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240 加賀利の現状

◆ 加賀利城 ◆


 アンデッド復活タイムがようやく終了しましたね。楽しい気持ちだったのは前半までだったよ、後半の復活ね……いやぁ、どうしようかマジで。特にこのログの奴等。


『妖狸大将軍・ぽこんこが復活しました。離反しました』

『妖狸族の戦士達が復活しました。離反しました』

『炎狼族の長・死灰丸が復活しました。離反しました』

『炎狼族の戦士達が復活しました。離反しました』

『極楽九尾姫・デロナが復活しました。離反しました』

『混沌兵が復活しました。離反しました』

『黒死天狗姫・ホウエンが復活しました。離反しました』

『黒死天狗族の戦士達が復活しました。離反しました』

『邪龍王オロチが復活しました。離反しました』

『ぽこんこ・死灰丸・デロナ・ホウエンが邪龍王オロチの配下に加わり、邪龍王軍団が出現しました』

『邪龍王軍団進撃待機中…………』


 これ、割と最悪な状態なのでは??? これ……最悪過ぎるのでは????? メルティシアが攻め込んでくる~とか言ってる場合じゃないと思うんですけど。


『邪龍王軍団は加賀利城の南東、龍骨平原に集結しているみたいだ。魔の嵐は邪龍王の龍骨が原因だったようだ、復活した影響か今はかなり収まっているぞ』

「ありがとうございます、メイナさん」

『我ら天狗族の恥である黒死天狗が蘇り、我らも蘇った。意図していなかったとは言え、これはもはや運命。何度でも蘇るのであれば、また我らが何度でも葬ろう』

「ごめんなさい、私が、余計なことをしたから……」

『否、奴らは間違いなく復活する寸前であった。少し早まっただけのこと。むしろ我らが皆一同に蘇ったのは僥幸、今度こそ全てを終わらせる機会が巡ってきたのだ。リンネ殿は間違いなく善き行いをした、我はそう思う。では』


 天狗族のメイナさんはこう言ってくれるけど、いやぁ……。まさかマナの嵐とメルティスの介入失敗、私の復活が全部作用してこんな事が起きるなんて……。いや多分、復活させたくない対象に復活スキルを使うとこれが起きるようには設定されてたんだろうけど、一気にどわーーーっと色々起き過ぎね?


「――リンネ殿、とりあえずこれが現状を書き出したものです」

「あ、千代ちゃん! ありがとう、んっ……どれどれ……」


 じゃあ現状何が起きているのか、纏めてみようか。とりあえず地図もあるし、それも見ながらね……。


挿絵(By みてみん)



・八百姫ちゃんを復活させた際にメルティスが介入するも失敗、邪龍骨が引き起こしていたマナの嵐の影響で復活スキルが暴走、この島のほぼ全域に作用してしまった

・こちらは【妖狐族】【鬼人族】【狼獣人族】【天狗族】の人々が蘇った。

・中でも非常に強力なのが【邪龍滅殺の異名を持つ妖狐、零姫(おばあちゃま)】【百萬力の大鬼・剛烈(ちよパパ)】【千人斬りの妖狐・百姫(ちよママ)】【狼獣人の拳闘士・波動のラーラ】【天狗族戦姫・メイナ】の5人

・最悪なのがここからで、マナの嵐を引き起こす程に力を取り戻していた【邪龍王オロチ】と、過去に加賀利島で暴れていた【妖狸族】【炎狼族】【黒死天狗】【混沌兵(ゾンビ)】まで復活した

