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前衛的悪役令嬢

悪役令嬢・音楽・シミュレーションゲーム†LEGGENDARIA

作者: momoyama

「マリア、お前との婚約は破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄させてもらう!……って何だ今のー!?」

「よし、最初の初見殺し交互連打ゾーンは抜けたな」

「こ、交互連打……? マリア、よく分からんがお前がさっきのおかしな現象を起こしたのか!?」

「いいえ、原因はこの作品が『悪役令嬢・音楽・シミュレーションゲーム†LEGGENDARIA』だからよ。これが通常の『悪役令嬢・音楽・シミュレーションゲーム』のバージョンだったらさっきの交互連打は無かったから簡単なんだけどね」

「くっ……よく分からんが何か魔法を使ったわけか!? 衛兵! このぶーーーーーーーーーーーーれーーーーーーいーーーーーーーーなーーーーーーー女をつーーーーーーーーかーーーーーーまーーーーーーーえーーーーーーーよーーーーーーー!」

「よし、長押しゾーンも上手くいったな」

「いや何なんだよこれはっ!? 何がしたくて私の喋り方をおかしくしてるんだお前!?」

「だから原因は私じゃないって。恨みたいなら譜面を作ったビータニア国王……通称『DJ.BITA』に言いなさい」

「父上が原因なの!? てか譜面ってなんだよ!? と言うか父上の通称変じゃないか!?」

「変じゃないわ。ビータニア国王は他にも『金竜』とか『グローバル緊張姉妹』とか『ウルトラマター翔』とか名乗ってるから、それに比べたら普通よ」

「何その変な通称!? 父上何を思ってそんな通称を名乗ってるんだよ!」

「同じ名義の作品ばっかだと代わり映えの無いラインナップに見えたりボス曲が特別に見えなくなったりするから、かしらね……」

「ええいっ、わけわからん!(チュクチュク)とにかくお前は(チュクチュク)この私の権限で身柄を確保する!(キュワキュワヂューン!)……ってなんだこの音!?」

「ここのスクラッチがいつもミスっちゃうのよねー。今回は上手くできたけど」

「訳が分からなすぎる……っ!」


 するとそこに、聖女リフレがやってきました。

 

<<3person play>>

<<second tune>>

<<ready……go!>>


「王子……私のために頑張ってくれているのですね……」

「む、リフレか。ってかなんだよ今の声は……」

「よくあることですからお気になさらず。それよりどうしたんですか? 顔色が悪いですよ?」

「あ、ああ。実はマリアを断罪しようとしたが、訳の分からない魔法で邪魔してくるんだ……」

「分かりました。私の呪文でなんとかしてみます」

 聖女は手のひらに魔力を込めると、呪文を唱えました。

「●   ● ●  ●●● ●○●○● ●○●○● ●○○○○○○○○○ ●●● ●○●○● ●○●○● ●○○○○○○○○○」

「イヤイヤイヤ、何それどんな呪文!? どうやって発音してんの!?」

「音で表すと『ドン ドン ドン ドコドン ドカドカドン ドカドカドン ドカカカカカカカカカッ ドコドン ドカドカドン ドカドカドン ドカカカカカカカカカッ』と読みます」

「読めねーよっ!! なんで黒い丸が『ド』になって白い丸が『カ』になるんだよ!? しかもなんでちょくちょく『ン』と『ッ』と『コ』が混じるんだよ!?」

「よくあることです」

「どんな『よくあること』だよ!?」

『ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!』

「え、マリアに意外と効いてる!?」

「いえ、あれは暗号を間違えた時の声です。剣と魔法の世界で暗号を間違えるとよくあることです」

「お前さっきから『よくあること』で片づけ過ぎなんだよっ!? 俺はんなもん知らねぇっての!!」

「ひ、ひどいですわ王子……私がマリア様に『ミラー使うプレイヤーは雑魚』っていじめられていた所を助けてくれた優しさはどこに行ったんですの?」

「い、いや、そんないじめをされてたって聞き覚えないし意味も分かんないから……。私はお前が『マリアに階段に落とされた』って聞いたから……」

「いえ、あれは『マリアさんの作った階段譜面で落とされた』が正しいです。あぁ、あのクッソひどい階段譜面のせいで段位認定に受からないのです!」

「もうちょっと一般貴族に理解できる言語で喋ってくれないか!?」


 と、その時リフレと王子の会話を聞いていたマリアがふいにため息をつきました。

 

「はぁ、やれやれ。まさか聖女リフレがここまで電波とは思いませんでしたわ。そもそも最近婚約破棄物のヒロインも音ゲーの楽曲も電波が増え過ぎで嫌になりますわ。私としては『HIPHOP』『AMBIENT』位の硬派なジャンルが欲しいですわね」

