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319 魔物を産む穴

 何処へ進めばいいのかも分からず、とりあえず前へ進むことにしたけど、ずっと同じような森が続く。

 前後左右同じような景色が広がっている為、自分の位置もきちんと把握することが出来ない。このような状態では探索に集中出来ないな。

 そう判断した俺は空中へと浮き上がり木々で覆われた森から浮上して、自分の位置を確かめることにした。


 そして木々を越えた瞬間、目の前に迫ってきたのは翼竜よりも大きな大鷲の姿をした飛行生物だった。

 その大鷲は俺のことを丸呑みしに来たのだろうけど――。


「甘い」

 俺は空中でさらに加速して大鷲の大口を躱すと、その背に攻撃しようとした。

 しかし魔物は大鷲だけではなかった。


 ケルベロスのように赤、青、黄色の頭した生やしたカラフルな三メートル程ある巨鳥がブレスを放ってきたのだ。

 それも一羽だけではなく、複数羽が既に俺の周りを囲んでいた。


「もしかしてこれはズルしたってことになるのか? ……まぁいいや。下で魔物が出ないなら出ないで休憩は出来るみたいだし」

 俺は身体強化を発動して、風魔法で圧縮して作った足場を蹴ると、ブレスを放ってきた命名カラフル鳥へ向けて幻想剣を振るった。


 レインスター卿と特訓していなければ、こうやって空を飛んで目的地を探ることも出来なかったはずだから、詰んでいたかもしれないな。

 そう思いながら寄ってくる魔物達を次々と屠っていく。


 カラフル鳥は接近さえ出来れば、幻想剣を振るだけで首を抵抗なく落とせるし、胴体も同じように切り裂くことが出来る。

 最初は復活することも考えていたけど、墜落していく過程で魔石に変わったので、問題ないと気持ちを切り替えて迫り来る魔物を屠り続けた。


「魔石化した魔物を見なかったら、ここが迷宮だってことは分からなかっただろうな」

 もはや太古の時代へタイムスリップさせられたと考えた方が自然に思える。


 見渡す限り下には森が広がり、上にはどこまでも続く……なんだ、あれ? 

 空には一か所だけ黒い……穴が開いて、どうやらあそこから魔物が産まれているみたいだ。


 二択だとしたら、前後左右ずっと同じ森よりもあの穴へ行ったみた方が気分的には楽な気がする。

 何故なら森はあの未開の森と同様、ずっと森なのだ。

「幸い空も飛べるようになったし、もし駄目でも、調べるところが一つ減るしな」

 小さく呟いて自分の気持ちを固めた俺は、一気に黒い穴を目指す。


 高度を上げると、より強い魔物が黒い穴から吐き出されるようで、翼竜が姿を見せたのだが、雰囲気がいつもと全く違った。

 まずその大きさが俺の知っている翼竜とは違い、三倍は大きくて、さらにブレスを吐き出してくるのだ。


 いくら少しは強くなったと言っても俺は一人だし、魔力量のコントロールもしなくてはいけないから、風の魔力を込めた斬撃を飛ばして翼を傷つけて落とすことにした。

 しかし斬撃は翼竜が翼を羽ばたかせると、俺の斬撃を飲み込んだ竜巻がこちらへ向かってきた。

 当然俺はそれを躱そうとした際に後ろから最初に俺を食い損ねた大鷲が帰ってきたので、竜巻を風魔法で大鷲の方へと弾いた。


「……これって、長引かせると最悪なパターンに陥る感じだな。【エレメンタルフォースドラゴン】」

 一気に決める為に、エレメンタルフォースドラゴンを発動させると、唸りを上げて巨大翼竜へ吸い込まれていくと、何とか撃ち落とすことには成功した。

 但し、翼竜が魔石になることはなかった。


「あれで倒せないのかよ」

仕方ない、俺は翼竜を追いかけて森へと入ったところで、翼竜は魔石を残して消えていた。

 でもそれは落下して死んだのではなく、双頭の魔獣であるオルトロスが、集団で翼竜を襲ったからに違いなかった。


「……ちょっとハード過ぎないか?」

 俺の呟きなど知らないとばかりに五体のオルトロスが飛び掛かってきた。


 ただ幸いだったのはここに地面があるということだった。

 俺は無詠唱で大地を隆起させると、前方のオルトロス以外を無視して、威圧した後に闇魔法で気配を遮断すると、一気に身体強化と雷魔法を足裏に発動させて斬り伏せた。


 魔法を使えば何とか師匠の奥義を模倣することは出来るな。

 手ごたえを感じながら、オルトロスの攻撃を避けては確実にダメージを与えていき、オルトロスを倒した時には、また新たな魔物の気配が近づいてきていることが分かった。


「これは寝る間もなくて疲労困憊になってしまうこともあり得るな……一度試してみるか【サンクチュアリ バリア】」

 今までよりの倍は大きさと強度を誇っている聖域結界で魔物を防ぐことが可能ならば、何とかなりそうだけど、駄目なら他の手を使うしかないので、どうなるか待っていると現れたのは一つ目の巨人だった。

 サイクロプスなんだろうけど、手に持っているのは、そこらに生えている木だった。


 こちらからは見えるけど、こちらが木々に隠れてしまえば、向こう側から見えないと思っていたけど、そうでもないらしく近寄って来ようとするところで聖域結界に阻まれ叫ぶような声を上げた。

 すると周りの木々を引っこ抜いてこちらへ向かって投げてきたけど、当然ながらそれに当たることはなかった。


 サイクロプスを倒すことは難しくはないと思うけど、あれは放っておいてもいいだろう。

 これまでに分かったことは、あの穴に近づくにつれ、空には強力な魔物が下には多くの魔物がいるってこと、無駄にこの迷宮が広いってことだった。


「あの目印もあるし、少し森の中を探検してみるかな」

 俺はこうして森の探検を始めることにした。


 強い魔物が出そうな方向へと足を進めるけど、どうやらあの穴の下の魔物がどうやら強いし、頻繁に魔物が産まれることが分かった。

「それにしても物体Xの樽を開けているだけで、こうも敵が寄って来なくなるって凄いな。残念なことにレベルを上げないといけないから飲むわけにはいかないかどな」

 俺はそう呟き、食事と仮眠を済ませたら、あの黒い穴へ向かって飛翔を開始することを決めた。



お読みいただきありがとう御座います。


短くて申し訳ありません。

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― 新着の感想 ―
[一言] 残念なことにレベルを上げないといけないから飲むわけにはいかないかどな ↓ 残念なことにレベルを上げないといけないから、飲むわけにはいかないけど。
[気になる点] あの穴に近づくにつれ、空には強力な魔物が下には多くの魔物がいるってこと、無駄にこの迷宮が広いってことだった。 ↓ あの穴に近づくにつれ、強力な魔物が多くいるってこと、無駄にこの迷宮が広…
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