・その中で強いのがまず当然【邪龍王オロチ】、そして【妖狸大将軍・ぽこんこ】【炎狼族の長・死灰丸】【極楽九尾姫・デロナ】【黒死天狗姫・ホウエン】が強力な敵

・現在一番接近して来ているのが炎狼族と死灰丸で、まだ攻め込んでくる様子は全く無いものの、かなり短気な奴らしいから暴走して突っ込んでくる可能性はあるとのこと

・判明している敵の配置は地図の通り

・こちらのメンバーは全盛期のパワーで復活出来たのはラーラちゃんとメイナちゃんだけで、残り3人は本調子じゃない

・向こうもそうなのかは不明。ただ、オロチがすぐに突っ込んでこないところを見るに本調子じゃない可能性は大

・依然としてモンスターも徘徊している

・兵糧が最悪な状況

・援軍も明日の侵略戦に備えているだろうから絶望的

・ゼルヴァさんと契約を結んだばかりで、クックさん達に料理配給の余裕無し

・武具に関しても質が悪い

・士気は高め、特に大英雄零姫おばあちゃまが復活したのが大きい

・テレポータルは設置済み、自然充填による起動は1時間に1度まで。私達がマナを充填すればすぐに起動出来るけど、一度に運べるのは2人~3人。どん太なら単体が限界



「はっきり申し上げると、かなり厳しい状況ですね……」

「ん~~~~…………」


 正直かなりヤバい。なんとか2~3日時間を稼げばプレイヤーなりNPCさん達なりを引き込めるかもしれないけど、どうしたものか……。


「姉さま、八百は青き龍を召喚出来るようになりましたっ! 八百も戦えます!」

「あの獄に居た龍では、簡単に倒されてしまいますよ」

「えっ…………そ、そんなに、敵は強いのですか……?」


 八百姫ちゃんの召喚術で呼び出せるドラゴンは、千代ちゃん曰く強さ的にはドレイクよりちょい弱いぐらいの性能らしい。それだとうん、多分簡単にプチっと潰されちゃうかもしれないね……。零姫おばあちゃまが『今の儂が勝てるかどうかじゃのう~』って言ってたから、推定レベル300以上なのは確定だと思うんだよね、邪龍王……。あ、そうだ。これをメッチャ気軽な感じで渡したら受け取ってくれそう。


「…………んーっと」

「ん、リンネ殿? どうかなさいましたか?」

「はい、やおちゃん。これ」

「え、あ! う、受け取ってしまいました! 良いのでしょうか!?」

「…………あ~」

「え、姉さま? なんですかその反応は……え、そんな何か、曰く付きの杖なのですか!?」


 こうなれば戦力強化の為に、やおちゃんに【麒麟の杖】をぶん投げるのも……やぶさかでない!


『我を呼ぶ者は誰ぞ……。おお、美しい……大いなる器にふさわしいではないか』

「え、あ、すぐ来た……。あ、呼んだの、わ、私じゃない、んですけど……」


 うわなんか出てきた、毛玉の妖精みたいなのが……。


『え? 違うのか? ではそなたか』

「此方でもありませんが……」

『ええ? いや、まさか、この一番胸の薄い娘か? 大いなる器にしては、貧相――――ぎゅむぅぅうう!!??』

「八百が一番気にしていることを!!! 悪い毛玉!! 悪い毛玉です!!!」


 あ~~……。これはね、毛玉が悪いわ。うん。毛玉が悪いね。


『わ、わかった! 許せ!! 大いなる器よ、我の試練を受けよ!!』

「何が試練ですか! ごめんなさいが先です、ごめんなさい、が!!!」

『悪かった!! この通りだ、だから試練を――――ふぎゅぅぅ……!?』

「ご! め! ん! な! さ! い!!!」

『ごめんなさい!! ごめんなさい!! 試練を受けてください!!!』

「ちゃんと謝れないような相手の試練なんて受けてあげません!」

『え、お願いします。もう何百年も、あの、え、折らないで……。お願いします、この通りですから、杖折らないで……』


 ん…………。やおちゃんの胸の話は、今後絶対にしないようにしよう。後、怒らせないようにしよう……。


「そこまで言うのであれば受けてあげます。青き龍様と同じように、異界に行くのですよね?」

『はい、ありがとうございます!! で、では、この娘を暫し借りるぞ――――借ります! 借してください!!!』

「ああ……。実力は間違いなく本物だと、思うから……頑張ってね……」

「八百、気をつけて……」

「はい、姉さま! 主様! 行ってまいります!」

『八百姫が一時的に離脱します』


 凄いって、もう上下関係ひっくり返ってるもん……。いや、千代ちゃんの妹ちゃん、本気で逞しいわ……。あ~~……私も出来る範囲で、何とかしないと~……。




◆ ◆ ◆




「――――はっはっは!! すげえ、在庫が溶ける! やっと1割減ったぜ! 経験値が、スキルが、上がる!」

『若いの~素晴らしい腕前じゃ~。儂が食べたことのない物がどんどん出てくるぞ~』

『あなた、手伝ってばかりいないで食べる側に回っては? あ、そのクシカツ……? を皿ごと頂きたいです』

『いや、ハゲ殿の技を間近で見たい、千代と八百に美味しいと言わせたい』

『大将~!! エプロン似合わな~い!!』

『ラーラさん、本当のことを言っては失礼ですよ』

『そうじゃそうじゃ~もっと言ってやれ~。その図体で可愛い前掛けなんぞ着けよってからに~』


 ――――なんか、ハッゲさんが居る……!


「お、来たかリンネちゃん。テレポータル開通したからな、来てみればいやぁ~腹減っただの死にそうだだの、勝手に作らせてもらってるぜ!」

「ハッゲさん! 来てくれたんですか!」

「これまでリンネちゃん達がギルドの冷蔵庫にぶち込んでった食材、やっと消化する日が来たって感じがするぜ……。溶かす、今日ここで……!!! 俺は今、燃えている!!!」


 凄い、ハッゲさんがいつになくテンションが高い……。そっか、いつもモンスターをひき逃げして滅茶苦茶溜まってた食材系アイテム、そんなに溜まってたんだ。うみのどーくつとかどん太が走るだけで、食材インベントリがモリモリ溜まってたもんね。食材アイテムは特別なインベントリに入って重量も関係ないから、すっごい溜まるんだもん。それでも、わざわざ来てくれて……本当に助かります。ありがとうございます。


「わざわざ来てくださって、ありがとうございます……!」

「いいさいいさ、後はお昼寝とレイジとエリスも来るとよ。きぬちゃんとペルっちゃんとつくねちゃんも戻り次第来るって言ってたぜ」

「本当ですか! あれ、レーナちゃんは……?」

「あ~仕事の納期がな、ついにケツに火が点いたって感じだなありゃあ」

「そうですか~……」


 おお、みんな……来てくれる……!! 結構絶望的だった状態から、割と立て直せるかもしれない!!


