深淵卿編第二章 エピローグ 上
長くなりすぎたので分割しました。
この後、19時に「エピローグ 下」も投稿します。
「シャオラアアアアアアアッ、ですぅ!!」
とってつけたような「ですぅ!!」が響き渡り、ウサミミがぱたぱたと舞う。振り抜かれた戦槌が〝嘆きの風〟を盛大に攪拌し、そして、
――ブモォオオオオオオッ!?
涙声に感じなくもない悲鳴を上げるミノタウロスみたいな巨人も、美しい放物線を描きながら空を舞った。
ちなみに、ミノさんの頭部は一部陥没していらっしゃる。
死地と覚悟したのに、なんだか良い感じに絆を確認しあったのに、いきなり地面ごと吹き飛んだシリアスな空気。下級の悪魔達まで、ぽかんっと空を見上げている。
「あ~、なんだ? 空気が変わったな……」
不意に響いた男の声。浩介のものでも、ウィン達のものでもない。響いてきたのは、おそらく一つ下の階層に物理的に通じているであろう大地の大穴から。
その穴に、浩介達がギギギと油を差し忘れた機械の如きぎこちなさで視線を向ければ、ひょこっと顔を覗かせる見覚えのある男。
魔王様だった。
「なぐもぉ!? なんで!? どうして南雲!?」
今にもアイエエエエエッと叫びそうな浩介。穴からひょいと飛び上がって縁に着地したハジメは、おや? と首を傾げて言った。
「こんな地獄みたいな場所で奇遇だな、遠藤。髪切った?」
「切ってねぇよ! なにそれ、お前等夫婦間で流行ってんの!? って、そうじゃねぇよ!」
地団駄を踏む浩介さん。怒濤かつ予想外すぎる展開に大パニック。
と、そう言っている間にも、
「お山の向こうまでカッ飛びな! ですぅ!!」
――ブモォオオオオオオッ~~~~
体長五メートルのミノさんは、シアのフルスイングを受けて、荒廃都市のビル群を何十棟も貫通しながらお山の向こうへと飛んでいった。
空中に淡青白色の波紋を広げながら、軽やかなステップで空中から降りてくるシア。スタッとハジメの傍らに着地すると、「おやや?」という表情で、
「浩介さん、二日ぶりですね。髪切りました?」
「OK。南雲家の流行なんだな? 把握した。だから、もうそれはいいから状況説明プリーズ! なんでこんなとこにいんの!? なんで地盤ぶち壊して登場してんの!? 明瞭簡潔に頼む!」
あらやだ、いきなりテンションMAXとか、ちょっとついていけないわ。
みたいな顔で、ヒソヒソと話し合うハジメさんとシアさん。浩介の額に青筋が浮かぶ。クラウディア達は未だに惚けている。ついでに、下級達も顔を見合わせている。
取り敢えず、といった感じで示されたハジメの回答は、
「シアと森デートしていたら~、魔女と出会った~。
襲ってきたから森ごと燃やしてやったら、変な場所に飛ばされた。
せっかくなので冒険デートしていたら、なんか遠藤がいた。
以上だ」
「異常だな!」
なんにも分かんねぇ! 頭がおかしくなりそうだ! と頭を抱える浩介くん。
と、そのとき、周囲を包囲する幾千幾万ともいうべき下級達が動き出した。浩介がハッと目を見開き戦闘態勢を取る。クラウディア達も、混乱しつつも臨戦態勢を取った。
が、戦端が再び開かれる前に、
「お、第一異世界人、発見だな。なんか凄い数いるけど、まぁ、いいや。――ごほんっ。どうも、自分、南雲ハジメっていいます。俺達、旅行の途中だったんですが、いやぁ、参りましたよ。地下で怪物に襲われましてね、やっと地上に出てこられました。ちょっとお話いいですかね?」
よそ行きのにこやかな笑顔で、下級に話しかけるハジメさん。
見た目的に、どう考えてもまともな生物ではないし、おびただしい数はひたすら脅威。そして、悪意と殺意がまったく隠されていない下級悪魔達が相手ではあるが……
ハジメさん、相手が悪魔だと分かっていないらしい。普段から主張している、自称善良で模範的な日本人らしく、まずは平和的に話しかけてみようと頑張っているようだ。
遠藤達がなんだか現地民と揉めているっぽいし、しょうがねぇ、俺のコミュ力でとりなしてやろうじゃないか、という思いもちょっぴりある。
シアが「いやぁ、どう見ても下層にいたモンスターと一緒ですよ、ハジメさん」とツッコミを入れているが、そこは丸くなった(?)ハジメとしては譲れないらしい。
どんな相手でも、状況でも、対話の可能性を捨ててはならないのだ! 日本人的に!
