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肆拾伍.大切な人

 思わず顔が真っ赤になっていくのが鏡を見なくても分かる。雪、誤解しないでくれ、俺はまだ綺麗なままなんだよっ!


 俺「雪、違うの。そうじゃないの。そうじゃなくて、その、あの人は大丈夫なの」

 雪「…、ふぇっ?」

 俺「あの人は、…、その、…、友達なの。だから大丈夫なの」

 雪「…あ」


 雪は見る見るうちに顔が真っ赤になって後ろに飛び退いて額を床にすりつけるように平伏した。


 雪「もっ、申し訳ございません。私としたことがとんだ誤解を。お許し下さい」

 俺「そんな、大丈夫よ、雪」

 雪「いえ、私はてっきり竹姫さまのことをまだ子どもだとばかり思っていましたが、いつの間にか大人になられておいでだったのですね」

 俺「は?」

 雪「竹姫さまが心を許された方は、私にとっても大切な方でございますのに、あのように取り乱してしまって…」


 (それも誤解だーっ!!!)


 俺「待って、雪。それも違うの。そうじゃなくて、その、…、あの、…、私はまだ誰とも何ともなってないのよ」

 雪「え…? 何ともっていうのは?」


 ちょ、恥ずかしすぎる…。大体こんなこと小学校低学年の子どもに言わせるセリフではない。


 俺「だから、…、その、…、つまり、…、あの、…、私の『ていそう(ここだけ小声で)』は無事なの」

 雪「あっ。しっ、失礼しましたっ」


 雪は穴があったら入りたいという様子で身体を限界まで小さくしていた。顔はさっきよりもさらに真っ赤になっていて、なんか湯気が出ている。


 俺「とりあえず顔を拭いて、雪」


 そう言って俺は部屋の隅から手ぬぐいを持ってくる。例の身体を拭くために作ったものだが、便利なので常に1枚部屋に置いてあるのだ。


 雪「そんな、もったいないです」

 俺「そんなこと言ってないで拭いて。お願い。じゃないと無理やり拭くよ」

 雪「申し訳ございません。ありがとうございます」


 そう言って雪は俺の手から手ぬぐいを取ると、顔を拭いた。まだ赤みが残っていて化粧もかなり崩れてしまったが、ようやくいつもの雪に近づいた。化粧なんてなくても雪は素で綺麗で可愛いんだ。


 俺「やっといつもの雪になった」


 俺が笑うと雪も笑った。ああ、やっぱり笑顔は可愛いな。


 雪「竹姫さま。お召し物をお直しいたしましょう。それが終わったらお夕飯を持ってまいります」


 雪はそう言って立ち上がると、散乱した袿を回収し始めた。

追記です。次回更新からジャンルをコメディに変更します。よろしくおねがいします。

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