『おや、貴方がリンネさんですか。初めまして、姫千代と八百姫の母です』

「あ、お、お母様、はじめ、まして……リンネ、です……」

『一族揃ってこの始末、本当にお世話になっております……。娘達を、どうかよろしくお願いします』

「あ、あっ……えと、し、幸せに、します!!」

『…………え、俺の娘、結婚するんか?』

『??? まだしていないのですか?』

「え、ま、まだ、してないんですけど……」

『まだ!? するのか、するのか……そうかぁ……!!!!』

『大将~~!!! 焦げてる焦げてる~!!』

『え? ああ!』

「料理からも娘からも目が離せなくて大変だな! はっはっは!!!」

『若いの~儂はえびふりゃ~が食べたいのう~』

「お、アレにハマったか! タルタルも要るか?」

『たるたるそうすも欲しいのじゃ!』


 何? え、今何会話してたっけ? えっと、立て直すんだよね。死灰丸が来るかもしれないから、迎え撃つ準備をして、ええっと……?


「どうしましょう。此方は嫁入りのほうが正しいのでしょうか? 嫁入り衣装のほうがよろしいですか?」

「まずは迎え撃つ準備かな!!」

「そちらが先ですか。では部屋で待っておりまする」

『こらこら千代、戦時中ですよ。式は後でしょう』

「…………あ。迎え撃つとは、邪龍王軍の話ですか……はい、そうで御座いますね……」

「――はぁ~いリンネちゃ~~ん。いやぁ~あのスピードだから、振り落とされたんじゃないか心配だったよ~」

「お昼寝さん、来てくれたんですね! 大丈夫でした、なんとか……死にそうでしたけど」

「あ~~やっぱり~……?」

「はえ~~……!! ここが、加賀利の国なんやなぁ~……! なんや、大変なことになっちょるらしいな!」

「わ――人数多くて、ラグ、ヤバいかも~~」


 皆来た、お昼寝さん達も来た……! マリちゃんの設置したテレポータル、大活躍してるじゃん!! どんどん混沌度合いが上昇して行くよぉ~~……!!!


「お~ら! 出来たぞ~」

『でけえ……』

『おおおお~~~さっきのよりも、もっともっと太っちょのえびふりゃ~じゃ!! たるたるそうす!!』

「ほら、あるぜ」

『んんん~~~~~♡ 有り難いのう~~~♡』

「え、吸いたい」

「エリス~???」

「はい。ごめんなさい」


 なんだろう、さっきまで一人ぼっちで何も出来ないって諦めかけてたけど、皆が来て急に何でもできるような活力が湧いて来たね!! よぉし、死灰丸の襲撃に備えて、ある物をかき集めて迎え撃つ準備をするぞ~!! そうだ、なんなら折れた粗悪な武器でも呪物化すればそれなりになるはず、それも作っちゃお~~う!!!




◆ ◆ ◆




【人物紹介】



挿絵(By みてみん)

・邪龍滅殺の妖狐、零姫

 復活した時は何が起きているのか目をパチクリさせていたが、事情を把握した後は子孫に囲まれてニッコニコしているおばあちゃま。全盛期のパワーの半分以下しか取り戻せていないが、千代ちゃんと10戦して8勝は出来るぐらいに強い。使用武器は妖力を顕現させた大太刀。

 えびふりゃ~をたるたるそうすで食べるのが好き。 




挿絵(By みてみん)

・千人斬りの妖狐、百姫

 復活後、現状調査中の姫千代を見つけて大号泣。事情を聞いた後は姫千代から紹介したい人が居ると聞いて更に大号泣。姫千代が見つけた相手なら誰であっても応援しようと思っていたが、まさかの同性だったのでパニック。一生懸命書物を漁って、同性同士でも子を作る術がないか調べようとしたところで空腹で倒れた。今はハッゲが到着し、料理を振る舞い始めたのでパクパクモンスターと化している。使用武器は妖刀。




挿絵(By みてみん)

・百萬力の大鬼、剛烈

 滅茶苦茶デカい。すっげー怖い。でもこの図体と厳つい容姿で百姫の尻に敷かれている千代ちゃんのパパ。元から料理は好きな方だったが、ハッゲの驚異的な料理技術に感嘆し、弟子入りを願い出た。まずは包丁を折らないように力を加減するトレーニングから始まったのは内緒。使用武器は大剣・大槌。


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