「ちょっ、馬鹿! そいつらは――」
浩介が制止の声をかけようとするが、その前に、握手すべく差し出したハジメの左手に下級悪魔が食らいついた。
クラウディア達が「あっ」と声を上げ、シアが「いわんこっちゃありません」と呆れたような目を向け、浩介の表情が引き攣る。
一方、食らいついた下級悪魔の方も、ガチンッギリギリと、人体に噛み付いたにしてはあり得ない感触と、あり得ない音を発する獲物の左腕により、頭上に〝?〟を浮かべた。
そして、そ~と顔を上げ「この腕、おかしくね?」みたいな感じで首を傾げる。
にっこりにこにこと微笑んでいたハジメさんは、コーティング用の人工皮膚が無残に剥がれているのを見て、目元をピクッとさせながら、しかし頑張って笑みを深めた。
「こ、こちらの挨拶は、少し過激なんですね? 普通なら腕が食いちぎられているところですけど、あれかな? 皆さん的には甘噛みなのかな? そうだとすると――」
――ギィイイイイッ!! コロセ! コロセ! ニンゲン! クライツクセ!
ハジメさんの歩み寄りは踏みにじられた。
叫びながら、再び食らいつこうとした下級悪魔だったが、次の瞬間、頭部を鷲掴みにされてぶら下げられる。
そして、ハジメの眼前まで持ち上げられると、至近距離でにっこり笑ったハジメに、
「これ、正当防衛だから」
パチュン! と頭を握りつぶされた。彼等の特性を知っているようで、ご丁寧に魔力を纏わせた義手で、まるでリンゴを握り潰すかのように。普通なら、過剰防衛である。
とまれ、開戦の合図にはなったらしい。廃都市の外を扇状に埋め尽くす下級達と、空にもはびこる下級達が一斉に包囲を縮めてくる。
なので。
右手に電磁加速式ガトリング砲――メツェライ・デザストル、入ります。
左手にミサイル&ロケットランチャー――アグニ・オルカン、入ります。
レッツ、蹂躙♪
浩介が「伏せろぉおおおっ」と叫びながらクラウディアを押し倒し、ウィン達も悪寒を感じて身を伏せる。シアも、ウサミミをぺたんっと折り畳んでしゃがみ込んだ。
直後、迸るドゥルルルルルルッという独特の音と、ヒュ~という間の抜けた無数の音。
薙ぎ払われる真紅の閃光。遙か後方まで同時に弾け飛んでいく下級達。
空を駆け巡る幾百のミサイル。的をホーミングして空に真紅の花火が咲き乱れる。
背後のビルに潜んでいた下級達も、ビルと一緒に爆砕、粉砕、大倒壊!