「な、なにを言うのですか……。私は電波じゃありません! あとついでに言うと電波曲が増えたのは人気が出やすい上BGMの音が多かったりBPMが高い所為で難易度を上げやすいからです! BPMが低い『HIPHOP』『AMBIENT』じゃ今どきの高速ピロピロ楽曲戦争で個性なんて出せないんです! 古参の廃人だからって何言っても許される訳じゃないですよ!」

「ふん、個性なんて何とでも出せるでしょう。『HIPHOP』もスクラッチを大量に投入すれば個性が出るし、『AMBIENT』もLEVEL1の楽曲として出せば初心者のお世話になりやすいわ」

「スクラッチを大量投入しようが『TECH-BREAKBEATS』とかに勝てるわけないです! 『AMBIENT』も最近望みの綱である『PIANO AMBIENT』が段位認定からリストラされました! もはや誰も必要としていないのです!」

「おいお前ら、俺の知らない単語使ってわけのわからない論議を重ねるな」

「そうですわね、話題がずれてしまいました。いいですかリフレさん、貴方先ほど私の譜面で落とされた、とか私に暴言を吐かれたと言われましたが……そんなのあり得ませんわ」

「えっ」

「まず『私の譜面で落とされた』という部分ですが……残念ながら私は譜面を作った事はありません。確かに私は音ゲー好きが高じて自分の楽曲を音ゲーに提供しております。しかし提供した楽曲の譜面制作は全て別の方が担当しているんです」

「な、なんですって!」

「そして『ミラー使うプレイヤーは雑魚』、と言われたと主張していますが……私は日常的にミラーオプションも使っていますわよ?」

「そ、そんな……あなた、難易度を下げるオプションは使わないって公言してたはずなのに……!」

「それはあなたに仕掛けた罠ですわ。ミラーは難易度を上げる事も出来ます。皿との絡みで難しくできる譜面もありますからね」

「くっ……」

「まったく、王子に気に入られるために罠にかかってそんな嘘をつくなんて。王子の裁きを受けるべきなのはあなたのようですね!」

「前提情報が分からなさ過ぎてどこが『罠』でどこが『嘘』でどこが『裁き』のポイントなのか分からないんだが……」

「王子のために補足情報を加えておきますと、『罠』は【DRUM'N'ROCK】で、『裁き』は【NOSTALISH REQUIEM】ですわ。『嘘』は……収録当時からジャンル名が無い状態ですわね、機種と立ち位置的に」

<<ゴー ビヨン! パンッパンッパンッ>>

「やめろーっ! 意味がわからないせいでどうしようもない補足情報やめろーっ! ……てか今の声はなんだー!?」

「王子が発狂したからですわ。発狂前のサインが鳴ったんでしょうね」

「もう訳わからんーっ! 俺は普通に婚約破棄婚約破棄婚約破棄婚約破棄婚破約棄婚破約棄婚破約棄婚破約棄棄婚破約棄婚破約棄婚破約棄婚破約棄約破婚棄約破婚棄約破婚棄約破婚したいだけなんだー! ……ってまた『婚約破棄』って発言がおかしくなってるーっ!」

「大婚約破棄ステージは14」

「大婚約破棄ステージは16」

「何の採点してるんだお前らっ!?」


 三人そう言い争っていると、周りを取り囲んでいた衆人をかき分けて皇太子が乱入してきました。


「ウッホ! ウッホウッホ! ウッホウッホウッホ!」

「あ、兄上! 何でここに!? と言うかなんでゴリラ口調なの!?」

「皇太子様は皆伝、ライセンス神、暴龍天、最高師範、達人、overjoyなどの異名を持っていますからね。ゴリラになるのも当然ですわ」

「異名持つだけでゴリラになるだなんてそんなのあってたまるかぁっ!」

「ウホホウホウホホ! ウッホホ!」

 皇太子が号令をかけると、王子とリフレの周囲を兵士たちが囲みました。

「な、なんだお前たちは!?」

<<まさかの3000コンボ!?>>

<<スゲスゲヴォーッ!!!>>

<<君婚約破棄上手いねぇ!>>

「ご覧の通り、この国の精鋭兵士達ですわ。皇太子様をお守りしている手練れの者です」

「全然手練れ感がないよー!? 有名人に取り巻く一般人みたいな声発してるよー!?」

「ウウホホウホホ! ウホホホー!」

「皇太子は『周りの順番待ちしているプレイヤーを無視しマリアを専有するとは言語道断! 更にリフレと二人で協力して婚約破棄を行うのは、1人プレイ前提のマリアに対してあるまじき行為だ! よって貴様らをこの国から追放する!』と言っておられます」

