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壱.爺と婆

 (んっ。どうやら寝ていたみたいだ)


 目を開けた俺の視界に最初に飛び込んできたのは、斧を構えて俺を見下ろす、身長30メートルはあろうかという超巨人のじじいだった。


 (うわー。こっ、殺されるー!)


 俺は逃げ場がないかと左右を見ようとしたが、どうしたことか体が動かない。なんとか目だけで周囲を確認してみると、全身を布でくるまれて、風呂桶のようなものの中に入れられているようだった。


 (なんなんだ、ここは。どうなってんだ)


 爺は手のひらだけで優に2メートルはある手をこちらに伸ばしてきた。あの手に捕まったら、そのまま握りつぶされて、それで終わりだ。でも、逃げたくても体が動かない。爺は興奮した様子で、意味のわからないことを叫んでいる。


 (やばい。死ぬ)


 思えば短い人生だった。高校受験を耐え抜いて、何とか希望の進学校に入学して2年目の春を迎え、中間試験の勉強を部屋でしていたところまでは覚えている。


 そうだ。部屋で古典の勉強をしていたはずなんだ。それがどうしていきなり命の危機なんだ!


 (ああ、もうだめだ)


 そう思った時、爺は俺を手のひらに優しく乗せて、どこかに運んで行った。


 俺が連れて行かれた先は爺の自宅のようだった。巨人の家にふさわしい巨大な家で、爺の妻らしい巨人のばばあがいた。婆は俺を見ると、やはり理解できない言葉を叫んで、顔を覗き込んでニヤッと笑って奥の部屋へ足早に歩いていった。


 (今度こそ取って喰われる)


 俺は、包丁を研いだ婆がいつ襲いかかってくるかと肝を冷やしていたが、爺に運ばれて奥の部屋に行くと、婆は包丁を研いでいたのではなく、布団を布いていた。俺はそこに寝かされると、急激に睡魔が襲ってきて意識を失った。

 転生!かぐや姫をお読み頂いてありがとうございます。この話は竹取物語をベースにしていて、男子高校生が平安時代に転生してかぐや姫になってしまうことで起きるドタバタを描いたコメディです。


 異世界転生モノで主人公最強なコメディを書いてみようと思ってストーリーを考えていたときに、竹取物語をかぐや姫視点で見ると、このシチュエーションにぴったり当てはまることに気づきました。そこで竹取物語からストーリーと設定の骨子をもらって、ラノベっぽく(?)書き直してみたのがこれです。


 それなりに時代考証して書いてますが、都合よく無視しているところもあります。例えば、成人男女がお歯黒をする風習とかは、絵面的にあれなので却下しています。


 この小説は実験的に書いている小説なので、想定よりも人気が出ない場合や、その他事情がある場合は、途中で連載を中断することがあります。あしからずご了承ください。(追記:2章完了時点で想定よりも人気が出ているのは確実なので、不慮の事故でもない限りは完結まで続けるつもりでいます。)


 括弧の使い分けは、()が心の声で、「」が古語の発話、『』が現代語の発話です。括弧は必ず改行されていて、冒頭に発話者の名前を付けています。発話者の名前がないときは、前後の文脈で指定しています。ただし、心の声は、特に発話者が書かれている時をのぞき、すべて“俺”の言葉です。


例)

 俺「おはよう」

 爺「おはよう」

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