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鬼殺し
意識が闇の中へと沈んでいく。
その僅かな時の間に、俺はこの温もりをずっと、ずっと感じていたいと、心の底から求め続けていた。
それは彼女が窓の外に目をやった時だった。
彼女が聞き取れない声で何かを呟いたので思わず耳を寄せると、いきなり両頬を押さえられた。
突然の出来事に驚いていると、今度は唇に柔らかな温もりを感じる。
彼女に押しつられた唇の向こう側から、謎の液体が俺の口内へと流れ込む。
恐らく、それは先程まで杯に満たされていたものだろう。
それが喉元を通過した時、俺は身体が焼けるような感覚と共に、急激に意識が遠のいていくのを感じた。
意識が朦朧とする中、彼女が俺に向けて何かを囁いているのを感じる。しかし、その言葉はほとんど聞き取ることが出来なかった。