表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マギクラフト・マイスター  作者: 秋ぎつね
48 年末年始アヴァロン騒動篇(3899〜3900年)
1779/4252

48-08 アヴァロン案内

 顔合わせも一通り済んだので、そのまま昼食会となった。

 自動人形(オートマタ)である礼子とエレナ、レイ、花子、ゴーレムのホープとウラガンを除いた全員の前に、『アヴァロン』標準の定食が並べられていた。

 仁とシオンが、『アヴァロン』の食事水準を知りたいと言い出したためである。


「来賓の方にはもう少しよいものをお出しするのですが」

 と言い訳めいたことを口にする最高管理官トマックス・バートマンであるが、仁とシオンは満足している。

「いえ、これで十分ですよ」


 因みにこの定食は日替わりで、基本的に『職員』は皆同じものを食べることになる。給与の一部ということなのだ。

 もちろん、自分でお金を出し、食堂で好きなものを注文することもできる。

 給食のようなものと思えばよいだろう。

 この日の昼は、『ハンバーグ定食』であった。

 コッペパン、野菜スープ、ハンバーグ、フライドトポポ、葉野菜のサラダ、フルーツジュース。

 食後には紅茶かコーヒーを選べる。

 仁としては、どこのファミリーレストランだ、と言いたかったようだ。


「お、美味い」

「美味しいわね」

「美味しいです」

 仁、シオン、マリッカは素直に美味い、と思った。

「うむ、なかなか」

 デウス・エクス・マキナ3世も食べながら感想を言っている。

 もっとも彼は老君の配下『導師』が操る自動人形(オートマタ)なのだが、その正体を悟られないためにこうして食事をしているわけだ。

 ただ、仁はパンでなくライスがほしかった、と思ったのであった。


*   *   *


 食事後、仁は紅茶をチョイスしてゆっくりと味わっていた。

「午後はどうなさいますか?」

 トマックスが仁に尋ねる。仁は少し悩むように考え込んだ。

「そうですね……見学をしてみたいですね」

 視察ではなく、と付け加える。そんな上から目線ではなく、純粋に今の『アヴァロン』を見てみたい仁であった。

「でしたら私どもも」

 ロードトスが申し出た。

「あ、それでは私も」

 エレナも同様。

 結局、マキナ3世を除く全員が『アヴァロン』の見学を申し出たのであった。

「でも、昨日から来ていた方々はかなり見て回っているのでは?」

 仁が疑問を口にすると、

「いえ、視察していたのはマキナ殿だけですので」

 と、トマックス・バートマンが答えた。

「私も、このような方々とでしたら、もう一度回ってみたいですね」

 マキナ3世もそう言いだしたので、結局全員が『アヴァロン』見学をすることになったのであった。


*   *   *


 今回の移動はゴーレム自動車だ。全員が乗ることはできないので、4台に分乗する。

 仁、礼子、ホープで1台。ロードトス、シオン、マリッカ、ウラガン、花子で1台。エレナ、アリエッタ、ワッテス、で1台。マキナ3世、レイで1台だ。

 仁の車にはトマックス・バートマンが同乗し、他の3台にも『アヴァロン』の幹部クラスが同乗することになる。


 迎賓館を出た一行は、緑地を抜けていく。

「左手にありますのが『世界会議』の本部です」

 『世界会議』本部は『アヴァロン』の中心部にある直径300メートルの開口部の北端に建っている。

「開口部は海まで続いておりまして、波が穏やかなので水泳訓練や船の試験航行などに使われています」

 トマックスが説明した。

 因みに、魔素通信機(マナカム)に似た魔導具が各車に備え付けられており、移動中でも会話が可能だ。


 『世界会議』本部から『アヴァロン』外周部へ向けて北上する大通りを、一行を乗せたゴーレム自動車は進んでいった。

「一旦外周部に出ます。この『アヴァロン』は直径2キロメートルのメガフロートでして、外周部を1周するように道路が設けられております」

(そのあたりは変わっていないな……)

 仁は説明を聞きながら懐かしい風景を眺めていた。

 ゴーレム自動車は外周道路を反時計回りに回っていく。


「このあたりが第1居住区ですね。主に学生が住んでいます」

「懐かしいわね」

「そうですね」

 ロードトスとマリッカは目を細めた。

 2人とも、一時この居住区に住み、教鞭を取っていたことがあるからだ。


 そしてゴーレム自動車は飛行場に着いた。

「こちらは一般用の飛行場です。『アヴァロン』のちょうど真西に当たります。因みにジン殿が着陸された飛行場は真東にあり、向こうは『空港』と呼びまして、公的なお客様用です」

 さらに左回りに道路を移動していくと、小さな緑地を抜け、また居住区になった。

「一般人用、第2居住区です」

 『アヴァロン』の一般業務に従事する人々用だと説明された。

「あ、それから工場勤務も含みます」

 一行は大きな工場区に差し掛かった。

「地下も含めた、『アヴァロン』最大の工場区です。『世界警備隊』の武装から、事務用のメモ用紙に至るまで、このエリアで製造されています」

「あ、北側に見える緑地は何ですか?」

 仁が質問をした。

「ああ、あそこは畑です。自給自足は無理ですが、少しでも新鮮な野菜を手に入れられるようにということで」

 これは400年前にはなかったものだった。

「果樹もありますね?」

 目のいい礼子が確認するように質問した。

「ええ。暖かい気候を好むシトランとラモン、それにペルシカを少々」

 そして着いたのは円形が一部切り取られたようになった部分だ。

「ここは『アヴァロン』唯一の港です」

 巡洋艦以上の船舶はここを使うのだという。

 それ以下の大きさの船は、メガフロートである『アヴァロン』の側壁に幾つかある桟橋を使うのだ。

 因みに『アヴァロン』でいう巡洋艦は全長50メートルの木造船である。


 外周を巡る道路は、この部分で港を避けるようにカギ型に曲がり、港以降はまた円弧を描いて、仁が着陸した東側の飛行場、通称『空港』へと続いていた。

 一行を乗せたゴーレム自動車は、『世界警備隊』本部前で停車した。

 ほぼ外周部を1周してきたことになる。

「以上、駆け足で『アヴァロン』の地上部をご案内致しました。何か疑問点はございますでしょうか?」

 少し間があり、誰も口を開かない。そこで仁が発言を行う。

「概略はわかりました。できましたら『学園』を見てみたいのですが」

 マリッカやロードトスが一時講師を務めていた『学園』。仁はそこを自分の目で見たかったのである。

「なるほど。ですが、今は冬期休暇中なので、学生はおりませんが、それでもよろしいですか?」

「ええ、構いません」

 ここでロードトスが合いの手を入れた。

「一部の研究室には学生や教授がいるのでは?」

 講師として在籍していた彼ならではだ。

「ええ、確かに。ではまいりましょうか」

 ゴーレム自動車は再び動き出し、一行は『学園』を目指したのである。

 いつもお読みいただきありがとうございます。


 20180131 修正

(誤)そして着いたのは円形が一部切り取られたように部分だ。

(正)そして着いたのは円形が一部切り取られたようになった部分だ。


(誤)自動人形(オートマタ)である礼子とエレナ、レイ、

(正)自動人形(オートマタ)である礼子とエレナ、レイ、花子、

(誤)ロードトス、シオン、マリッカ、ウラガンで1台。

(正)ロードトス、シオン、マリッカ、ウラガン、花子で1台。


(旧)メガフロートである『アヴァロン』の側壁に幾つかある桟橋を使えるのだ。

(新)メガフロートである『アヴァロン』の側壁に幾つかある桟橋を使うのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