時間にして三十秒ほど。
背後の広々としていたストリートはビルの瓦礫で山となり、前方は何もない更地となった。
それを見て、クラウディア達は、
「浩介様。お願いです、私を殴ってください! 正気を失っている場合ではないのです!」
「え、いや、ちょっ、クレア?」
「くっ、T・J! 解呪の音色を頼む! 幻覚を見せられているかもしれん!」
「了解よぉ~」
ウィンの厳しい声音に、T・Jさん、お姉言葉で即応。戦場に浄化の音楽が流れる。
「え、なに、楽団の人? 遠藤、お前、珍しい友人がいるんだな」
「でもハジメさん、みなさん、なんだかボロボロですよ? そういうファッション? 特殊メイクです? 未来に生きてる系の人ですか?」
ハジメとシアが不思議そうな目でクラウディア達を見やる。
「いや、そうじゃねぇよ! この人達はエクソシスト! 彼女、聖女! さっきまで世界の命運とか、クラウディアが母体にされるかを賭けた死闘を繰り広げてたの! 雑魚に苦戦してごめんね! っていうか、お前がバチカンの調査を依頼したんだろ! ほら、あそこの少年! アジズくん! お前が追えって言ってたバチカンのエクソシストだ!」
「エクソ、シスト……だと? 実在したのか!?」
ハジメさん、アジズ少年を凝視。アジズくん、魔王様に目を付けられていたと知って、しかも、現在進行形で凝視されて「ひっ」と悲鳴を上げる。
「まさか、と思うが……おい、遠藤。もしかして、ここは地獄で、さっきのは悪魔なのか!?」
「そうだよ! ここが地獄で、さっき消し飛ばしたのは悪魔だよ! 下級だけどな!」
「本物か!?」
「本物だよ!」
ハジメが、なんてこったと言いたげに目元を片手で覆って天を仰いだ。
悪魔なんて、なんて厨二心をくすぐるワードか。知っていれば、いろいろ質問したり、記念品を強制的に譲ってもらったりしただろうに、下層にいて人語を発する悪魔達も、結構な数を消し飛ばしてきてしまった!
なんかやたらと強いな。あれ、なんかこれ神代魔法っぽくね? やべぇ、気を抜いたら死ぬ! 空気も有害だし、まるで地獄じゃねぇか! 面白い! シア、冒険デートだ! と思っていたのだが……
まさか、大正解だったなんて!
地味にショックを受けているハジメは、小声で「いくつか聞いたことのある名前だと思ったんだ……気付けよ、俺」と呟きながら、更に「あれだよな。悪魔だし、不滅の存在だよな? ちゃんと復活するよな?」と呟く。
クラウディア達に縋るような目を向けて。
クラウディア達は、スッと目を逸らした。
が、その直後、ハジメはふざけた雰囲気を消して目を細めた。シアも、目を細めて大地の穴を見る。浩介達も気が付いた。何か、強大な気配が迫ってきている。下層から。
「やっぱり逃がす気はないみたいだな」
「血湧き肉躍る素敵な冒険デートでしたけど、あいつら――ええっと悪魔さん達……のせいで碌に観光もできませんでしたね~」
心当たりがあるらしい。
よく見れば、ハジメもシアも、大きな傷はないようだが、かなりボロボロだ。相当激しい戦闘を繰り広げたことが窺える。同時に、二人をそんな姿にした〝あいつら〟とやらに、浩介は戦慄せずにはいられない。
その〝あいつら〟とは、言わずもがな。下層の大悪魔達だろう。
余裕っぽい言動のハジメとシアだが、二人の目は鋭く、一切の油断がないことは明らか。
「南雲、どういうことだ? なんで追って――」
「待たれよ」
片手を突き出して、浩介の言葉を遮るハジメ。表情は真剣なのに、微妙にふざけて見えるのは気のせいか。
てくてくと大穴の近くまで歩み寄っていく。そして、宝物庫を光らせて、何やら「よいしょっ」と大きな球を取り出した。運動会で使う大玉くらいの大きさの金属球だ。
それを、無造作にぽいっと大穴へ落とす。
てくてくと戻ってくるハジメさん。
直後、凄まじい衝撃と激震。そして、大穴から目を灼くような光の柱が飛び出し天を衝いた。
「南雲くん、南雲くん。今、何した?」
