表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/362

卅参.空耳アワー

 始めから結局そうなるのではないかと思ってはいたので、予定通りではあるのだが、できれば避けたかった展開だった。つまり、変態式神に助手をしてもらうのだ。


 俺は木箱を持ってきて、式神の人型を取り出した。以前と同じように光の中から裸の少女が現れる。


 式神『やほー』


 この状態の変態式神に下手に声をかけると何をされるか分かったものではないので、すぐに服を出した。平安装束は袖が邪魔なので、昨日天照が着ていたワンピースを着させることにして、まずワンピースの形の紙片を取り出した。先程と同じように光と共に元のワンピースに戻る。


 素肌にワンピースを直接着るのも変だと思ってキャミソールを復元し、胸はまだ全く発達していないのでブラは省略して、ショーツを復元しようとしたところで今朝の葛藤を思い出した。


 (しまった。ショーツは俺が穿いてた)


 式神『これを着ればいいのか?』

 俺『ああ。こっちを先に着ろよ』


 さて困った。ここで俺がショーツを脱いでこいつに穿かせようと思っても、多分間違いなく一筋縄ではいかない。しかし、ショーツを穿かなければワンピースにノーパンで床に座らせるというかなり危険な状況になってしまう。裾が長いから実質的にはそんなに危険はないかもしれないけれど。


 式神『着たぞ。パンツは穿かなくていいのか?』

 俺『な、何を言っている…?』

 式神『…、変態』


 グサッ


 変態に変態と言われてしまった。ちょっとショックで立ち直れないかもしれない。変態式神はいいネタが見つかったという様子でニヤニヤしている。


 式神『変態』

 三羽烏(変態)


 グサグサッ


 (あれ? なんか変な声が混じってなかったか?)


 俺は変な声の持ち主である三羽烏の方を振り向いた。三羽烏はカラスなのに真っ白になって硬直している。


 俺『今、なんか変な声が聞こえたと思ったが、気のせいか?』


 三羽烏の足元には変な汗がぼたぼたと落ちて水たまりを作っている。湯煎の上にこいつらを吊るしておけば、落ちた汗で湯煎の湯の補給になるんじゃないか、とちょっと考えた。その考えが伝わったのかどうかは分からないが、三羽烏のうちの1匹が白目を向いて失神してしまった。


 俺『空耳か』


 空耳でないことは分かっているが、この辺で許しておくことにした。


 ところで、この変態式神は洋服ならショーツが必要だということを知っていたことになるけれどどうしてなのか、とふと疑問に思った。


 俺『なあ、式神。お前はどの辺まで知ってるんだ?』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この小説は、一定の条件の下、改変、再配布自由です。詳しくはこちらをお読みください。

作者のサイトをチェック
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