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廿伍.ストーカーさんですか?

ごめんなさい、ごめんなさい。

 俺の目の前で仰向けにひっくり返っているのは、いつぞやの残念女神、天照だ。いまだにこいつが日本の最高神である天照大御神であることに疑いを感じる。


 夜中に木刀を持って襲ってきたということも意味不明だが、その格好も同じくらい意味不明だった。それは平安時代の服ではないどころか和服ですらなく、21世紀のワンピースだった。しかもレースがふんだんに使われていてふわふわのふりふりの。


 そして、転んだ表紙にワンピースの裾がめくれて白い太ももが露わになっていた。残念女神は黙ってじっとしていれば決して残念ではない女神様なのだ。そんな女神様の白い太ももを見て、興奮しないなんておとこじゃない!


 ああ、しかし、俺は残念ながら漢ではなかった。なんということだ。こんな時に俺は、女神様の白い太ももではなく、残念女神の別のところに注目してしまった。髪型だ。


 俺が暗闇で天照を最初に見た時に、暗視スコープの目を持ちながら天照だと認識できなかったのは、その不思議な服装のせいもあるが、髪型が前に見たのと違ったというのも大きかったのだと、今気づいた。つまり、どういうことかというと、天照はヅラをかぶっていたのだ。そして、それが転んだ拍子に見事にズレてしまったのだ。


 (何やってんだ、こいつは?)


 レースでふわふわのワンピースを着て、これまたふわふわで長い髪のヅラをかぶって(今はズレているが)、木刀を持って夜中に襲いかかってくる。全く意味が分から…、ってまさか。


 天照はゆっくり身体を起こすと、ヅラが頭から落ちていることに気づいて慌てて拾って頭に載せ直した。そして木刀を拾って再び戦闘態勢に入ろうとしたところで、俺は声をかけた。


 俺『ラブレターもチャーハンもないぞ?』

 天照『あ? バレた?』


 (はぁ。当たりかよ)


 天照の格好は21世紀のラノベ、とらドラ!のヒロイン、逢坂大河のコスプレだった。そして、木刀を持って襲ってきたのは1巻の前半の名シーンの再現だ。真剣白刃取りまで一緒というのは一体どういうマジックを使ったんだ。


 天照『神の力を舐めんな!』

 俺『地の文に直接返事をするな!!』


 しかし、天照が大河のコスプレをするには致命的な欠陥がある。大河はそんなに巨乳じゃない!!!


 天照の胸は平安装束の上からでもはっきりと分かるほどの巨乳だ。それが洋服のワンピースを着ることでさらに際立っている。しかし、大河は哀れ乳だ。そこを間違えたら全てが台無しだ。


 (そもそも一体なんで逢坂大河なんだ?)


 天照『他に姫ちゃんの好きなのと言ったら、ルイズとかシャナとかナギとか…』

 俺『お、お前っ、ストーカーかっ!』

 天照『ストーカーだなんて人聞きが悪いなあ』

 俺『ストーカー以外でどうやって俺の趣味をそんなに正確に言い当てる!?』

 天照『ぽっ』

 俺『照れるな!』


 (全く話が噛み合わない)


 天照『どぉ?』


 俺が困惑していると、天照は俺の目の前でクルッと回ってみせた。ワンピースの裾がふわっと浮き上がって白くて綺麗な太ももがチラッと見える。


 (うっ、可愛い)


 最近、和服ばかり見ていたから、洋服は新鮮に感じる。雪が着たら似合うかなぁ。


 俺『ところで、お前、その服どこで手に入れたんだ?』

「俺」はどうやら不治の病に罹っているようです。そう言えば雪の胸も…

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