三つの神社
第95話『次の段階』での取得クラスとスキルを修正しました。
前回の取得クラスとごっちゃになってしまっていました。
(*_ _)人ゴメンナサイ
「【パワースラッシュ】!」
【豪剣アディオン】で亡霊武者を屠る。そしてサクッと討伐目標を達成してしまった。苦戦らしい苦戦も無く倒せるのは大変良いんだが、サクサクし過ぎで駄目になりそうだ。装備の力は偉大だと思わせる反面、【豪剣アディオン】と他の武器とのギャップに戸惑う。要するに【豪剣アディオン】があれば他はいらねぇんじゃね?
それもある意味正解なんだが、戦いは千差万別。手数はあるだけあったほうが良い。・・・ぶっちゃけ、剣が効かない敵とかがいたら詰む、なんてことになったら困るからな。やはり、素材を集めて他の武器もガットに作ってもらうべきか。すぐには無理だろうけど。
「ちょっと早すぎるよ、アルク。」
暢気に観戦していた俺に、ようやく倒し終わったラングが話しかけてくる。・・・ラングは俺に早すぎるとか何とか言っているが騙されてはいけない。なんせラングの奴はさっきから素手でしか戦っていないのだから。より正確に言えば素手で魔法を使っている、だが、本来魔法を使うならアルマのように魔法攻撃力の高い杖なんかを使うのが普通だし、有効だ。
にもかかわらず、武器を使う気配がない。使っている魔法の威力はかなり強い。亡霊武者の弱点である浄化魔法を使っていることもあるが単純に本人のレベルが高いのだろう。単に武器を使うまでも無いのか、それとも武器を見せたくない相手でもいるのか。
「ハァ、ハァ、す、すいません。」
ロゼさんが謝りながらやってくる。彼女もようやく亡霊武者を倒し終えたようだ。彼女も実力は高いとは思うが武器が追いついていないように思える。俺やラングよりペースが遅い。・・・もしかして【インフォガルド】の武器事情ってあんまり良くないのか?まあ、人様のクランに余計な口出しはしないが。
ちなみに今回、俺たちはパーティを組んでいない。主と【眷属】で組んでいるが、俺、ラング、ロゼさんは同じパーティを組んではいない。理由は特に無いが、クランが違うと多少遠慮がちだ。パーティを組んだら必然的にメンバーのステータスが丸分かりになってしまうからな。なんで二人のレベルやステータスは俺も知らないままだ。・・・まあ、知ったからなんだって話だが。
「さて、目標討伐数も達成したし、少し休憩したら戻ろうか。」
ロゼさんへの気遣いだろうがラングが休憩を申し出る。里を出てもう一時間以上経ってるからな。しっかし一時間以上歩いてるのに代わり映えの無い風景が続いている。変化が無さ過ぎて同じ場所をグルグル回ってるんじゃないかと錯覚してしまう。唯一、森の切れ目から見える不死山が大きくなったか?と言う程度だ。これは何か指針がないと本当に迷うな。
「そうだな・・・んん?」
「どうしたんだい?アルク?」
・・・なんだ?この感じ?これは・・・何かの気配?それにしては何かおかしい。生き物の気配?いや、違うか、気配はあるが意思のような物は感じない。だが、そこに何かあるというのはわかる。
「んんん?・・・この先に何かある、様な気がするんだが・・・変な感じだ。」
「・・・モンスターかい?それともプレイヤーかNPCかな?」
「いや、そういう生き物の気配じゃないな。だが何かある、気がする。何というか・・・存在感?圧迫感?みたいな物が出ている何か、がある気がする。」
「・・・要領を得ないねぇ。感覚的なものなら仕方が無いのかもしれないけど。僕は何も感じないけど・・・ロゼはどうだい?」
「いえ、私も何も・・・」
「ヒュントやヒュームは?」
「「クワワー。」」ブンブン
どうやら俺以外は感じないらしい。となると俺の気のせいか?・・・で片付けるにはちょっと無理があるな。
「クルルルルルルル。」
「アーテル?どうした?」
アーテルが何かを警戒するように唸り始める。その視線の先は・・・俺が気配を感じる先と同じだった。
「・・・どうやら、アーテル君は何かを感じているようだね。となるとこの先に何かあるのは確実かな。・・・わからないなら聞いてみるしかないねぇ。おーい、キキョウ殿!見ているんだろう!」
「はい。」
やはり音も無く現れるキキョウ。さすがくノ一。
「お話は伺っておりましたが、この先に何かあるとは聞いたことはありません。」
キキョウも分からないらしい。不死山はまだまだ先だし、遠目に見てもなにかあるようには見えない、が、やはり気配は感じるのだ。
「・・・分からないなら確かめてみるしかないね。万が一、忍の里の敵になるようなモンスターだったら困るわけだし。ロゼも大丈夫かい?」
「はい、問題ありません。」
「キキョウ殿は?」
「私もご一緒します。森に異変が起こったのであれば確認しないわけには参りません。」
うーん、微妙に大事になってきたような。しかし、俺も気になるわけで・・・
「それじゃあ、アルク。案内してもらえるかい?」
「・・・わかった。」
俺たちは奇妙な気配を頼りに森を進むことにした。・・・しかし、気配はあるが敵意は感じない。ならアーテルは何を警戒しているんだ?
