192 干し肉の約束
「すごいのよ!リリアンヌ様も、狩りが上手なの!すごいのよ!」
あ、そういえば女性なのに……貴族か豪商かなにかのご令嬢……ご婦人のように見えるのにすごい。
「ふふふ、淑女のたしなみ程度ですけれどね」
え?
淑女のたしなみ?
この世界って、狩りくらい朝飯前が普通レベル?
……そりゃ、私5歳児以下のレベルと言われるわけだ……。これは、本当に、レベル上げを頑張らないと……。
血抜きのために猪と兎を吊り下げて、二人は干し肉を大事に抱えて帰っていきました。
1~2か月したらまた来るそうです。……リリアンヌ様も。
あれ?
屋敷を離れられないと言ってませんでした?
働かざる者食うべからずだから?って、え、違う、そうじゃないよ、えー?
まぁ、いいか。うん。次に会った時に誤解を解こう。
うーん。というわけで、何やらえーっと、肉の処理をしなくちゃならないみたいです。
明日でもいいですかね?
そろそろ夕日が沈みかけてます。
猪と兎。私とキリカちゃんとカーツ君の3人……。どう考えても今からじゃ、日がとっぷり沈むと思うんだけど……。一晩つるしとくの危険かなぁ?
あれ?でも、もしかしてハンノマ印の包丁があれば、あっという間に終わるかな?
そうだよ!ハンノマさんの包丁、切りたいところを思い描いてちょっと包丁突き刺すだけですぱーんだもん。
……って、皮を剥ぐのって、スパーンじゃ無理かな?
うーん。
「ユーリお姉ちゃん、何を考えてるの?夕飯のこと?」
あ、そうか。夕飯の準備もしなくちゃね。
「俺、鳥小屋行ってこようか?卵探してくる!」
「ま、待って!カーツ君!」
慌ててカーツ君を引き留める。
「卵を見るのは、朝なら朝と決めて、毎日同じ時間に取りましょう。しょっちゅう人間がウロウロしていたら、鶏も落ち着かないだろうし、ストレスがかかると卵を産まなくなっちゃうかもしれないからね」
「ストレス?」
キリカちゃんが首を傾げた。
あれ?
ストレスって言葉は一般的じゃない?
「分かった。じゃぁ、朝いちばんに卵は見に行くことに決めるよ!」
うん。そうだね。朝採れ卵とかおいしそうな響きだ。
「えーっと、じゃぁ、何を手伝えばいい?」
「あのね、キリカもお手伝いするのよ!」
「ありがとうね。何を作ろうか?」
3人分の料理。
小屋のすぐ近くには、冒険者の姿も兵の姿もいなくなった。
あ、そういえば……。
小屋の中に入ると、大きなツボがドーンとテーブルの上に置いてある。
蓋を開けると、甘い蜂蜜の香りがふわり。
「わー、はちみつだ。こんなにたくさんすごいのよ!」
そう。兵がお礼にってくれたんだった!
蜂蜜、蜂蜜!
「カーツ君、今日だけは予定変更して、卵取ってきて!」
パンケーキを作ろう。またの名をホットケーキ。
小麦粉もある。砂糖もある。
蜂蜜もある。それから、ふっふっふぅー!
じゃじゃーんと、泡だて器を取り出す。
泡だて器もありまぁす!バンさんに作ってもらった泡だて器です!
「キリカは何をすればいいの?」
えーっと、泡だて器は一つしかないし、他にすることもないよね……。
あ、そうだ。
「じゃぁ、カーツ君が戻ってきたら、リリアンヌ様が取ってきた兎をさばいてくれるかな?」
「わかったのよ!キリカ頑張るのよ!」
兎ならサイズが小さいし、それほど時間もかからないよね。2匹あるから、カーツ君とキリカちゃんと一羽ずつ。あ、急に思い出した。兎は羽で数えるんだ。
ホットケーキと、何を作ろう?兎で……兎のパイとか……あぁレシピは分からない。
いつもありがとうございます。
さて、リリアンヌ様、帰っちゃった(´・ω・`)でも、また来るって。
こっちではリリアンヌ様って、誰?のままなのね。まぁいっか。
誰か知りたければつぎくる版にあるよ。まぁ知っても知らなくてもどうでもいいんですが。
なろう版では知らない設定で進めていくので。
さて、「ハズレポーションが醤油だったので料理することにしました」2巻の発売まで1週間を切りました。うひゃー。よろしくなのよー。3巻出てほしいの。
内容は、えーっと、なろうとほぼ変わらないです。ただ、加筆部分……量は少ないけれど話が大きく動きます。そして、動いた話の流れで、このままなろう版とは袖を分かつ分岐点となる2巻でございます。
なので、3巻出ないと分岐版がお蔵入り……とか書いたら書籍売るためのなんたらかんたらの規約違反だとかおっしゃる方もいましたが、もう一度しっかり規約を読み返し(多分どなたかすでに通報したようですが、別件で運営から連絡もらったものの小説に関しては何もないので)本当に大丈夫なんですよ?
(´・ω・`)あかん、これ以上書くと愚痴と恨みつらみになってしまう……( ;∀;)