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【第十二章完結!】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第三章

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酷い人たち3

 コンパクトな一振り。

 全力の一撃に及ぶべくもないがまともに頭に当たって男の視界は大きく揺れた。


「何油断してやがる!」


 横から回り込んできた小柄な男が剣をカレンに向かって振ろうとした。


「油断してるのはあんたじゃなくて?」


 油断なんてしていなかった。

 けれど気づかなかった。

 

 カレンの横に回り込んだ小柄な男のさらには後ろに波瑠が回り込んでいた。

 波瑠が小柄な男の背中にナイフを突き立てて熱のようにも感じられる痛みが背中に走って剣を手放してしまう。


「なんだこいつら!」


「通りすがりの覚醒者だよぅ」


「な、なに!?」


 魔法使いの男が魔法を発動させようとした。

 杖を振り上げて炎で攻撃しようとしたのだが魔法は燃え上がり始めの小さい炎の段階で夜滝の水に鎮火された。


「グフっ!」


 驚いている時間もなく魔法使いの男の腹に水の玉が直撃する。

 魔法の発動速度が違う。


 魔法使いの男は夜滝の魔法に全く対応できなかった。


「なんなんだお前ら!」


 想像していたのと全く異なる展開にリーダーの男が焦りを見せる。

 圭たちが思っていたよりも強かったのである。

 

 一人一人の実力もさほどではない。

 しっかりとまとまってチームワークでも見せて戦えば少しは結果も違ったのかもしれないがバラバラに戦ってはチームワークを見せる圭たちには敵わない。


「クソが!」


「やらせるかよ!」


 もうこうなったら男も女も関係ない。

 まずは生き延びることが重要になる。


 リーダーの男は小柄な男の背中を刺したばかりの波瑠に切りかかる。

 そこに圭が割り込んでリーダーの男の剣を弾き返す。


『スキル導く者が発動しました。

 守るべきものを守るため眠っていた力が一時的に解放されます』


 視界の端に映る表示。

 時々出てくるこれがスキルによるものなのは分かっているけれどどのようなタイミングでどのような効果をもたらしているのかはっきりと分かっていない。


 ただようやく少し分かってきた。

 何か大切なものを守ろうとするときに発動している。


 そして体に力が溢れてくる。


『原隆

 レベル195

 総合ランクE

 筋力D(一般)

 体力D(一般)

 速度E(無才)

 魔力E(無才)

 幸運D(一般)

 スキル:無し

 才能:無し』


 相手はD級覚醒者。

 しかし圭は負ける気がしない。


『村雨圭

 レベル18

 総合ランクF(E)

 筋力E(D+)(英雄)

 体力E(D+)(伝説)

 速度F(E)(英雄)

 魔力F(E)(一般)

 幸運E(D)(神話)

 スキル:真実の目、導く者

 才能:類い稀な幸運』


 試しに自分のステータスも真実の目で確認してみると全ての能力が1段階強化されている。

 似たようなステータスではあるけれど圭は和輝が作る質の良い装備を着けているので装備分圭の方が上になっている。


 圭はリーダーの男が動揺している今がチャンスだと攻撃を畳み掛ける。

 多くの覚醒者には弱点とも言っていい特徴がある。


 それはステータスによって戦い、正当な戦い方を知らないということである。

 当然のことであるが覚醒者は覚醒するまではただの一般人であった。


 いきなり覚醒したからといって強くはなるが戦い方を覚えるわけはない。

 ほとんどの人がまだステータスの高さ頼りな素人の戦い方をする。


 戦っていけばある程度慣れてくるものであるがそれでも我流で突き抜けられる人は少ない。

 圭は運がいい。


 和輝はそうしたところでちゃんと戦える人の1人である。

 戦い方を知っている人、知らない人、その差は他から見れば小さく、モンスターを相手取る上では顕著な差はないかもしれない。


 けれどほとんど同じ能力の相手と戦う時はどうだろうか。

 その僅かな差は確実に結果として現れる。


「なんでこんな等級のやつがここに……」


 ステータスの差と戦い方の差は埋めようもない。

 致命傷こそ避けているがリーダー男の体に浅い切り傷が増えていく。


 自分と対等以上に戦えるということは少なくとも圭の等級は自分と同じD級になるとリーダーの男は読んでいる。

 ならばどうしてこのようなF級からE級までのモンスターが入り混じるような浅いところで狩りをしているのだと内心で舌打ちする。


 D級の自分がいれば人数差があっても大丈夫だろうと高をくくった結果がこれだった。

 こうしている間にも他の男たちはみんなにやられて拘束されてしまっている。


 状況を打開する手立てはないか。

 リーダーの男は思考を巡らせる。


 そして視界の端にへたり込んだままでいる女性が映った。

 こんな風に関わってくるならお人好し共に違いない。


 ならば女を人質に取れば手が出せなくなるはずだと考えた。


「卑怯なオジサン」


 耳元で聞こえた声。

 女性にそのまま手を伸ばそうとしたが本能が危険だと叫んだ。


 とっさに上半身をよじった。

 でなきゃリーダーの男の首は切り裂かれていただろう。


 圭とリーダーの男では速度のステータスが同じなので追いつけないが波瑠はリーダーの男よりもはるかに速い。

 リーダーの男の思惑を見抜いた波瑠はリーダーの男が人質を取る前に素早く回り込んでナイフで首を切り付けた。


 傷は浅いがリーダーの男の思惑は失敗に終わった。

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