「太陽光爆弾を落としただけだ。追ってくる連中、どうやら魔力以外に太陽の光も苦手みたいなんでな」
「太陽光爆弾って、おまっ」
かつて、神の使徒すら消し飛ばした、宝物庫を利用した太陽光爆弾〝ロゼ・ヘリオス〟の進化版。
動揺する浩介を見て、何を勘違いしたのか、ハジメはビシッとサムズアップすると安心させるように胸を張って言った。
「心配すんな。地下の目に見える範囲は全部、消し飛ぶぜ♪」
「威力の心配をしてんじゃねぇよ! いや、ある意味威力の心配をしてるんだけども!」
あの、歴史のありそうな地下都市は、もう見られないらしい。
追っ手の先陣をあらかた吹き飛ばしたようで、迫ってくる気配が少し遠のいたのを確信したハジメは、何事もなかったように話の続きを口にした。浩介は、もう突っ込むのを止めた。
「で、さっきの質問についてだが……飛ばされた場所に怪物――まぁ、悪魔がいたんだよ。で、俺達は観光したいだけなんですがと、懇切丁寧に説明したんだが問答無用に襲われてな?」
英国の森で、神秘探索デートをしていたハジメとシア。当然みたいな感じで、本当に本物の森の魔女さんと出会った。で、森の魔女さん、割と邪悪だった。なので、ハジメさんは森ごと森の魔女さんを焼いたのだ。
が、森の奥には地獄に通じやすいスポットがあったようで、最後の最後に魔女の力で地獄に落とされたのである。その場所が、地獄の下層だったわけだ。二人はずっと「ドキワクで素敵に殺伐とした異世界だぁ!」と思っていたのだが……
ともかく、そこで下層の悪魔に襲われたわけである。
自称模範的な日本人であるハジメは、取り敢えず、現地民との戦闘を避け、近くに下層へと通じる階段があったのでそちらに逃げたらしい。すると、更に強力な悪魔が現れて、やはり問答無用に襲われた。
縄張りだとか、人間が何故とか、侵入者だからとかいろいろあるが、シアを狙った辺りで、まぁ一悶着あったのだ。
魔力が桁違いにあって、健康体どころか頗る付きで頑丈な女という点で、悪魔的にどう見えるか推して知るべし。
そうして、もしかすると、ここは異世界のオルクス大迷宮のような場所かもしれないと思ったハジメとシアは、文明と平和的な現地民を求めて、襲い来る悪魔と割とマジな死闘を繰り広げながら岩盤をぶち抜いて上がってきたというわけである。
「地上には出られましたし、まさかの再会もできましたけれど……九階層程度とはいえ結構苦労して上ってきたのに、収穫ゼロですね。現地民さん、みんな悪魔だし。ハジメさんが、消し飛ばしちゃいましたし」
シアの、〝九階層〟という言葉に、クラウディア達が「ぶふぉっ!?」と噴き出した。
それは、地獄の最下層だ。書物に出てくる名付きの大悪魔がはびこる正真正銘の地獄。そこを、岩盤をぶち抜きながら移動してきたというのだ。
エクソシスト的に、白目を剝くのは避けられない。
しかも、
「ファーストコンタクトで失敗したな。悪魔と知っていれば、戦う前にもうちょいやりようもあったかもしれないのに……」
「そうですかね? 悪魔で、しかもハジメさんの前に立った時点で、結果は見えてると思いますけど」
「いや、何言ってんだ、シア。お前のせいだぞ。お前が百トンハンマーで、あの城っぽいのぶっ潰したせいだ。めちゃくちゃキレてたじゃねぇか。あいつ名前なんてたっけ? 確か、聞いたことのある名前だったぞ。回避に必死でちゃんと聞いてなかったけど」
「ちょっと、ハジメさん。あれは正当防衛の中の、悲しい事故ですよ。というか、何を人のせいにしているんですか。ハジメさんだって、私を狙っていると分かった途端、キレてヒュベリオンの水平撃ちしたじゃないですか。あれで神殿みたいなところ、周囲一帯ごと更地になったでしょう? 悪魔さん達が引っ込みつかなくなった原因、絶対にあれですよ。なんか偉そうでヤバそうな奴がめちゃくちゃキレてたじゃないですか」
城持ち、神殿持ちの名付き悪魔……。おそらく縄張りの本拠地だろう場所を破壊……。
最下層から、大悪魔の集団が、ガチギレ状態で追ってきている……
