままだと……」
「この国がやべぇって事さ」
なるほど。
「そう悲観するなよ。『次の蝕は二月は先じゃねぇか』」
楽観的な酔っ払いがそう締めくくったが、他の男達はさらに小声で逃げるならどこにするかを相談し始めている。
どうやら、想像以上にこの国は崖っぷちらしい。
「まんぴく~」
「ポチもお腹いっぱいなのです。後は肉くらいしか食べられないのですよ」
それは満腹なのか?
おなかポッコリのポチタマを王都に送り返し、オレは他のメンバーを連れて砂魔蠍狩りを見物に行く事にした。
現地の人達が砂魔蠍をどんな感じで倒すのか見ておきたいしね。
◆◆◆「杖の一族」ハイファ◆◆◆
「ハイファ様、お考え直しください」
「お黙りなさい。『杖の一族』の権威を取り戻すにはこれしかないのです」
取りすがる侍女をはねのけ、ハイファが杖を振り上げる。
彼女達の乗る中型砂上船の前方では、幾つもの黒い砂竜巻が天へと伸びていた。
「『砂嵐の結界』よ! 陽光杖の担い手、『杖の一族』のハイファが命じる。今一時、結界を緩め道を作れ」
ハイファの言葉に反応したように、彼女の杖先端にある太陽石が輝く。
そして、その太陽石の輝きに反応するモノが他にあった。
「砂嵐に割れ目が!」
砂上船の向こうで、砂竜巻がカーテンのように左右にずれていく。
目の前で繰り広げられる一大スペクタクルに船員達が驚きの声を上げた。
「なんだあれ?」
「黒い影?」
砂嵐の隙間から見えた光景に、船員達が訝しげな声を漏らした。
「砂魔蠍だ! 砂魔蠍の大群が来るぞ!」
広がりゆく砂嵐の隙間から、砂魔蠍の群れが姿を現した。
「面舵いっぱい! 全力で逃げ出すぞ!」
「お待ちなさい」
慌てて砂上船の回頭を命じる船長を、ハイファが静かな声で制する。
「怯える必要はありません。何のために魔物避けの篝火をこれほど焚いていると思っているのですか」
ハイファの言葉通り、砂魔蠍の群れは船を避けて進んでいく。
「やはり、本来の時期以外だと育ちきっていませんね」
「本来の時期?」
「蝕の事です」
彼女の言うように、蝕の時期に現れる砂魔蠍よりも、一回りも二回りも小さい。
「ま、まさか!」
「『杖の一族』が砂魔蠍を育てているわけではありませんよ」
「年に二度、砂嵐の結界が自然に緩む時期があるのです。それを『蝕』と呼んでいるのです」
二人が会話している間に、砂魔蠍の群れがいなくなる。
「さあ、今のうちに船を出しなさい」
「ど、どちらに?」
ハイファが上品な双眸に冷たい光を宿す。
彼女は船長の言葉に応える事なく、静かに指を「砂嵐の結界」の間に開いた空間へと向けた。
砂竜巻に怯えるように、船がゆっくりと進んでいく。
その先には砂に没した都市の遺跡があり、ハイファ達は護衛に守られながら、遺跡の奥にある『砂塵迷宮』の遺跡へと歩を進める。
沈黙に耐えられなくなったのか、侍女が小声でハイファに話しかける。
「もしかして、さっきの砂魔蠍の群れは……」
「ええ、サニア王国へ向かったのでしょう」
「どうしてあいつらは隣国を無視して私達の国にばかり」
侍女の繰り言に、ハイファが昏い笑みを浮かべる。
「それがヤツらの目的なのです」
「目的?」
「サニア王を殺し、ヤツらの主を縛る封印を解くためにですよ」
「主? まさか――」
「ええ、砂塵迷宮に封印される陸王です」
ハイファの目の前、大広間に開いた深い奈落の底に、封印の鎖に縛られた陸王が佇んでいた。
「なんとおぞましい……」
口元を覆う侍女を無視して、ハイファが陸王の方へ一歩踏み出す。
その手には杖の先端で輝く太陽石とは異なる不透明な黄色い石があった。
「ハイファ様、それは?」
「我らが始祖、黄衣の賢者様が残された『魂楔の黄石』」
「ま、まさか――」
侍女が驚愕に顔を引きつらせながら、主の顔を見つめる。
「ええ、陸王を支配し、サニア王国にいる忘恩の輩を滅します」
「陸王を操るなど不可能です!」
大げさな身振り手振りを交え、侍女がハイファの行動を阻止しようと言葉を荒らげる。
「そんな事はありません。かつて神の国ララキエの女王が陸王に並ぶ海王を操ったと神話にあります」
「あれはおとぎ話です!」
「黙りなさい。『魂楔の黄石』と共に残された書物に、その為の禁呪が残されていたのですよ」
狼狽する侍女や護衛達を見下した瞳で見回す。
「あなた達! ハイファ様をお止めしなさい!」
「「「ハッ!」」」
止めようとする侍女や護衛を弱い爆裂魔法で吹き飛ばし、ハイファはそのまま前へと進む。
「さあ、陸王。私に従いなさい――」
妨害する者のいない地下で、ハイファは「魂楔の黄石」を掲げた。