「順番待ち!? なんでマリアに順番待ちが発生してんの!? というか周りの衆人って順番待ちだったの!? あと『1人プレイ前提のマリア』ってなんだよ!?」

<<ゴー ビヨン! パンッパンッパンッ>>

「追放ですって!? 何言ってんのよ! 私は王子と協力プレーしてランカーになるつもりだったのに! 何でこんなことになるのよ、話が違うじゃない! キーッ! くやしいっ!」

「リフレの発狂にも『ゴービヨン!』すんじゃねーよ!?」

「それもこれもマリア、あんたのせいよ! ボス曲ばっかり作って! この悪魔!鬼!!!化け物!(BPM100)」

「お、おいリフレ、発狂するな! ……ってなんだ、このBPM100って」

「この悪魔!鬼!!!化け物!(BPM110)この悪魔!鬼!!!化け物!(BPM120)この悪魔!鬼!!!化け物!(BPM130)この悪魔!鬼!!!化け物!(BPM140)この悪魔!鬼!!!この悪魔!鬼!!!(BPM150)この悪魔!鬼!!!この悪魔!鬼!!!(BPM160)この悪魔!この悪魔!(BPM170)この悪魔!この悪魔!(BPM180)この悪この悪この悪この悪(BPM190)このこのこのこのこのこのこのこの(BPM200)

     -

      -

     -

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   -

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   -

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-

     -

      -

     -

    -

   -

  -

 -

-」

「なんで台詞中でBPMの数値がだんだん増えていくの!? というか今の階段どうやって発言してるの!? さっきの丸以上に発音できないだろ!?」

<<皆伝おめでとう!>>

<<皆伝おめでとう!>>

<<皆伝おめでとう!>>

「皆伝ってなんだよ!?」

「ウッホウッホウッホ!」

「『とにかく、こいつらをトイサイダー村へ連行しろ!』と皇太子は言っています」

「な、なんだ、どこなんだよその村!? 教えろよー!」

「いやーっ! 私まだプロバロ辺りで詰まってるからトイサイダー村は最終ステージでしか行きたくないのにーっ!」

 こうして、王子とリフレはトイサイダー村へと連行されていきました。

 

「ありがとうございます、皇太子様。あなたのおかげで王子とリフレの発狂地帯も乗り越えました。これでウイニングランですね」

「ウッホウッホ(いや、すべては君の実力の賜物だ。その実力なら、このままこの作品のフルコンボも達成できるだろう)」

「えぇ、HAZARDモードでこの作品を挑戦した甲斐がありましたわ」

「ウホホホ(ところでマリア。もし君がこの作品をフルコンボ出来たら……私の妃になってくれないか?)」

「まぁ、それではついに私作曲・皇太子歌唱の楽曲も実現できるんですね……!」

「ウッホホッホ(あぁ、共に作品を作って音ゲーマーを絶望させよう。愛しているよ、マリア)」

「私も愛していますわ。皇太チッ\BAD/様!」

「あ、今皇太子様の名前の所でミスった……」



====================


-------------STAGE FAILED-------------


====================














~~~~~~~~~~~~~~~~~


「マリア、お前との婚約は破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄破棄させてもらう!……ってちょっと待て!? なんでまた序盤の流れになってんの!?」

「ワンモアエクストラステージだドン! もう一回遊べるドン!」

<<ゴー ビヨン! パンッパンッパンッ>>

「うがあああああああ!! 誰かこのわけのわからないものを終わらせてくれええええええぇぇー! あと発狂の度の『ゴービヨン!』はもういいわああああああっ!!」





GAME OVER

またのプレイをお待ちしております。

この作品の投稿ついでに旧作の「乙女ゲームに出てくる悪役カニカマボコに転生しちゃった!」にネット小説大賞タグをつけました。見た事無い人もこの機会に見てってください。

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― 新着の感想 ―
[一言] IIDXメインゆえ一部のネタがわからなかったのでボクはまだLEGGENDARIAには程遠いです。 音ゲーは面白いです。それはもうほ\BAD/…… デューン(STAGE FAILED)
[良い点] ネタがありすぎてTAGに困る短編とはこのことかwww 全機種ユーザーとして爆笑させてもらいましたwww BPM200地帯の表現が斬新でしたw [気になる点] 悪い点というわけではないです…
[一言] タイトルにつられて読みましたが想像以上に音ゲーネタだらけの内容でビビリましたw 唐突に他音ゲーのネタも入ってくるのが少々混乱しつつも、これはあのゲームだなー、と想像しながら読めて面白かったで…
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