手を繋いで二人

女というのは基本的に、計算高くて甘ったるくて卑怯な生き物だーー騙され続ける父親を見て育ったせいで女嫌いになった小学生・兵伍はある日、道路にふらりと飛び出しかけた中学生女子を目撃し、慌てて助け出す。今にも死にそうな風情の少女に関わりたくないと思う兵伍だったが、良心の声に耐え兼ね、結局家に泊まらせることに。
やがて少女の辛い事情が明らかになり、兵伍のトラウマの元凶も現れる。学校では不穏な空気が流れ、頼れるはずの大人に逆に頼られる始末。どう行動するのが正解か、少年にはわからない。だが何が起ころうと人生は続く。今この時できる限りのことをするしかないのだ。
ダメな大人と過酷な環境に翻弄されながら、少年と少女は少しずつお互いを知り、傍にいることに慰めを見出していく。