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陸拾陸.ピーピング・ツッキー

 俺『月☆読っ』

 月☆読(そんな大きな声を出さなくても聞こえてますよ)

 俺『天照は?』

 月☆読(お姉さまは体調が悪くて静養中です。おおかた…)


 と言って月☆読はなぜか俺の方を見てため息をついた。あ、ため息の時は口を開けるんだ。しかし、ため息1つでも様になるって、美形はすごいな。


 月☆読(ところで、あなたはどうしてこんなところにいるのですか?)

 俺『天照と話したいことがあったんだけど、体調が悪いのなら仕方ないな』


 俺はそう言うと腰を上げて、屋敷に帰ってさっさと寝ようと一歩足を踏み出した。


 月☆読(私でよければ話を聞きますよ?)

 俺『え? 月☆読が?』

 月☆読(か、勘違いしないでください。私としては別に全然聞きたくもなんともないんですが、お姉さまが聞いて来いというから…)

 俺『天照が?』

 月☆読(あー、そんなことはどうでもいいんです。別にお姉さまがあなたのことを気にかけているのを苦々しく思っているとかそんなこともないですから)


 なんというか、月☆読は超わかりやすいやつだった。そして相変わらず残念だった。


 月☆読(どうせ、あの雨だかみぞれだかという名前の女房のことなのでしょう?)

 俺『雪だよっ! っていうか、なんで知ってる?』

 月☆読(あまり神様をなめないでください。お姉さまにしても私にしても、お仕事中は空に登っているのですから、双眼鏡を使えば地上の様子くらい手に取るようにわかります)

 俺『双眼鏡かよっ!!』


 神様は意外にローテクだった。そしてただの覗き野郎だった。


 月☆読(覗き野郎とは失礼な。私はお姉さまの裸以外には興味はありません。お姉さま…はぁはぁ)


 間違えた。ただの変態シスコン野郎だった。そして相変わらず口元は微笑を浮かべたまま全く動かずイケメンである。


 月☆読(まあ、そのことは置いておいてですね、その雪の話。何を悩んでるんですか?)

 俺『何を悩んでいるかっていうと、…、難しいんだけど…』

 月☆読(難しければぜひとも掻い摘んでいただいて結構です。私は早くお姉さまのところに帰りたいんです)

 俺『例えばさ。月☆読は周りの人が自分の持ってる力を怖がってるかも知れないと不安になったことはない?』

 月☆読(は? それが悩みですか?)

 俺『まあ、そうだね』

 月☆読(私ならむしろ周りの者に力を見せつけて2度と反抗しようと思わせないようにしてやりますよ)


 月☆読は相変わらず口は開かないが、口元に黒い笑いを浮かべた。


 (やっぱりこいつに聞いたのがバカだったか。というか、こいつはバカだったか)


 月☆読(それにしても、昔、同じ質問をお姉さまに聞かれたことがありますよ)

 俺『え? 天照が?』

 月☆読(お姉さまは時々訳のわからないことをお話しになるのでその時は気にもしなかったのですが、なんですかそれは? なにかのクイズかなんかですか?)

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