47-42 懐かしの屋敷
手違いで1/14に 47-43 を投稿していました。
本当はこちらが先に投稿されるべきでした。お詫びして訂正します。
割り込み投降は予約投稿できないので、明日留守にする関係上、気が付いた今投稿いたします。
一方、ココナに案内されていくロードトスたち。
「本当に、先代様の奥様でいらしたエルザ様がお作りになった自動人形、エドガーさんなのですか!?」
エドガーを紹介されたココナは、目を丸くして驚いていた。
「はい、奥様」
エドガーが答えた。
「私はエルザ様に作っていただきました」
「まあ」
ココナは言葉をなくし立ちすくんだが、すぐに我を取り戻すと、
「あら、いけない。……お部屋を案内しましょうね」
と言って3人と4体の案内を再開する。
「こちらをお使いくださいな」
ココナが案内していったのは2階の西側。
そこには廊下を挟んで3部屋の客間がある。
廊下の南側には2間、北側には1間。
「私は北側にしよう」
「じゃ、あたしは一番西側」
「うん、僕はその隣でいいです」
特にもめることなく部屋割りが決まった。
「……こちらも変わっていませんね」
客間を見てエドガーが呟いた。
「ええ、代々のニドー家が守ってきたと聞いています」
ココナが答える。
「こちらはエルザ様のご母堂、ミーネ様が使ってらしたお部屋ですね」
北側の客間の隣にある部屋を指してエドガーが言った。
「まあ、そうなのですか」
それはココナも初耳だったようだ。
「今は空室になっておりますのよ。1部屋が小さめなので、客間としては使っていませんの」
確かにその部屋は二間続きではあるが、広い部屋は落ち着かないというミーネの要望により、1部屋が6畳くらいと、12畳ほどもある客間に比べて半分の広さしかないので貴族のお客には向かないと判断したとのことであった。
「そうなのですか」
「ごらんになります?」
「いえ……はい、是非お願いします」
エドガーは、創造主の母の部屋を見せてもらうことを一瞬躊躇ったのちに懇請した。
「はい、どうぞ」
ココナは微笑みながら扉を開く。覗き込んだエドガーは、
「ああ、ここもそのままです。お守りくださりありがとうございました」
と言ってココナに頭を下げたのであった。
「ええと、エドガー? ここがジン様の奥様だったエルザ様のお母さまが使っていた部屋? 随分質素だね?」
同様に覗き込んだシュウが少し不思議そうに言う。エドガーは静かな声で説明をした。
「はい、そう見えるかもしれませんね。エルザ様のご母堂でいらっしゃるミーネ様は、元は侍女であられたそうですので、質素を旨となされたようです」
「まあ、そうなの?」
ココナも初耳だったらしく、エドガーの説明を聞いて少し驚いたようだった。
「ふうん……。うちのおばあちゃんも質素な部屋が好きなのよね」
ルビーナもそれを聞いて、1人頷いていた。
* * *
そんな一幕もあったが、一行は皆それぞれの部屋に落ちついた。
いろいろあった12月16日も夕暮れとなっていた。
「いやあ、長い一日だったな」
仁がしみじみとした口調で言えば、
「いろいろバタバタしましたねえ」
と、ロードトスも相槌を打った。
「明日は島に帰るんでしょう?」
ルビーナが確認するように尋ねてきたので、仁は『うん』と頷いた。
「もう少し居たかったですけど……名残惜しいです」
シュウがそんなことを言った。
「今回は仕方ないな。また次の機会に、だな」
仁は2人の反応を当然だろうと思っている。引き籠もっていた狭い世界から飛び出し、広い世の中を見たのだから当然の反応だ。
「次の競技は……そう……おっと」
仁は危うく競技内容を口にしそうになってしまった。
(レグレイは自分で競技を考えたようだが、それを参加者にいつ伝えたのかな……)
などと考える仁。そう、開催場所やルールを発表したのが競技直前だったら、レグレイが非常に有利だからだ。
(まあ、他の参加者が十分に準備できるくらいの余裕をもって伝えたんだろう……)
「……とにかく、帰ったら次の競技だ。準備期間は1週間くらいだな。頑張れよ」
「うん、頑張るわ! そしてまた、外の世界に連れてってもらうの!」
「頑張ります!」
ルビーナとシュウは元気よくそう答えたのだった。
夕食後仁は、久しぶりに『屋敷』の風呂に入り、書斎で泊まった。
書斎のソファはベッドになるように作られた、いわゆる『ソファベッド』なのだ。
「作ってから400年経って初めて使うっていうのも凄い話だな」
忙しいときに書斎で仮眠を取れるようにと作っておいたものだ。
「備えあれば憂いなし、ですね、お父さま」
礼子が変なフォローをしてくれた。
「まあいいや。今日は何となく疲れた」
再び『帝室名誉顧問』となり、ショウロ皇国との絆ができた。
今の皇帝陛下も人格者のようで、仁としても安心であった。
「お父さま、ごゆっくりお休みください」
「うん、そうさせてもらうよ」
* * *
翌日。
早朝、仁はホープとエドガーを『コンロン3』の回収に送り出した。
そうすると、ちょうど朝食を取り終わった頃、屋上の離着陸床に『コンロン3』が到着するのだ。
400年ぶりくらいにロイザートの屋敷屋上に駐機されている『コンロン3』。
それを見て、ダイキとココナは感激しているようだった。
だが、仁がお暇する、と告げると、
「ジン様、もうお帰りなのですか?」
「もっとごゆっくりしていただきたいと思っておりましたのに……」
「いや、またゆっくり来るから。今回は元々短期滞在の予定だったし」
ロイザートを発とうとする仁一行を、ダイキとココナは至極残念そうな顔をしつつも見送ってくれた。
「で、ジン様、すぐに帰るの?」
「いや、『コンロン3』で、一度宮城へ行く」
「なんで?」
ルビーナが不思議そうな顔をする。
「アーネスト17世が連れていたロッテを診察してやろうと思ってな。……それにルビーナ、ロッテはお前の先祖、ビーナが若い頃の姿を模したものなんだぞ」
「えっ!? そうだったの?」
どうやらルビーナは、そういった話は聞いていないようだった。
「そういうわけでな。さあ行くぞ」
『コンロン3』は、宮城目指し飛行していった。
いつもお読みいただきありがとうございます。
本日15日早朝より明日16日昼過ぎまで外出いたします。その間レスできませんので御了承ください。