「あはは……ふぅ~~~」
「あぁ!? クラウディア様! お気を確かに!」
クラウディアがふっと意識を手放した。アンナが慌てて支えるが、彼女も目が死んでいる。
「ああもうっ。南雲、クリスタルキーだ! 早く現世に戻るぞ!」
「ん? 大悪魔の集団、どうにかした方がいいだろう?」
浩介は、少々焦りながらも要点を説明した。
すなわち、地獄の住人は、基本的に自力で現世には出現できない。
信仰心による力の増大と、それをなし得る権能を持っていたアンノウンという大悪魔は討伐した。
現状、地獄から現世への道は、全てバチカンに集約されるよう手が打たれている。向こうにはユエもいるし、クリスタルキーを使えば、そこを完全に閉じるだけで地獄との繋がりを完全に断てる。
「なるほど。なんか、俺達が地獄で冒険デートしてる間に、いろいろあったみたいだな……まぁ、いい。詳しい話、後で聞かせろよ? 転移場所は、サン・ピエトロ広場でいいな?」
「おう。頼む」
ハジメが羅針盤を取り出して転移先を確認している間、浩介はぽかんっとしているクラウディア達に視線を向けた。
「ははっ、一時はどうなるかと思ったけど、もう大丈夫だ」
「あの、浩介様……その方は、やはり……」
クラウディア達の視線が、シアに抱きつかれながらも座標位置を特定したらしいハジメに注がれる。
浩介は、鼻を擦りつつ、ちょっと照れくさそうに、あるいは誇るように答えた。
「ああ、あいつが南雲ハジメ。俺の、俺達帰還者の――魔王様さ」
同時に、巨大で荘厳な扉が、何もない空間に突如として出現した。言わずもがな、クリスタルキーによる演出過剰な〝ゲート〟だ。
「――〝解錠〟」
ゴゴゴッと無駄に迫力を出しながら、光溢れ出す感じで開いていく扉。ただの映像投射なのだが、クラウディア達からすれば神の御業の如く、だ。
「こ、個人の力で、世界の隔たりを自在に……」
「あはは……道理で、世界規模の情報統制とかできちゃうわけですね」
「なんて力……」
もはや乾いた笑い声をあげるしかない状況に、エクソシスト達の目が死んでいく。
「さて、状況から察するに、うちの尖兵が世話になったようだ。礼というほどでもないが、現世への片道切符を贈らせてもらおう」
そう言って、ゲートから溢れ出す特に意味のない光を背後に振り返ったハジメ。まるで後光が差しているような光景に、信心深いクラウディア達は息を呑まずにはいられない。
ただの映像投射だが。
直ぐに動けないクラウディア達の前に、浩介が立った。そして、ニッと少年のように笑って手を差し出した。
「俺達はやり遂げた。あとは仕上げだけだ。顔を上げて、胸を張って――帰ろうぜ?」
その言葉に、姿に、クラウディアは視界が滲んだような気がした。乾ききった世界なのに、瞳に感じるのは熱く、溢れ出そうな雫。
差し出された手を、そっと取った。力強く、握り返される手。自然と浮かぶ、極上の笑み。
クラウディアは、ただ一言。
「はいっ」
元気に、そう返事をした。
ウィン達も、肩の荷を下ろしたように自然な笑みを浮かべ合って、クラウディアの後に続く。
「うわぁ、あれ落ちてますね。エミリーちゃん、大丈夫ですかね~」
「ラナがなんとかするだろ。正妻なんだし」
ヒソヒソした声が聞こえたが、浩介イヤーは何も聞こえなかった。
ことにした。
いつもお読みいただきありがとうございます。
感想・意見・誤字脱字報告もありがとうございます。
この後、19時に「エピローグ 下」を投稿します。
これで深淵卿編第二章は終了です。
かなり長くなってしまいましたが、お付き合いいただきありがとうございました!
※ありふれた〝日常〟 17話が更新されています!
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白米的に、今回はティオの真顔での「絵面」がツボでしたw
あと、今話の「待たれよ」は逆輸入です。森先生、いつもお借りしてすみません、そしてありがとうございます!