・・・
「・・・ここだ。」
歩き始めて10分ほど。俺は何も無い場所で停止する。
「ここ?・・・何もないように見えるんだけど?」
ラングたちはキョロキョロ辺りを見回すが、特別何かがあるように見えない。確かにそうだろう。俺にもそう見える。しかし、ここまで近づいた事で俺には何となくわかった。
「いや、ここで間違いない。みんな少し離れていろ。・・・【全天の属性】!」
俺が手に持っている【豪剣アディオン】が虹色に輝きだす。【全天の属性】は俺が取得している魔法属性を全て付加するスキルだ。それは【浄化魔法】も含まれる。
「【バスタースラッシュ】!!」
俺は【豪剣アディオン】で目の前の何も無い空間を切りつける。すると目の前の何も無い空間は、鏡にヒビが入るように亀裂が走り、人が通れる程度の穴を開けて砕けた。
「こ、これは一体・・・?」
キキョウが戦慄するように呟く。確かに自分でやっててもよく分からない光景だが・・・
「・・・結界だ。強力すぎて一部しか破壊できなかったみたいだがな。」
おまけに元に戻ろうとするかのように穴が徐々に小さくなっていく。自己修復付き結界らしい。
「結界!?このような所に何故!?」
「さあ?キキョウが知らないなら俺たちにもわからないな。まあ、中に入ってみるしかないんじゃないか?」
そう言うと、俺は穴の中に入っていく。一度閉じるとまた開けるのが面倒だからな。アーテルもその後に続く。
「まったく、アルクといると飽きないね。」
そう言ってラングたちも続く。
「ま、待ってください!」
最後にキキョウが入り、穴は閉じた。
===移動===>結界空間内部
「これは・・・なんともコメントに困るな。」
結界を越えた先、そこにあったのは・・・神社だった。
「何で急に神社?」
目の前の神社は、荘厳、という言葉がぴったりな大きさとたたずまいをしている。神社を中心に円を描くように森が開けていて空も不死山も良く見える。ご丁寧に地面は石畳だ。何よりも神聖な空気とでも言えば良いのか・・・リアルで言うパワースポットと呼ばれる場所を何十倍にも強くしたような、存在感のある場所だった。・・・気を抜いたら気絶してしまいそうなくらいだ。
「・・・なるほど。アルク、君の言っていた奇妙な気配と言うのがここに来てようやく分かったよ。清浄で神聖な空気が流れているのに圧迫感すら感じる。・・・聖域とか神域と呼ばれるような場所ってこういう場所を言うんだろうね。」
「・・・」
ラングはこの場所に腰が引けているようで、ロゼさんは言葉も出ない感じだ。・・・まあ、俺も似たり寄ったりだ。正直、この言葉に出来ない感覚・・・こんな物まで作れるとはなんてゲームなんだ!
「こ、ここはまさか・・・」
ん?キキョウがなにか戦慄している。
「どうしたんだキキョウ?この場所に心当たりでもあるのか?」
「は、はい。あれを見てください。」
そう言ってキキョウは神社のある一点を指差す。それは神社の正面扉の上にある・・看板?のような物だ。何か文字が書かれているが・・・
「ここは不死山の樹海のどこかにあると言われている、三神を祀った三つの神社の内の一つ、【ツクヨミ神社】です!!」
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